砂蜥蜴と空鴉

ひきこもり はじめました

貴方はサンタクロースを信じますか?

2004年12月25日 | ログ
『貴方はサンタクロースを信じますか?』

その言葉は年を重ねるごとに聴かなくなる。

『聖夜祝祭に於ける児童心理の考察 / 発端』

子供は夢を咀嚼し現実へと消化しながら大人になっていく。
それは貧民街の子供も未来の大統領も大富豪の一人娘も変わらない。
人は無限の夢を見て、そして世界の有限を知るのだ。

『物語における必要描写 / 主人公』

ここに一人の少女がいる。
名前は羽音。服の色は黒。マフラーの色は白。
この物語は彼女を中心として動き、彼女が夢を現実へと咀嚼する事を主題とする。

『少女の考察による夢の否定 / 起』

羽音は子供である。故に彼女もまた夢を抱き、夢を疑問する。
サンタは父親かもしれない。
それがこの物語に於ける彼女の抱く夢への疑問である。

『彼女の決断 / 承』

疑問とは解決を期待される問題である。
彼女は現実を証明する為に眠りの前に扉に細工を施した。
彼女は夢を期待し、本物サンタに充てた手紙を書いた。

『展開開始 / 転』

物語は動き出した。サンタは少女の待つその扉を開ける。
少女は夢の中へ意識を運びながら。
現実の想いは手紙に残ったまま。

『諸注意 / 否結』

これより先は少女の空想の領域である。
羽音と呼ばれる少女は本物のサンタと出会えたのか。
手紙の内容は?彼女の夢は?

『物語は加速する / 接続開始』

答えは貴方が出してもいい。私が用意をしてもいい。
未だ結末は知らぬまま。ならば僕らは星を見て。
素敵な結末を期待しよう。メリークリスマス。

一人の老人と一人の少女のお話

2004年12月25日 | ログ

しんしんと雪が降る。

りんりんと鈴が鳴る。

赤服の老人は一人の少女にプレゼントを手渡した。

「こんにちはお嬢ちゃん。私から君へのプレゼントだよ」

少女はにこりを笑って言った。

「ありがとう、トナカイを連れたお爺さん」

続けて言った。

「私もあげる。プレゼントをあげる。

 形はないけど温かく

 理由はないけど意味あるもの。

 お爺さん。私はあなたに言葉をあげる。

 ありがとう。感謝の言葉。

 また会えて嬉しいわ。再会の言葉。

 また来年も会いたいわ。約束の言葉。」

 そうして最後に笑顔で言った。

「メリークリスマス。サンタクロース」

それは優しい冬の言葉。

一人のサンタと少女の言葉。