昔の古内東子の音楽は大好きでした。ファーストアルバムから、1998年に出たベストまでは全てのアルバムを持ってる(レンタルしたのもあるけど…笑)。ところが、その後何故かグッと来なくなった。彼女の音が変わったのか?いや、多分私の心の方が受け止め方を変えてしまったのか?暫く彼女の音楽とは遠ざかっていた。
このアルバムの情報が入った時、全曲試聴が出来ると聞き早速試してみた。驚いた(笑)。殆どがミドル~スロウナンバーばかりなのに、ビンビン感じるメロウなグルーヴ感、軽い粘着質が心に張り付く(笑)クセのあるヴォーカル、歌詞を見なくても情景が頭に浮かぶ歌詞。素晴らしくカッコいい。
普通、私は歌詞に興味が無い。ソレは歌詞が良くてその曲を好きになるコトが無いという事。だって、メロディやアレンジを楽しむのに邪魔になったりするんだもん(笑)。ところが、驚いた事にこのアルバムの曲、普通にメロディを楽しんでても歌詞の世界が心に鮮明な光景を映し出す。完全に詩とメロディが同化している。こんなの久しぶり。
特に、恋人がいる女性を好きになってしまった友達(男)の心情を描いた「10%」という曲は、ゾクゾクするくらい見事に男心を掴んでしまう。サビで「10%の恋心を隠して」とか「努力をしているんだこれ以上恋心が育たぬように」なんてフレーズをフックの効いたメロに乗せてあの声で歌われたら・・・・最初に聴いた時、私は腰が砕けそうに(謎爆)
全11曲、ムダな部分が一切感じられないアルバムです。彼女の十八番であるソフィスティケートソウル系やスティーリーダン的AORは勿論の事、キャッチーな80年代ニューミュージック、はてはアッパーなエレクトロポップまでヴァラエティ豊かな曲調なのに、アルバム全体を包む不思議な統一感。まさに古内東子ワールド!
ホントは全曲解説書きたいくらい(笑)「コートを買って」から「pale moon」の辺りが一番グッとくるゾーンかな。アレンジャーは森俊之、河野伸、斎藤有太、山本隆二。4人とも見事な仕事です。
もう、私的には『古内東子 完全復活!!』の1枚となりました。素晴らしいです、ホントに。今年のベストアルバム10枚に間違いなく入ります。