なかなか新譜のレヴューができない状況ですが、唐突に嵐の過去リリース分のレヴューです。
嵐が過去にリリースしたアルバムのレヴューを年に1,2回書いてますが、このシングルのレヴューを熱烈にリクエストされてしまいまして、ちょいとやってみようかと
アルバムレヴューの合間の箸休めだと思って頂ければ(笑)
嵐
「とまどいながら」
2003/2/13リリース
ジェイ・ストーム
JACA-5005
シングルとしては珍しい4曲収録。売上としては底を打った辺りのリリースなのに攻めてるよなぁ・・・・・・と感じる一枚。
しかも、この4曲が全て充実しているのだ。
4曲を通してのトーンが、ちゃんと軸を持っている。
テンポや曲調は違えど、感じるニオイに統一感がある。
それが、このシングルを名盤たらしめる証。
改めて言うけど、売上低迷期(彼らとしてはって事で、実際は結構売れてるけどねw)にこんな作品をアイドルに歌わせるディレクターらスタッフは、いい意味で少しヘンだと思うよ(笑)
及川光博のサポートで知られるオオヤギヒロオ渾身の「とまどいながら」は、ミドルテンポの楽曲の中では屈指の名曲。
天才・大野智のヴォーカルが楽曲の雰囲気を決定づける。まだ天性だけで歌う状態なのに、柔らかい倍音と控えめなビブラートが染みわたる。
間奏のガットギターも実に効果的。
嵐の楽曲の中でも重要な作品の編曲を多く手掛ける石塚知生のアレンジが冴える「冬のニオイ」は、サビのアレンジにヤラれる。
EARTH WIND&FIREの「FANTASY」のオマージュとしては屈指の作品。
控えめなストリングスや、間奏のギターソロも素晴らしい。
へヴィメタバンドANTHEMのギタリスト清水昭男が書き、ソウルフルなアレンジに定評があるh-wonderが編曲した「君がいいんだ」も素晴らしい。
緩く柔らかいグルーヴと、印象的な鍵盤の音色。BPM遅めの曲調でグルーヴを醸し出すお手本の様な一曲。
最後は、「眠らないカラダ」の名アレンジでお馴染み安部潤の編曲による「コイゴコロ」。
この曲はもうファンキーでカッコいいストリングスに尽きます。
的確にフレーズを差し込む弦の音色が実にクール。
自然に腰がスウェイするグルーヴィなサウンドと、ヘタレなフレーズ連発(笑)のラップ、キャッチーでカッコいいフック・・・・・全てが見事に融合するファンクポップ。
全ての曲に上質なブラックコンテンポラリーの様な抑揚がある。
身体が揺れるミドルグルーヴを中心に曲を揃えたスタッフの慧眼に感服する優れたシングルだと思うのです。