レトロ電子工作

電子工作はじめました!
基本的な所からゆっくりゆっくり進めていきます

録音再生 IC (APR9600) データシート入手

2022年10月15日 10時04分57秒 | 技術資料
 キットを組み立てて、うまく動くようになり・・・ これで 終わりでは、面白くありません。 何よりも、ここまでの作業では さほど 電子工作の腕が上がる訳でも無く、プラモデルを組み立てているのと変わりません。

 ここは1つ、(難しいかもしれませんが )この IC の情報を入手して 回路の内容を少し 理解して見ましょう。

まず、一番手っ取り早い 情報の入手先は、このキットの販売元である
  秋月電子さん
の Webページを活用する方法でしょう。
 
 "APR9600” の IC名で 検索したら ↑ 「録音再生キット」だけでなく、IC単体でも (580円という安価で)販売されていました。

 しかも、今なら 28pの ICソケット付きのようです! 

ここに「データシート」のボタンがあったので クリックして見ると・・・
残念ながら 正式なメーカの資料では無く、単にこのキットの説明書がダウンロードされるだけでした。 (ただ、キットに紙で付属してくる取説より、綺麗に書かれているので よほど読みやすいです… ダウンロードする価値はあります)

仕方なく、”APR9600” と ”Datasheet” のキーワードで ググってみると、ちゃんとした データシートが見つけられました。 (全部 英文ですけね!)

ただ、良くある「インターネットあるある」ですが 、
 目的のボタンより まるっきり違う「もの」をダウンロードするボタンの方が大きく目立っていて、どのボタンを押しても 探していた「もの」がダウンロードできなかったりします。
 ここでも、右側の大きな「データシート・ダウンロード」をクリックしても、まるきり違う資料がダウンロードされてしまいます。(ここでは ⇒矢印をクリックするとOKでした)


 しかも、セキュリティ・コード ↑ をキー入力しないといけません。
まー、無料で資料が手に入る訳ですから、この程度の手間は しかたありません。 社名やアカウントの登録が必要なページよりは 良しとしましょう。

無事、PDFファイルのデータシートが手に入りました。 (これなら かなり詳しく載っています)


【 基本的な回路例】:

秋月の回路との違いや、基本的な使い方が良く分かります。


【 応用回路例】:

応用回路を見ると、この IC 1個で 8つのメッセージを録音できるようです。ところが 内臓回路にバグがあるようで、2ch以降は録音できないようです (from 秋月情報) だから、安価で出回っているのかもしれません。

これらの、本来の回路を元に 「録音再生」が 色々な事に応用できそうです。

次の ステップとして、これら回路を基板に半田付けして、ケースに入れてしまいましょう。 さずがに、ブレッド・ボードのままでは 何にも使えません。

小さなプラスチック・ケースに入れておけば、
操作も楽ですし 壊れにくくもなる はずです。      
 

C-MOSレベル (プルアップの必要性) & 歴史

2019年08月31日 06時30分33秒 | 技術資料
8085Aのアドレス・ラッチのために (8212ではなく)74HC573 を使う・・・
というのは、前回 決めました。

 三菱の M5L8085AP は内部が N-MOSで 信号はTTLレベルです。ここにこのICを接続するのは、そのままではちょっとマズイ理由を丁寧に説明しておきます。
TTLレベル 出力 ⇒ C-MOSレベル 入力

 インターネット上には Wikiを始め さまざまな解説が載っていますが、中には間違った説明や、データが古い説明も 多々 見受けられますので・・・
まずは、実際に使う HC573のデータシートを眺めてみます。

電源電圧5Vで使うので、横の行は Vcc=4.5Vの所を見ます。 それも最悪値-6mA流した所を!(電圧が5V→4.5V まで低下しても 保証しますよ!とう意味で4.5V で測定した結果です。 よってここが5Vの数値)
 縦の列は、周囲温度(TA)が 25度 の所で十分なのですが、環境温度 -55°C(北極か?)~ 高温125度(月の地表面でしょうか?)でも 動くように、VOH,VOLは 最悪値の方を使ってみましょうか?

分かりやすいよう 図に すると、こんな感じ ↓

 
C-MOSの素子の 出力は、Hiの時 3.7V以上もの電圧を出す事を保証し、Lowの時は0.4V 以下にすることを保証してくれます。 逆に入力は Hiと判断するのに 3.15V以上ないといけないし、Lowと判断するには 1.35V以下にしないといけません。
 ここまではいいでしょうか? Are you understand?

TTLレベルの時と比べて、かなり改善されている。(特にLow側が) ノイズマージンも幅が増えているのがわかります。 Hi側と Low側 どちらかに偏らないよう均等にレベルを振り分けたのが見て取れますね! また、電流を出すのが弱かったTTLに比べて、C-MOSは 電流吐き出し時も(電流吸い込み時と)同じ電流を出力できるよう改善されています。

よって、LED点灯駆動をさせる時、ソースでも、シンクでもどちらでも同じ条件で使えます。(±20mA程度 流せる&取り出せる素子が多い)

 良い所だらけの C-MOS部品です。 C-MOS同士を接続する分には、そのまま繋げば良いのですが、
TTLレベルのCPUが出力の所に C-MOSをつないだ場合、どうなるでしょうか? TTLレベル図 ↓ を再掲載 :

TTLの Hiの出力は 2.4V しか保証されないのに、C-MOSの入力は 3.15V以上ないと いけないことになっています。(0.75V 足りない!)
そうなんです、そのためにTTL-CMOSレベル変換なんてICもありますが、おおげさ過ぎるので プルアップ抵抗を付けてこの場を凌ぎます。

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では、プルアップ抵抗は どの位の値が良いのでしょうか?

 TTLの吸い込み可能な電流は、-2mAでしたので、抵抗値 2.2K Ωだと 目いっぱいです。 よって、(クロック信号の様な 急激に立ち上がらないといけない信号を除いて)こんな小さな値を使うことはありません。
 抵抗値 4.7K Ωだと その電流の半分 約1mAなので良い感じです。ただし、抵抗値が小さいということは、これも電力を食うことになり 省エネにはなりません。 1個なら1mA でも 8本で8mA(あたりまえか? ビットが増えれば増える程 電気を食う基板になってしまいます)
 抵抗値 10K Ωだと さらにその電流の半分 約0.5mA。 22K Ωだと 約0.25mA。 これで十分。 だからこの手の値の抵抗が使われます。
 つなぐ相手(TTL ICの個数)が多ければ、この位の値でないといけないのですが、C-MOSの場合 入力はほとんど電流を消費しません。 よって、さらに倍の 47K Ωだと 約0.125mA でも 十分 電源電圧に近い所まで プルアップされます。 今回は 47K Ω-8素子の集合抵抗を使っておきます。

 このプルアップ抵抗、TTL同士の接続であれば(要は 74LS573 を使うのであれば)もちろん 必要ありません。 また、CPUが 80C85Aのような C-MOSのCPUを使うのであっても(TTL同士の接続なので)、これまた 必要ありません。 必要なのは 種類の違う素子が混在している時のみですが、
 
C-MOSレベル 出力  ⇒ TTLレベル 入力

の場合も、必要ないんです! 理由は、自分で検証してください。



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ーーー ここでちょっと昔話・・・ 長文なので適当に読み飛ばし を!

 大昔、回路を1つ1つトランジスタで組んでいた時代がありました。
あまりに 大変なので、標準の部品を作ろうと思い立った人が居て、今の TTL等のICが出来ました。 14ピン ~ 20ピンの標準ICと呼ばれるもので、
74???  と
 先頭に74と数字を付け???の部分の番号でその種類を決めていました。

例えば、7404 は インバータ(Hi と Lowを反転させる)IC
  (頭のSNとかは 製造した会社名なので無視、最後のNは改造種類)
左下が1番ピン(この04だと7ピンx2=14ピンなので)、右下が7番ピン(この右下の端っこのピンがGND)、左上=ここでは14番ピン(最後のピン)が Vcc =つまり +5Vの電源と決められて、どの会社の製品でも同じピン配列に統一したため 大変 便利で おおいに普及しました。

 トランジスタと抵抗で作るより、かなり楽が出来たので 「回路を組む」と言えば、この「標準ロジックICを組み合わせて作る」のが 当たり前になっていました。
ーーー
 いろんな要求に答えて行くうちに この標準ロジックICの種類もどんどん増えていき(番号が600番台とかに)、しかも 動作のスピードが速いものが必要になって来て、
74F???  と
いった 動作速度の高速(Fast)なタイプが出ました。

 ただ、あまりに電気を食うので 熱っちんちんに焼ける代物。 ショットキーバリア (Schottky barrier)を使って 速いけど消費電流も少なめな、
74???  となり
改良された、
74AS???  とか、
さらに電気を食わない(Low)
74LS???  が出て
 
これが かなり普及しました。 (↑ しばらくは ほとんどこれが使われた)
その改良された、
74ALS???  も。

ーーー
 そして、時代は進み さらに電気を食わない C-MOSタイプが ちらほら登場して来ます。
74HC???  ↓ 
出た当初は、
 ○ 静電気に弱くて 壊れやすい とか
 ○ 動作速度が遅い! とか
色々あって なかなか評判がわるかったのですが・・・
(実際、素手で触って壊れる事もあったし、電源を逆差しすると かなりの確率でC-MOSのICは壊れていました)

今では、かなりの部分が C-MOSの素子に置き換わってますね。 とにかく 電気を食わない!(熱くならない) そして、動作スピードも格段に速くなっているし、何より丈夫で壊れにくくなってますね。
改良型の、
74AC???  とかも
C-MOSのICです。(とにかく C の文字が何処かに入る)

ーーー
TTLレベル と C-MOSレベルとで ここで説明したように レベルが合わないのを取り持つためのIC
74HCT???  とか
74ACT???  とか
も出ています。 (入力がTTLレベル で 出力はC-MOSレベル)

 ここまで来ると 頭の74は共通なので、通常 省略して LS04 とか HC04 と呼ぶのが一般的です。 技術者の間では・・・ プロっぽいでしょう。笑
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 C-MOSの場合、電源が最低2Vでも動作するので、乾電池2本=3Vで十分に動きます。 また 1.5Vの電池4本で 6Vになってしまいますが、その電圧でも問題無く動きます。(TTLは通常 Max 5.5Vまで) いっその所 C-MOSだけで回路を組みたい所ですが「レトロ」電子工作では、そうもいきません。

 電池駆動が当たり前になっている現在、さらに電気を食わなくて かつ 速い素子が出て来るんでしょうね。

  ICの歴史・・・ 雑学でした。

  それにしても こんな専門的で長い話
  誰が読むのだろう? 興味ある人など居るのかな?? 😂 



TTLレベル と 流せる電流

2019年08月23日 06時30分37秒 | 技術資料
8085A-CPU の 信号を、
 特にアドレス・ライン(16本)すべてを LEDでモニタリングしたい。 今、どのアドレスを実行しているのか 目で見て分かるからだ。
 そのために ↓ こんな パターンの基板を手に入れた。名称:「I/O BOARD」
(基板のみで ¥720円… LEDや抵抗、スイッチは自分で用意)
 16個のLEDで 16ビットの信号のHi/Lowを監視(基板の左下側)できると共に、DIPスイッチで16ビットのHi/Low信号を出力できるようだ。

これを使って8085Aが出す アドレス信号を見ようと思うのだが
そもそも、
8085Aの出力端子は、電流を何mAまで流せるのだろうか?
(LEDを直接 駆動できるのだろうか??)

今回手に入れた 三菱のCPU: M5L8085AP のデータ ブック内をかなり探してみたがその数値が見つからない。 TTLで構成されたCPUだろうから「TTLレベル」に準拠しているであろうことは、想像に難くないが・・・

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TTLレベル とは:
 基礎知識のおさらい!
 1)入力の場合
  2V以上あれば Hi とみなし、 0.8V 以下なら Lowと見なす。
 2)出力の場合
  Hiの信号は 2.4V以上の電圧を出力し、Lowの場合は0.4V 以下を保つ事!


 LowとHiの入力、出力信号の条件の差が ノイズ・マージンとなり 誤動作を防いでいる。 入出力間のマージンは両方とも0.4V だが、Hiの入力信号は 5Vから見れば 3Vのマージンがあり、Low信号は 0.8V しか無い・・・とも言える。
 だから、リセットとか割り込みとかの信号は、通常 Hi にしておき、Lowになって 初めて意味のある信号とする 負論理 が使われてきた。 Hi側に吊り上げておけば 3V以上のノイズパルスが入らない限り Lowとはみなされないので、普段 Lowにしておくより安全だからだ! (通常 Lowだと 0.8V程度のノイズが入っただけで Hiと認定される可能性があるから)
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80系のCPUより 最近 流行っている H8系のCPUだと
 LEDを直接駆動できる (10mA以上を流せる)特殊なI/Oピンが用意されていたりする。 例えば、H8/3069のポート5番が まさにそれで、CPUから LEDを 直接  接続して光らせる事が出来る 。 その他のピンは 2mA までしか流せない ・・・ そのことがデータシートに明記されている。

