日本グルーヴチューン振興会

アラシのキセキ その2 『How's it going ?』

約8カ月ぶりのご無沙汰でした(苦笑)

嵐の過去作品を辿るアルバムレヴュー第2弾です。




『How's it going ?』
2003/7/9リリース
ジェイ・ストーム
JACA-5008


前作からジャスト1年で送り出されたサードアルバムは、最も彼らが売上的に苦労した時代に生み出された作品です。
現時点での最新作『僕の見ている風景』の10分の1くらいしか売れてないんじゃないかな・・・・

しかし、内容的には決して他のアルバムに引けを取るモノではありません
そりゃ、個人的にはイマイチの曲もありますけどね(苦笑)



では、気になる楽曲を個別に見ていきましょう




オープニングを飾るのは、10枚目のシングル「とまどいながら」のアルバムヴァージョン。
1分以上にわたるAORテイストのイントロが付け加えられています(笑)が、基本的にはシングルと同じ。
嵐のミドルスロウとしては突出した名曲。特にBメロにおける大野くんの名唱はこの曲のキモです。何度聴いてもゾクッとする。


3曲目の「Lucky Man」は、DIMENSIONやBBクイーンズでお馴染みの増崎孝司の高速カッティングが冴えるディスコチューン。櫻井くんの自作Rapも印象的な踊れる1曲。
アレンジは、元Selfishの大坪直樹で、佐々木史郎(オルケスタ・デ・ラ・ルスや熱帯JAZZ楽団で活躍)の切れ味鋭いトランペットを効果的に使っています。
この曲から間髪入れず繋がる「身長差のない恋人」への流れ。ココが本アルバム前半のハイライト。
「身長差~」は、大好きな長岡成貢さんがアレンジした、実にアーバンなシティグルーヴ。
1分に及ぶ大仰なイントロが堪りません(笑)
オマー・ハキムのドラム、増崎氏のギター、弦一徹のストリングス、佐々木久美のコーラスなどが混然一体となって繰り広げられるゴージャスな世界観。
全盛期のSMAPを彷彿とさせるが、それよりもまだ練り上げられた感じ。



R&Bテイストの「ONLY LOVE」のギターは知野芳彦、アメリカンロック調のラップチューン「嵐の前の静けさ」のアレンジはha-j、ベタなバラッド「Blue」のリズム打ち込みは吉岡たく・・・・・・昨今まで続く、嵐の音楽に欠かせない存在の名前もチラホラと散見されますが、この3曲に関しては如何せんメロディが弱い(苦笑)
まぁ、曲調が好みじゃないってのもありますが




しかし、そんな停滞した空気(あくまでも個人的な意見としてねww)を吹き飛ばす傑作が、このアルバムには存在します。
8曲目の「Walking in the rain」がそれ。
ファンクグルーヴをやらせれば天下一品の安部潤がアレンジしたこの曲、テンポとしては遅めですが、強烈に腰にくるグルーヴを醸し出します。
なんといっても秀逸なのが、鍵盤の使い方とアレンジ。
間奏のインプロビゼーションの見事さが光ります。そして、エンディングに向かっていく辺りの鍵盤のフレーズが堪らんくらい好み(笑)
こーいう曲調だと、相葉ちゃんのクセ声が生きるんだなと改めて思った。



「できるだけ」は、いい感じでダサい(笑)
ジャニーズ伝統のアッパーポップに聴こえるけど、バックトラックは非常によく出来てると思います。
大坪直樹のアレンジは疾走感を十分に演出しているし、増崎氏のギターやエリック宮城・村田陽一・山本拓夫といったホーンセクションも軽やかにグルーヴを生み出している
アイドルポップなんだから、これくらいキラキラした感じもイイでしょう




CHOKKAKUさんアレンジの「テアゲロ」は、マイナー調のラテンアッパー。
西村浩二・村田陽一・山本拓夫という、私にとってのゴールデントライアングルホーンセクションが盛り上げてくれます。
鍵盤のバッキングが、スペクトラムの「アルバ(夜明け)」のイントロみたいで、ニンマリしちゃいました(笑)



エンディングは9枚目のシングル「PIKA☆NCHI」のアルバムヴァージョン。
ハードエッジなギターロックですが、この曲にも山本拓夫さんが参加しているとは驚き。
アレンジのCHOKKAKUさんも守備範囲広いなぁ(笑)



ただ、全体を通して思うのは、曲の出来不出来がハッキリ出ているコト。
アルバムとしての統一感の弱さは、逆にヴァラエティに富んだ曲の集合体であるコトを示していますが、もう数曲だけ名曲が存在すれば超・名盤になったコトでしょう。
それでも、「身長差のない恋人」と「Walking in the rain」を産み落としたというだけで、このアルバムが重要であるという事実は揺らぐものではありません



