Little Tree

日々のいとなみのなかで感じた子どものこと、季節の移ろいやこころに映る風景

「よこはま 星野富弘花の詩画展」にて・・・

2006-10-06 20:00:58 | Weblog
このところのはっきりしないお天気の中、今日は雨も風も強くなりました。

書きかけのお話やアレコレと考えていることもあって、そちらも気にはなりますけれど…

皆さまにお知らせしたままになっていた
星野富弘さんの「花の詩画展」に出かけてまいりましたので
まずは、そのお話をさせていただこうかと思っています。

実は、9月23日に義父の妹にあたる叔母が田舎から出てきておりましたので
知人からいただいた招待券で俳優座の「コルチャック先生」を一緒に観たあと
赤レンガ倉庫まで、行ってみました。
(そのときは、こんなに早くお別れがきてしまうとは、思いもよらずにおりました…)

詩画展が、はじまって間もないせいか、土曜日ということもあったのでしょうか
会場の外に長蛇の列ができていて、そのときは、ヨコハマの空や風や景色を感じただけで帰りました。

今日は、kirikouが前期の終了日で、明日からは秋休みになってしまうし
会期は9日までで、3連休に入ったら、また来場者も多くなってしまうだろうし
こんな嵐のようなお天気なら…ということで、思い切ってひとりで、出かけてみました。

桜木町のバス停で待っていると、
同じように富弘さんの絵を見に行くという女性の方と出会って
4人でタクシーに乗り合わせて、赤レンガ倉庫まで行きました。

ドアを入ると、ボランティア・スタッフの方が、かさのことなど心配してくださって
少し並んだだけでエレベーターに乗って、会場に着きました。

103点の作品があるので、ゆっくり詩を読みながら絵を観ていくと
時間がかなり要ること、最後のコーナーでビデオも上映されているという
説明を入り口で伺ってから入場しました。

入ってすぐに、後ろのほうで「入場者4万人、おめでとうございます。」
という声が聞こえてきました。

あらあら、もしかしたら私が39999人目だったかも?なんて
近くにいらした方々とお話しながら、絵のほうに進んでいきました。

平日ということもあって、少し年配の女性のお友だち同志や
杖をついたお母様と娘さん、車椅子に乗った方と押している方
シニアのご夫婦連れなどが、多くいらっしゃいました。


おそらく比較的、ゆったりとしていましたので

その絵に描かれた花や葉のさまざまな色や、ことばの一つ一つに込められた想いなどに
観る人それぞれが、しっかりと心を寄せながら思い思いに絵を見ることができました。

時おり、お隣にいた知らない方とも、そのお花の名前を確かめあったり
そのやさしくて微妙な色合いのことを、お話したりもいたしました。

富弘さんのあたたかい詩画の世界に、すっかり溶け込むようにしながら
けれど、いつしか、自分のこころの中の何かが映し出されるような気がして
まるで、不思議な鏡を見ているような心もちがしてまいりました。


私は、絵と一緒に、書かれている言葉一つ一つをつぶやくようにして、読みつつ
確かめながら、その中のいくつかを作品リストに書きとめていきました。

私の中の「こころ」に響いて

そうだ、そうだと深くうなずく言葉もあり

時にチクっと、時にはズキンと刺さるような言葉もあり

ほほに、やさしく吹きすぎる風のような言葉もあり

背中を、そっと押してくれるような言葉もあり

ふと、見えない何かをそのままに感じさせてくれるような言葉もあり

そして、母であることや、母への想いに気づかせてくれるような言葉もあり



ここには、とうてい書ききれないほどの

たくさんの、ほんとうにたくさんの

飾らないけれど、まぎれもなくこころの奥そこからの贈り物のような言葉たちが

懸命に生きる植物たちの、こころ安らぐ絵とともに、私たちのもとに届けられました。

どうしても、母をおもわせる言葉には、敏感に反応してしまう自分がいることに
気づかされる思いを抱えて、ふとこみ上げるものを抑えられずにおりました。

ビデオのコーナーの「強い茎になろう  星野富弘のあゆみ」では

富弘さんのやんちゃな子ども時代のことや学生時代のお話から
闘病生活中に、絵を描き始めたエピソードなどが紹介されていました。

思うようにいかないつらい時期に、お母さんと二人三脚で絵を描いている様子には
私自身の何かが強く反応して、どこか重なるものを感じてしまい
後から後からとめどなく、涙があふれてきてしまいました。


それでもなお、富弘さんが絵を描くお姿やお話になる言葉は

大きな勇気と希望とこころの支えを、いまの私にもたらしてくださいました。


このような、素敵な詩と画の贈り物をいただきましたこと

ほんとうに、ありがとうございました。


また、こころのなかに、大切なお守りが、ひとつふえたような気がしています…


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8 コメント

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嵐の中… (hama-wind)
2006-10-06 22:10:54
今日のような嵐の中…行ってこられたんですね!