通常は、IOL とか IOH と呼ばれる数値がそれにあたる。
I=電流、O=出力、L=Low・・・ つまり 「出力がLowの時に流せる電流」と
I=電流、O=出力、H= Hi ・・・ つまり 「出力が Hi の時に流せる電流」だ。

 <OKIセミコンダクタ>社の  80C85Aのデータシート↓をみていたら、
それらしき記述を発見した。(OKIの資料↑はたいへん詳しく書かれています)

左2つの CPU は、
 Low出力の時 +2mA で、 出力が Hi の時 -400μA となっている。
 厳密には ① Lowの時に 2mA 流しても 0.45V 以下になることを保証する。
②  Hi の時に -400μA 流しても 2.4V 以上になることを保証する。という意味だが、”この数値で測定している” ということは、これが電流の規格だと考えてい良い。
 Hi出力=「電流 吐き出し」では、取り出せる電流があまりに小さくてLEDは光らせることが出来ないのが分かるし、
 
負論理=「電流 吸い込み」でLEDを接続しないと駄目なことが よく分かる。

ただ、この OKI の8085はC-MOSタイプであり、今ある 三菱の M5L8085APは C-MOSで出来てはいないので(N-MOS? 内部素子が違う)参考にならないかもしれない。 そこで、本家 <Intel>社の 8085Aのデータシート内を探してみた。

そしたら・・・ ↑  ありました。 IOL=2mA、 IOH=-400μA OKIのと同じ。
これで設計しましょう。

それにしても <OKIセミ>の MSM80C85AH というCPUは、他の8085とはすごく違いがあるのが分かった。 C-MOSタイプだから Hi出力でも -2.5mA流せるし、何よりもCPU全体の 消費電流が 20mAしかかからない。 (元祖の1/10の省エネ) これならCPUが熱くはならないだろう。

 これを踏まえて、モニタ用の LEDに流す(流せる)電流を考え、制限抵抗の値を決めます。 ・・・ 負論理なら半分の1mA程度は流しても良いでしょう。
 よって、えいっや!で 抵抗は 3.3KΩ にしました。  あまり使わない値の加? その辺に たくさん余ってたし・・・(笑)

ブレッド・ボードで 実際に使うLEDと3.3KΩをつないで、LEDの明るさを確認します。
① 消灯時:
② 点灯時: (計算上は 1.3mAほど流しているはず)

 なんとか 点灯しているのが分かりますので、これでOK とします。
(本来、このLEDに流すべき電流の1/10ですが 目視判別できるのでOK)

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2020年から 「プログラミング」の授業が始まります。

 その教材として micro:bit のような 小さな制御基板を使って、LEDを点滅させるプログラムなんかを教えるようですが・・・ こういった 本当にLEDを点灯させられる能力があるのか? 電流とは? 抵抗とは?? といった 基本的な所から教えてあげないと、本当の技術者は 育って来ないと思う。
 誰かが考えて、すべて用意されている 「動いて当たり前」のハードウェアを 動かして喜んでいるだけでは・・・ 何も実力は付かないのでは?

 、と 危惧する 老兵 です。






STDバス仕様 : mis 山下システムズ

2019年08月12日 07時19分58秒 | 技術資料
STD-bus規格 というバス仕様がある。 今回の44ピンのエッジ・コネクタに一番近いバス仕様だと思う。

S-100バスは、
 使われているCPUは 確かに 同じi8085 だったり i8080だったりするが、あまりに設計がヒド過ぎるし、100ピンと44ピンではピン数が違いすぎる。

そこで、できるだけ近い仕様で参考になるものを見つけて来た。
 STD-bus (エス・ティー・ディー バス): IEEE-961

仕様の詳細は、例のアーカイブから、↓ こんなドキュメント (DataBook)をダウンロードし、参考にてみしました。 (海外の英語の本)
この WinSysrtemsという会社のボード製品カタログのような内容だが、技術的な資料も所々載っていて参考になる。 詳細な仕様を調べたければ IEEE-961ドキュメントを取り寄せればいいのだが 正規の値段だと2万円以上する。

STDバスの内容はこんな ↓ 感じ。
片面28pinのエッジ端子が 両面で56ピン。 ここに 整然と信号が並べられている。 S-100バスと違って 良く考えられ、練りに練ったバス規格だということが見て取れる。 S-100とは違って 基板の両面に交互に番号を振って行く形(KELコネクタを使った今回の私のボードと同じ) しかも データバスとアドレスバスがたいへん綺麗に並べられている。
 設計者のセンスの良さを感じる。 設計とは こうでなくてはいけない。


