新たなミサイル 軍拡競争と日本の防衛 INF条約後の安全保障
アメリカ・トランプ政権は2019年2月1日、ロシア連邦に対し条約破棄を通告し、
これを受けてロシア連邦も条約義務履行の停止を宣言した。
1987年に米ソで合意されたINF条約「中射程、及び短射程ミサイルを廃棄するアメリカ合衆国と
ソビエト社会主義共和国連邦の間の条約」により、地上発射型中距離ミサイルを廃棄しました。
しかし、本条約はソビエト連邦が崩壊した後はロシア連邦に引き継がれたが、
プーチン政権から条約違反のミサイル開発を進めてきました。
現在では核兵器の拡散、中距離弾道弾の拡散と米ソ時代のパワーバランスは崩れてしまいました。
特に中国は軍縮の枠組みに縛られない核弾頭を含む中距離ミサイルを多数保有し、
米中のミサイル・バランスは大きく崩れました。
本書は6人の専門家によるINF条約締結から今日に至るまでの多方面にわたり解説されています。
森本敏, 高橋杉雄 編著,戸﨑洋史, 合六強, 小泉悠, 村野将 執筆
自分の知らなかった言葉は「セオリー・オブ・ビクトリー」:戦争になってしまった時に、
どのように戦うかという大まかなイーメジ、勝利の方程式とのことです。
アメリカは第二次世界大戦前からこの点について長けていましたが、
現在は現状維持国となり中ソのアクションに対応しているとのことです。
INF条約後の安全保障については米中ソを中心に全世界ベースで検討しなければいけない状況ではあるのですが、
各国の「セオリー・オブ・ビクトリー」があり簡単にはいかないのが現状です。
問題は中国です、国力増強に貢献したのはアメリカと日本なのに、今は脅威となっていました。
日本の安全保障についてもアメリカだけではなく、
アジア、中東等を含めた多国間による中国封じ込めを行なわないと中国は軍縮のテーブルに着かないでしょう。
ロシアは地政学的には現状の覇権エリアが守られているならば事を起こすことはないと思います。
ロシアの問題は軍産複合体の影響とプーチンの野望が誤った方向に行かない事かと思います。
そして最後の章での「座談会―総括:ポストINFの世界はどうなるか?」では
自衛隊が導入を検討している地上発射型トマホークは有効かの議論で森下氏と高橋氏の見解が違う事は興味深かった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます