-196℃の部屋

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なうりーでぃんぐしている論文( ・ω・)

2011-05-27 00:18:15 | なんとなく有機化学がわかった気になる
実は来週の月曜にラボでの雑誌会があって、ボクのターンだったりします。今年度初。

そんなわけで、そこで紹介する今読んでいる論文を、皆にちょっとだけ教えちゃうぞ♪(*ゝω・)v

今読んでいるのは、名古屋大の石原先生らによって、Organic Lettersに出されたやつです。

Chiral Lewis Base-Assisted Brønsted Acid (LBBA)-Catalyzed Enantioselective Cyclization of 2-Geranylphenols

雑誌会でOLとかゆるいだと?
就活中の身だし、大目に見てよ(´=ω=)

さておき、タイトルは「キラルLBBAを触媒とする2-ゲラニルフェノールのエナンチオ選択的環化反応」です。

キラルLBBAって何よ? って話になるわけだけど、キラルLBBAってのは「キラルなルイス塩基に、アキラルなブレンステッド酸を作用させて、疑似的に系中でキラルなブレンステッド酸にしたもの」です。
リンク先のアブストで言えば、矢印の上にあるBINOL骨格のリン化合物(ホスホロルアミダイト)がルイス塩基(3価のP上にはローンペアがあるので)で、フルオロ硫酸がアキラルなブレンステッド酸ですね。
この二つを作用させると、図のようにP上にフルオロ硫酸のHがくっついて、疑似的な軸不斉を持つ酸になるそうで。
まさに「キラルなルイス塩基がブレンステッド酸をアシストしている」という形になるわけです。

どうしてこんなことをやっているかというと、筆者らは以前(2007年)、論文の最高峰 Natureに論文を出していました。

Enantioselective halocyclization of polyprenoids induced by nucleophilic phosphoramidites
求核性ホスホロアミダイトに誘起されるポリプレノイドのエナンチオ選択的ハロ環化反応

…リンクを貼ったものの、アブストに図がないのが悔やまれる(´・ω・)

こっちだと、同じようなキラルなホスホロアミダイトに対して、ブレンステッド酸ではなくNIS(N-ヨードスクシンイミド)を作用させて、活性種を作り、環化反応を行っているのです。

これをブレンステッド酸でやってみよーぜ! って言ったのが今回のOLの論文なのでした。

ちなみに「2-ゲラニルフェノ-ル」というのを原料に使っているけど、これはまんまで、フェノールのオルト位にゲラニル基がついてるものです。

ゲラニル基とは( ・ω・)



こんな感じで、イソプレン(ゴムの材料に使われたりするやつ)を構成単位にした置換基です。
イソプレンがいくつ連なったかで名称が変わります。
イソプレン単位数が1(C5)ならジメチルアリル基、2(C10)ならゲラニル基、みたいな感じ。

いやぁ、ブログにこんなこと書いてるヒマあるならレジメに書けよ……ってツッコミはなしの方向で…( =ω=)

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