日本では、
 山下システムズ ( 通称 : mis ) という会社が Z80-CPUを使った 多くのSTDバス・ボードを出してたが、さすがに今では廃番となっていて ほとんど市場に出回ってはいない。 バスの仕様を参考にするだけなので、実物のCPUボードを入手する必要もないので問題は無い。

このSTDバスの特徴としては・・・
 ① 56ピンのエッジ・コネクタの小型基板
  寸法はインチ単位なので注意
 基板の形状も、サイズ的にも 今回使ったサンハヤトのものとそっくり。

 ② 誤挿入防止には(25-27番ピンの間に)切り込みを設けている
 左側から 13番目と14番目の間 のここ。

56ピンという少ないピン数を「誤挿入防止」などで無駄に消費しない工夫だが、これを行うには やはりちょっと面倒かな?

 ③ 16ビットCPU(さらには32ビットも)や 拡張アドレス(A16 ~A23)も想定した仕様。


今回の私のバス・コネクタは、さらに少ない 44ピンで、しかも「誤挿入防止」のために既に4ピン無駄に使っている。 それでも8ビットのCPUのみで 単純な機能しか想定していないので、この残り実質40ピンでも十分 信号を振り分けられる…と思う。

_
 STDバスを参考にしたからといって このボード類が使える訳ではないが、それでも意味があって この信号並びにしているのだから 今回はSTDバスを大いに真似したい。 STDは最初から16ビットのCPUでも使える事を想定しているし、D-RAMを使うことや 複数のボード間で優先順位(プライオリティ)を持たせて 連結動作させる事、バスをスレーブに開放してDMA転送できること まで考えられているようだが、私のシステムではそんな面倒なことまで想定していない。

 せいぜい、i8080やZ80、6502や6809など複数の8ビットCPUを試してみたくなった時に ROMやRAMの回路、RS232cのシリアル通信や 簡単なパラレルI/O回路を その都度 作るのが面倒なので、 CPU以外の同じ様な回路を共用できるようにするだけの目的に絞って設計することにします。

 それだけでも かなり労力の節約になるはず。


 44ピンの【標準的なバス仕様】として、
 他の人も 真似をして使ってくれるといいな~ っと
 目論んでいます。 (笑)

S-100バス仕様 : Altair8800

2019年08月11日 09時05分18秒 | 技術資料
温故知新: S-100バスの仕様を詳しく見てみる。
 というのも、
 今回 作ろうとしているマイコンボードにも44ピンのエッジコネクタがあり、ここにつなげる信号の配置をこれから決めていこうと思っているのだが・・・ 現時点では全くの白紙。

 せっかく新たに仕様を決めるのであれば、今後 使いやすい奇麗な設計にしたい。 そのためには 過去の制作例を調べて参考にし、良いところは取り入れ、悪いところは同じ過ちを繰り返さないようにしたいと思います。

 IntelのCPU 8080を使った 最初のマイコンの成功例としては、↓ Altair8800(アルタイル8800)が、とても有名です。

  Microsoft社のビルゲイツとポール・アレンとポール・アレンがこのマシンで使える言語BASICを作ったことで成功し、現在のマイクロソフトが存在していると言ってもいい。 それだけ多くの台数が普及した最初のマイコンで、そこに使われているバス仕様が「S-100バス」と呼ばれるものだ。
 ”S-100" の名称の 「S」 は、StanderdのS、「100」はエッジ端子のピン数が100個だったからで、「標準100ピンのバス仕様」といった意味らしい。 こういった歴史的な話や、表面的な説明はネットをググれば出てくるが、肝心の「バスの信号内容」はなかなか探し出せない。 (それだけ みんな関心が無いのか?)

