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ほいほいとぼとぼ日記・爺爺刻々

でてきた。マッサージ本

といっても、体をほぐすマッサージの本ではない。1980年に亡くなったマーシャル・マクルーハンがクエンティン・フィオーレというグラフィックデザイナーとの共著で、見ながら学べるメディア論である。この本は、ワシが高校生の1968年に河出書房新社から出版されたのである。なんと38年も前になるのか。時の立つのは恐ろしいことである。学生運動かぶれに飽きてきた頃に「2001年宇宙の旅」とこの本に出会い、たぶん自分の方向性に大きな影響を与えた本である。ただ、マクルーハン自身は、後に書くように「電気テクノロジー」に大きな期待をしていたので、印刷は機械テクノロジーということで、電気テクノロジーを広めるのに過去の技術である印刷本を使うというのはおかしいという批判もあったようだ。その辺の批判をかわすためにマクルーハン周辺では、anti-bookという表現でこの紙の集合体を言っていたという逸話は翻訳者である南 博氏の解説にも載っていた。今で言えばビジュアルブックみたいなものか。かの時代では、画期的であった。日本語版のデザインは亀倉雄策、菅谷貞雄というデザイン界の大御所が協力監修してもいるのだよ。アートとしてもみれないこともないわね。ということで、以降は本と書かず"本"とさせていただく(あんまり、変わりないか)
なんで、今頃、こんな"本"をという話だが、実はすっかり無くしてしまったと思っていたのでさ。しかし、Web2.0をかじっていたら、急にこの"本"が懐かしく思い出したのである。そして本棚をごそごそとやっていたら、マクルーハンが出てきたのである。
この"本"の始まりは、「おはよう!」という言葉と生卵の上に印刷されたロゴの写真である。マクルーハンは当時としては画期的な印刷技術が生み出す社会変革の可能性を語り始める。IT、パソコンなどという言葉はどこにもない。「現代のメディア、またはプロセス----つまり電気テクノロジーは、社会生活にみられる相互依存のパターンや個人生活のあらゆる側面を作りかえ、組み直しつつある。」(メディアはマッサージ--8ページ辺りより引用=この本はビジュアルブックのためページという概念がない)
口承文学と活字文化の研究から人間拡張論からメディア論を語る。他著『グーテンベルグの銀河系』『メディア論』等があり、メディアといった概念を世の中に波及させた代表的な研究者といわれ、なんせこの"本"を持つこと自体が格好良かったのである。
しかし、中身はすっかり忘れたと言っても過言ではない。生半可、かじっただけでやはりワシは勉強していないと今また反省する次第である。
じっくりと読み直すのである。で、その前に奥付を見たら、なんと初版"本"である。ネットで探すが1995年に同じく河出書房新社より発行された本はアマゾンでも出てくるのであるが、1968年版は無い。おお、これはすごいかも。とさらに探すと、ありました。古本専門サイトに。値段は美麗、カバー、帯付きで6,090円。38年前に買った価格は420円。なんと約15倍の価格!ワシの持ち物では一番高いものかもしれないという大変な事態なのである。えらい貴重な本なのであるが、ワシのは保管状態が悪く一部汚れがでている。ま、青春の思い出だから売ることはないので、少しは大事にしてあげようっと。
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