今日6月2日は、ジャズ・ピアニストのレイ・ブライアントさんが亡くなられた日なので、以前に旧ブログで書いた話を再掲載しました。思い出話のまた思い出になりましたが。
また昔話…私が20代の頃だからゥン十年も前ですが、音楽はLPレコードの時代に、凝ったオーディオ装置でジャズのレコードを聞かせる「ジャズ喫茶」がありました。
BGMに軽いジャズが流れる店は今も結構あると思いますが、このジャズ喫茶は何千枚単位のLPコレクション、濃いコーヒー、アルテックやJBLなどの超大型スピーカーに、マッキントッシュなどの高級アンプなどが必須。
あと、大音量に、個性的な店主というのも、成立要件だったか… な (?)
1980年代に絶滅危惧業種に指定(?)され、今は全国でもほぼ一部しか残っていないと思われますが、あの当時札幌市内には「アクト」、「B♭」、「ジャマイカ」、「ボッサ」などの店があり、中でもアクトとB♭にはわりと行きました。両方の店の店主さんはご兄弟で、スピーカーがアクトのアルテックA5に対し、B♭はJBLのプロモニター、どちらも懐かしい …
どちらかと言うとJBLに比べ大雑把な印象のあったアルテックが、この店では温かく肉感的に響くのに驚き、その音に惚れ、生涯の伴侶として(?)我が家にアルテックを迎えたのも、この店があってこその縁なのですが。
このレコードは、ジャマイカという店で初めて聞きました。 ジャズ・ピアニスト、レイ・ブライアント1972年の第6回モントルー・ジャズフェスティバルでのライブ録音で、最初の曲「ガッタ・トラベル・オン」が流れ出した瞬間、ゴツンと来ました。
左手の力強いタッチから弾き出される太い低音、右手が紡ぐ美しいメロディライン。それまでも、何枚か他の人のピアノ・ソロを聞いても、何かもう一つ心に響かなかったのは、当時の私の感性の未熟さ故ですが、これは違いました。
早速近くにあった狸小路の日本楽器 (今のヤマハ) の店に走り、買い求め…懐かしい想い出。
同僚の音楽好きが、「高校生になったらアイドルを卒業し洋楽ロック、大学生になったらロックを卒業しジャズ、アイドルなんてとんでもないという不文律があったけど、それを打ち破り大学生に支持されたアイドルが松田聖子だね…」と。
松田聖子はともかく「大学生になったらジャズ…」は、確かにそんな感じの時代でした。
何となく義務感みたいな感じで聞き始めたジャズに、横っ面を張られたのが、エリック・ドルフィーの「惑星」なら、その後再びゴツンと来たのがこのレコード。
今はそんな熱心なジャズ聞きではないけれど、とても大事なレコードの内の1枚です。
そのレイ・ブライアントさんが、今月の2日に亡くなられていたと月曜の朝刊(2011年6月)に載っていました。病気で療養されていたとの事ですが残念な事です。
もう随分昔に煙草をやめ、その後コーヒーも止めましたが、こうして愛器アルテックで「リトル・スージー」や「クバノ・チェント」、「ゴッタ・トラベル・オン」などを聞いていると、あの煙草とコーヒーの時代が甦ります。記憶の中で薄暗い店内に紫煙がゆれています。
ソロのジャズ・ピアノを教えてくれ、ありがとうございました。レイ・ブライアントさん。享年79歳。ご冥福をお祈りいたします。
旧teacapブログ 「レイ・ブライアント/アローン・アット・モントルー」に一部加筆し再掲載しました。