なんとなく思い立ち、放置していた嵐の過去レヴューに手をつけてみる
今回のアルバムは個人的に初期三部作と位置付ける3枚のラストを飾るコチラ
嵐
『いざッ、Now』
2004/7/21リリース
ジェイ・ストーム
JACA-5015
ただの印象でしかないんだけど、このアルバムを好きな方は多い様な気がしてます。
楽曲が粒揃いで、尚且つとっちらかった感じが少なくなってて纏まりがイイ。
初期三部作だと勝手に思っているのは、ディレクター:鎌田俊哉の存在。
このアルバムを最後に、彼の名前はクレジットから外れています。
『HERE WE GO !』で道筋を示し、『How's it going ?』で思考錯誤を繰り返し、本作で一つの完成型(途上のではあるが)を見せたというコトで嵐から離れた・・・・と解釈してます。
このアルバムにおける嵐の面々は、まだ若い不安定感を残しながらも、徐々にステップアップしていく姿を示している。それは、桜井くんのラップのスキルだったり、大野くんのヴォーカルの抑揚だったり。
5人で歌うことがもたらす微妙な歪みが心地良い引っ掛かりを作るユニゾンも印象的。
さて、各曲について好き勝手書いていきましょうか(笑)
オープニングを飾るのは二宮くん主演ドラマの主題歌でシングル曲の「言葉より大切なもの」
前作に続いてシングル曲をオープニングに持ってきたのは、ツカミが大事だというコトなんでしょうか?(笑)
頭サビの歌い出し、大野くんの声が微妙に安定しないのがイイ青さを湛える青春アッパー。ロックテイストを塗されたキャッチーでポップな一曲。
しかし、2曲目に「JAM」みたいな曲を持ってくるのが彼らの魅力。
何回聴いてもカッコいい(笑)
歌唱の粗は目立つから、もう一度歌い直して欲しい気もするけど(苦笑)、この青さもグルーヴのうちなのかもね。
オマー・ハキムのタイトでグルーヴィなドラム、フィリップ・セスの控えめながら全体を支配するエレピの空気感も好きですが、なんといってもブリッジのセスのピアノとアンソニー・ヒントンのベース、そしてアタックの強いストリングスが絡み合う間奏がクール過ぎてノックアウトされます。
「The Bubble」は悪くないんだけど、ちょっと軽い。シリアスでカッコいいミドルグルーヴではあるけど、全体に上っ滑りな感じがする(苦笑)
「Thank you for my days」は聴いた瞬間に「おいおいっ(笑)」って突っ込んだな。
サウンドがシング・ライク・トーキングなんだもん(苦笑)
元を辿ればTOTOやエアプレイに代表されるウエストコースト系なんだけど。
爽やかでオシャレな感じ(娘談ww)だね。
ハモンドのトミー・マンデルって、ブライアン・アダムスのバンドメンバーだった人かなぁ?
さて、ここでシングル曲「PIKA★★NCHI DOUBLE」だけど、この曲は嵐のポップロックとしては一つのスタイルとしての完成型だと思ってて。
ドラムの小田原豊とベースの種子田健というリズムセクション。林部直樹と知野芳彦のツインギター。そしてRUSHのストリングスという演奏のクオリティは非常に高く、メロディのフックの効き具合も申し分ない。
嵐らしい嵐の曲だと思うのです。
短いインスト「keep a peaK」を挟んで、個人的に本作のハイライト「EYES WITH DELIGHT」へ。
コモリタミノル渾身のポップメロディを石塚知生が見事なアレンジで仕上げた名曲。
生ストリングスのゴージャスでダイナミックな音。スクーター・ワーナーの叩き出すビートに自然と身体が揺れる。アレンジに加わる若干の“和”テイストも絶妙です。
「RIGHT BACK TO YOU」は、ビジュアル込みの曲かな(笑)
個人的にはフックの弱さが気になる。重たいグルーヴで押し切るなら、もう少しメロディにフックが欲しい様に思います。
さて、個人的ハイライト第二弾(笑)
「RAINBOW」は「EYES WITH DELIGHT」同様に、作詞:久保田洋司、作曲:コモリタミノル、アレンジ:石塚知生という布陣で作られたミドルポップ。でも、柔らかいグルーヴが感じられて実にスタイリッシュ。
これは、オマー・ハキムとアンソニー・ヒントンのリズム隊の功績かな。軽やかなホーンも曲に良く合ってる。
「ハダシの未来」は、コカコーラのCMソングでしたっけ?
多分、歴代のコーラCMソングでも屈指のハマり感を持つと思ってます。
CHOKKAKUさんらしい豪奢なアレンジとキャッチー極まりないメロディに加えて、名手:山本拓夫さんによるバリトンサックスのグルーヴ感が素晴らしすぎる。
「優しくって少しバカ」に関しては、彼らの若さの部分が全面に出たロックアンセム。不安定なヴォーカルも含めての味わいですね(笑)
タイトルから曲調からひっくるめて、娘曰く「相葉ちゃんっぽい曲」というのが言い得て妙(爆)
「Dear My Friend」は、綺麗で柔らかいミドルポップ。全体に纏まり過ぎててちょっと弱いかな。メロディもアレンジも柔らかすぎる。でも、こういう曲もアルバムの構成上は必要なんだというのも理解できる(笑)
「君だけを想ってる」は、嵐がアイドルユニットであるコトを思い出させてくれるキラキラした直球ポップ。曲を書いたのが馬飼野康二というのも“如何にも”だし(笑)、大坪直樹のアレンジも意識的にこんな感じにしてるんでしょう。嫌いじゃない・・・・・寧ろ好き。
ベース:工藤毅、ギター:林部直樹、トランペット:佐々木史郎というバックの持ち味が、間奏にちゃんと生きてるのが素晴らしい。
「チェックのマフラー」は、非常に評価が難しい曲です・・・・・・
バラッドなんだけどベタベタなメロディじゃないところは好きなんですが、如何せんマイルドに過ぎる嫌いがあります。Bメロに比べてサビが弱いのも微妙。
アルバムのラストを飾るのは「途中下車」
煌びやかなアレンジが得意なha-j氏にしては珍しくシンプルなアレンジ構成が新鮮。鍵盤やコーラスのアレンジが一見地味なこの曲にイイ味わいを加えている。力強さも感じる、彼らの外連味の無さが良く出た佳曲だと思います。
という訳で、このアルバムについての纏めとしては、発展途上のアイドルユニットが自分たちのスタイルというのをある程度示すコトに成功した作品というところでしょうか。
先達の影響下から徐々に抜け出していく姿を頼もしく思える一枚。