実にクオリティの高い凝ったバックトラックに対し、嵐の5人に真っ向から真っ直ぐな歌を唄わせたディレクターの鎌田俊哉は、アイドルポップのコアが解っているんだなと、前作に引き続き感じさせられました。

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コメント一覧

デルフィス(ex-ばつ)
しげぴ様
http://funky-katsu.blog.ocn.ne.jp/musicmania/
コメントありがとうございます。
頑張って書いて、本当に良かったと思える瞬間です[E:happy01]
「Blue」に関しては、個人的な好みの問題なので(苦笑)
ただ、その中に楽しめる部分を見つけられると嬉しくなりますよね。
曲を色んな方向から捉えられるコトが、音楽を愛するということなのかもしれません。
嵐のニューアルバム、シングル以外はイイ仕上がりなんじゃないかと(爆)期待しています。早めにレヴューしたいなと思ってますので、また来てくださいね。
しげぴ
デルフィス様へ
遅れてこっそりお邪魔します。エントリータイトルから感動させられっぱなしのしげぴでございます。本当に爽快なレビューをありがとうございます。
以前のレスに「ドラムの一瞬のフィルイン聴きたさに…」と書いておられましたね。私は貴方様が苦手(笑)とされる『Blue』を、彼の「あ」だけ聴きたさに何度もリピしてしまう変態です。その「あ」と、キラキラな音楽が楽しめる『できるだけ』はご馳走です。でも最近の一番のお気に入りは『身長差…』。私もあの大仰なイントロが堪りません。嵐の曲だって忘れるくらい長くて(笑)。でも大好き。
発売が間近に迫ってきました嵐のアルバム。どうかまた気力を振り絞って渾身のレビューお願いします。しっかり聴いてしっかり読ませていただきます!
デルフィス(ex-ばつ)
風花さん、お返事が遅くなりました[E:coldsweats01]
http://funky-katsu.blog.ocn.ne.jp/musicmania/
いつもながら、嬉しくなるコメントをありがとうございますm(__)m

なんだかんだ言って、このアルバムは良い作品です。
私の様な音楽遍歴の人間が素直に楽しめるクオリティが十分にある。
アイドルという枠の中で、アイドルを超えようとする力があるアルバムです。
ゼロ年代にリリースされた数え切れない楽曲の中でも、ベストに数えられる楽曲が含まれるコトに感謝です。

またのお越しをお待ちしております[E:wink]
風花
デルフィスさま
大変遅くなりました。チーム智、北方圏担当からも心よりお礼申し上げます。
自分でも上手く説明しきれない(笑)このアルバムが好きな理由を解いて下さり、本当にありがとうございます。以前、息子にこのアルバムを聴かせたら「ホントに嵐って惜しいよな」と笑われました。デルフィス様のお話を伺い、息子もギリ誉めてくれていたのだと今、確信しています。「ゼロ年代の金字塔」・・なんて心地良い言葉でしょう。永遠の輝きに舵をとる5人が見えるようです。またお邪魔させてください。
デルフィス(ex-ばつ)
マリーナさん、お待たせしてスイマセン[E:coldswea...
http://funky-katsu.blog.ocn.ne.jp/musicmania/
なかなか『How's~』に辿りつけずにいました。次はもう少し早めに(笑)

“野暮ったさ”は、決してマイナスにばかり働かないのがアイドルポップの面白いトコロで、無意識ににじみ出るダサさや野暮ったさは愛すべきファクターでもありますから。
だからこそ、「Walking in the rain」の様な曲が存在感を増す。
この曲の大サビからエンディングにかけては、アイドルポップの範疇を軽く振り切ってしまっていると思います。
歌メロに沿わず重層的に立体的に駆け回る鍵盤のアドリブやブレイク、フェイク、そしてヴォーカルの絡み合いは、今でもゼロ年代の金字塔だと思うのです。

また、コメントくださいね[E:wink]
三浦マリーナ
デルフィス様、様々。
超多忙な中、私どもチーム智のお願いを覚えてくださってたんですね。
いつもなんですが、嵐への公平で肩入れの無い、そして丁寧なレビューに胸がつまりました。
問題の三曲が流れを止めたために印象が雑になったことは私も感じていました。
ただ、こういう『憎めない野暮ったさ』が嵐の魅力の一つであったことは否めない事実ですし、彼等が『意識的な野暮』を振り切れるかどうか…それが今後のスタイルを決める大きな鍵になると思います。
これからもウチの嵐を(笑)宜しくお願いします。
素敵なレビューをありがとうございました。
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