 このブログでは、できるだけ有益な資料も実際に見られるように S-100バスの信号内容を ↓ に載せておきます。 (少しでも参考になればと…)

さすがに少し説明をしないと分かりづらいかと思います。


 ● pin番号 と 内容(=信号名) は 説明不要ですね。
  信号名の最後に”*” アスタリスクが付いているものは通常、「負論理の信号」
  という意味です。 「空き」と書かれている端子は現在使われていないピン。
  「リザーブ」と書かれている端子は将来使う予定があるので使わないように(これも現在使われていない)という意味のピンです。
 DI1(ディー、アイ、いち)とか、DO0(ディー、オー、ゼロ)とか、非常に読み分けづらい信号名が並んでいますので、区別しやすいフォントに変えてあります。 (Oはオー(アルファベットの)、斜線/のあるは数字のゼロです)


 ● [ M/S ] と いう項目は、その信号をどのボードが制御(主に出力)しているか?という区別です。 
  ”M”というのがMaster(マスタ・ボード)がその信号を出す=つまりCPUボードが出す信号という意味です。(マスタは通常1枚のみ存在) 
  ”S”というのがSlave(スレーブ・ボード)がその信号を出す=つまりCPU以外のその他のボードが出す信号という意味です。(スレーブは複数存在可能)
  もうひとつ、
  ”B”というのが Bus(バス・ボード)がその信号を出す=今回KELのコネクタから5V電源を供給しているのと同じで、電源が主ですが、CLOCK信号などもバスで作って供給しているようです。
 
 ● [ Active ] と いう項目はそのままです。 その信号が、アクティブ・ローなら ”L”、アクティブ・ハイなら ”H” と書かれています。 O.C.(オープン・コレクタ)の信号はほぼ確実にアクティブ・ロー(=Lowの時に意味がある)です。

 ● [ Type ] と いう項目は、その O.C.(オープン・コレクタ)か 否かが書かれています。 例えば、98番ピンは ERROR* という名称で(おそらく エラー信号)、スレーブボードが出力し(CPUボードにエラーを伝える)、オープン・コレクタなのでワイヤード・オア( Wired OR )接続ができることが分かります。
 ここまで 幾つか出てきた技術用語の意味は 自分で調べてください(説明は省きます)
 

このS-100バスには、いくつか特徴があります。

 ① まず、基板の部品面、半田(パターン)面ごとに pin番号がまっすぐに付けられています。 (つまり基板側から見て分かりやすい番号振りである点) 私が今回作るマイコン基板は(KELのコネクタに番号が付いていたのでそれで表を作った為:コネクタ側から見て分かりやすい番号振り)、基板を挟んで交互に1番、2番と番号を振りわけています。 どちらが良いのか悩む所です。

 ② 信号の配置がめちゃくちゃ。
  アドレス信号(A?)などは、降順に並んでいたり、昇順に並んでいたり、アドレス番号がいきなり飛んだり、別の信号が間に挟まれたりと・・・ 使いやすいとは お世辞にも言えません。
 デファクト・スタンダード(設計が悪くても普及してしまって標準になった仕様)の典型的な例です。
 おそらく、最初のこのALTAIRのCPUボードを設計した技術者が 将来の使いやすさなどは考えず、その場のアートワークが楽になるよう適当に信号を配置した…そんな風景が目に浮かびます。(笑)
 こんな汚い仕様でも 後に IEEE-696という国際規格になってしまうのは悲惨なことだと思います。 また 100ピンもあるので、その後の技術者、開発会社が 勝手な拡張/改変を行って色々な亜種が存在するようです。 ここで表にしたのは初期のオリジナルのS-100バス仕様です。 よって、最終版とは信号名などが異なっていると思います。

 ③ 逆挿し防止の機構はバス上には無い。

 実際のS-100バスのCPUボードを見てみるとわかりますが、エッジコネクタが中央には無く、1番ピン側←に少し寄っています。 これならボードを「誤挿し」する間違えは まず起こりません。
 ボード上には i8080とほんのわずかなICが並んでいるだけ… 当初 メモリは たったの256バイト、2MHzのクロックで動いていたらしいので、スピード遅いしメモリは少ないし… で 何ができたのか不思議なくらいです。

この信号表と、下の↓ ALTAIR 8800のパネルを見れば、
どんな信号が使われているか 想像も楽になるでしょう。
 Intel 8080が出している信号を そのままバスに出し、メイン・パネルに LEDとトグルスイッチで そのまま点灯、そのまま制御、しているだけ… というのも分かります。


 この仕様は、できるだけ真似しない方が良い=反面教師 的な内容と言えます。

ただ、S-100バスそのままで 作ってみるのも面白いかもしれません。
 IMSAI 8080 や SOL-20 といったレトロ・マイコンも S-100バスですし、
 最近 ALTAIR8800をそっくりに 復刻した Legacy8080 のようなものを
 手作りするのも 面白そうです。 簡単に作れそうですし・・・

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