筆者は現役の二等海佐で、現在は内閣府総合海洋政策推進事務局に出向されています。
博士号習得時に書かれた論文を改定して読みやすく書かれた本です。
冷戦期から現在までの海洋領域の軍事戦略について、
アメリカ、ロシア、イギリス、中国、インド、日本について各国はどのような海洋戦略に基づき、
どのように戦うのか、各国の海軍兵力の変革をもとに、各国の海洋戦略を分析されています。
今までは各国の海洋戦略を個別に分析していましたが、6か国を比較して論じています、
前半ではマハンとコーペツトの理論がもはや通用しない時代に入ってきており、
シーパワーとランドパワーと分けて分析していたが、これももはや古い考え方であり、
分析方法も旧態での分析でなく、新しい概念により論じていかなければ、
正しい分析はできないと感じます。
いままでは一元的に海洋のみに対しての各国優劣を比較していましたが、
現在では宇宙空間を含めてIT化、ネットワーク化がその一端を担っているので、
そこを含めて各国の海洋戦略を分析する必要をとかれていました。
最後に著者のように優秀な情報分析官が実務では自衛艦の航海長時に
護衛艦あたごでの民間漁船との衝突事件で被告となったことについて、
自分は心配していることは海上自衛隊上級幹部は船乗りではなく、海のことを知らない、
自衛艦勤務は一時的な職場体験で終わり、ディスクワークが中心となり、
現場を忘れていくのでないかと懸念しています。
艦長は1年おきに交代していますが、これで本当に艦を操作していけるのか、
最近ではアメリカ海軍の艦艇操作も未熟差からでいてるようで、
これは指導する上級幹部の未熟から来ていると思います。
海上自衛隊幹部へ Know your boat