習近平は台湾への「武力による侵攻」を否定していない。いろいろな評論家の意見は、おおむね「必ず近いうちに実行するであろう!」である。
中国の状況について、(私が評価している経済評論家の一人である)リチャード・クー氏は、以下のように述べておられる。
以下、コピーです。
【 (中国のおかれている現在の)バランスシート不況は、人々が自分の資産に対して負債が大きすぎると考えることから始まる。そうなると個人は消費を控え、企業は投資をせずに借金の返済を最優先にする。実際、現在の中国ではみんな借金の返済をするばかりでお金を借りてくれないという銀行の悲鳴が聞かれる。
(――不動産価格の下落が引き金ですか。)の問いに対して
中国ではまだバブル崩壊後の日本ほど資産価格は下がっていないが、みな現在の資産価格が本当に適正か半信半疑になっている。そして将来のバランスシートの心配をし、借金を減らそうとしている。個々の判断としては正しいし健全だが、それをみんなが同時にやると、合成の誤謬が生じて経済は低迷する。 】
以上、クー氏の指摘のコピーです。
中国の経済状況が悪化するにつれて、その状況を打破するためには、「台湾統一することだ!」と、勝負に出るかもしれない。台湾を支配下地域にしてしまえば、超ハイレベル半導体製造工場を押さえることにつながり、「中国が半導体製造世界一」の国になるわけである。そのことが「中国の経済を救うことになる」と思っているようだから。
一方、中国の台湾侵攻が失敗した時はどうなるか? アメリカ議会は中国の侵攻に対して台湾のために援助し、戦う覚悟もできているようだ。おそらく日本にある米軍基地から指令された軍隊が動くだろう。最初は海兵隊中心の陸地での戦闘から始まるような気がする。台湾軍が前面に出て、海岸線近辺が戦場になる気がする。ウクライナとロシアの戦いのようになるかもしれない。中国の大勢力の軍隊が攻めてきても、短期間で決着がつくとは思えない。現在の「戦争の質」が変わってしまっているから。
サイバー戦争・ミサイル戦争・宇宙空間戦争・無人兵器戦争など、昔とは大きく「戦争の質」は変わってしまったから。経済戦争も無視できない要素になっている。仮に、武力で台湾が負けたとしても、中国共産党幹部らの「経済面での締め付け」がはじまり、中国は一応戦争に勝っても、「大きなしっぺ返し」が待っているかもしれない。
アメリカやヨーロッパ各地に秘匿されている中国共産党幹部たちの財産が没収されたり、または(中国国民に知られたくない秘密の財産など)すべてをオープンにしたり・・・。台湾が中国に支配されそうになった時点で、超ハイレベル半導体工場を使えなくしてしまう、ことがあるかもしれない。その結果、「台湾の侵攻に成功はしたが、半導体工場は使えなくなっていた」ということに気づくかもしれない。台湾軍+アメリカ軍は、そのことを実行するかもしれない。
以上、私(=鬼井江)の勝手な想像だが・・・。それでも、中国は台湾を攻めるのだろうか? 習近平は台湾を支配下においても、中国の経済はすぐには立ち直れないであろう。
クー氏が指摘されているように、「バランスシート不況」から立ち直るのは、(たとえ台湾を支配下地域にできても)難しい。日本がバランスシート不況から30年かかっても立ち直れなかったように…。誰がやっても、難しいにちがいない。まして、独裁者国家において、習近平の「鶴の一言」で、バランスシート不況から脱せるとは思えない。
むしろ、台湾侵攻は「白紙革命」を中国全域でさらに誘発するだろう・・・、と私個人は予想している。天安門事件のとき、国民は「共産党政権反対!」という声はまったくあげなかった。「白紙革命」は、共産党政権への反旗のシンボルとして、白紙を掲げている。そのニュースはネットからすべて削除されているが・・・。たぶん削除しきれない日が来るだろう。