久しぶりに新譜のレヴューです。
今年も4分の3が過ぎようとしていますが、間違いなく2017年を代表する1枚になると思われる作品。
ルルルルズ
『ルルルルズ』
2017/9/20リリース
レーベル:rourourourous
ディストリビューター:ULTRA VYBE
RURUCD 001
美しいジャケットですねぇ。
では、まず音を聴いてください。
聴く場所を選ばないという事と、聴き飽きるくらいキャッチー過ぎないというのが、私にとって長く聴き続けられる名盤足り得るかを判断する基準です。
夜寝る時でも昼間にリヴィングで大音量で聴いても外でウォーキングしながらでも全てのシーンで見事にハマるのがこのアルバムだと思います。
2枚目となる全国流通作品にしてバンド名をタイトルにした7曲入りアルバムですが、本当に素晴らしい出来上がり。7曲が全て心にスッと入ってくるクオリティなんだけど、決して強烈なフック満載でキャッチーなフレーズだらけという訳ではない。何度聴いても新たな魅力が発見できるし、イイ意味で印象に残りすぎない。
薄味でも出汁の効いた上品な和食みたいなモンですかね(笑)
その名盤を支える縦軸は何といってもヴォーカル:モミちゃんの声です。浮遊感と芯の強さが同居した歌声はこの国のポップスの至宝。
もう一つの横軸はコンポーザー&キーボーディストとしての奥野大樹くんのポテンシャルの高さ。このアルバムで完全に覚醒した感があります。とにかく曲作りが最高に好き。メロディの流れからコードのチョイスから本当に好みなんです。
その縦横の軸に絡みつくコバヤシアツシくんのギター、石垣陽菜さんのベース、渡邊シンくんのドラム、コノミ美希さんのヴァイオリン、そしてサポートのホーンやパーカス。全ての要素が繊細な音作りの中に溶け合い、その中にもポップミュージックとしてのダイナミズムをきちんと保っている。
この「(Something of Life)Place to Be」のイントロのベースラインとかカッコよくて本当に大好きです。
あと、「Night Owl」のコバヤシアツシくんのオルガンがめちゃくちゃグルーヴィだったり、高井天音くんのトロンボーンがものすごくエモーショナルだったり。
個人的レコメンドは「スカイライン」です。自分の趣味にドンピシャなライトメロウでゆったり身体を揺らすミドルグルーヴ。気持ちよすぎて何度でも聴いてしまう。
でも、聴き飽きる事がない。
色んな引き出しがあって、先達に対するリスペクトがきちんとあって、その中で自分たちの音を構築できる素晴らしいバンド。これからも応援していきたいと思わせてくれた名盤。
そして機会があれば是非、わが地元にもライヴに来てもらえる日がくる事を祈って。