実は僕も同じようなことを考えつつ、激しい風雨に大桟橋からのわずかな距離を断念してしまいました…。



星野さんの詩と画って…なんであんなに優しく美しいのに、人の心をズーンと強く打つんでしょう?

事故にあわれて悩んで苦しんで、その結果として得た世界だからなんでしょうね、きっと…。

あの境地に入るのはもちろん無理でしょうが、でも共感(共振?)することはできますものね。

もっともっと、ずっと静かに…見ていたくなりますね…。
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嵐の中でも、こころに太陽が・・・ (風待人)
2006-10-06 22:28:58
hama-wind さん



アノお天気だからといって、いらしている方が

他にも、いらっしゃいましたよ~



外は嵐でも、こころはあたたかい太陽に照らされたような心地になれました!



ほんとうに強く心を打つ画や言葉ですけれど

きっと、どんな人のこころにも、共通することを



あのように、切り取って表現していらっしゃるのかもしれません。



それをするのは、実はとてもタイヘンなことなのかもしれず

その、何かを見つめて、浮き上がらせることができるところが

ほんとうに、素晴らしいのだと思います。



明日は、きっと晴れ間が覗いてくれますように!!
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普遍性…? (hama-wind)
2006-10-06 22:48:15
そうですね。

優しくわかりやすい言葉と画で、物事の本質を表現できる方なんでしょうね?

草木湖の星野富弘美術館を…やはりぜひおすすめしたいです。

平日の朝早くにでも行かれる機会でももしあれば…きわめて貴重な時間を過ごすことができそうですよ!
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おはようございます (eaglei)
2006-10-07 05:54:30
素直に様々なことを書かれていらっしゃいますね。

少し読まして頂きました。

星野富弘さんという画家を知れてよかったです。

僕の住む関西では、夏に展示があったようです。

また機会があったら、絵を見ようと思っています。



また気まぐれに来ますが、よろしくお願いします。

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草木湖の星野富弘美術館ですね・・・ (風待人)
2006-10-07 08:34:42
hama-wind さん



なるほど~「普遍性」という言葉がそこにはいるわけですね・・・



ジグソーパズルのピースのように、私にはまだその・・・

そこに入る何か・・・言葉や何か・・・が

見つけられないような歯がゆさを感じることが、よくあります。



皆さんとおはなしする間に、ひとつずつみつかっていくものかもしれませんね・・・



いつか、きっと「朝の草木湖の星野富弘美術館」にうかがうことにいたしましょう!!



ありがとうございました!!





eaglei さま



クオリア日記のご縁ですね!!



私のは、まだまだ駆け出しの子どもの眼を通したようなものですけれど



まずは、いまの自分が書きたいと思うもの

何かを感じたそのままを、言葉に写してみる・・・



そんなことを、心がけていきたいと想っております。



その意味でも、富弘さんの画や言葉は

ほんとうに、素敵なもの・ことを、私に教えてくださいました!!



風の吹くまま、気の向くまま・・・



私も、肩の力の抜けた

そんなスタンスを、心地よく感じております。



良かったら、またお遊びにいらしてください。
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そこに見えてくるもの (miki3998)
2006-10-07 11:09:46
先ほどは拙ブログにいらしていただき、ありがとうございました。

 星野さんの絵は無くなった義父が大好きでした。長男の誕生日にプレゼントしてくれたブドウの絵、今でも大切に持っております。写実的なのに冷たくない、モノトーンなのに色が見えてくる、なにかそこに確かなものが見えてくるような、不思議な魅力をたたえています。



 絵を描くのが好きな長男、ときどき眺めているようです。
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似た名のご縁で (風待ち)
2006-10-07 11:18:42
只見線の沿線だったか、同氏の美術館があり、かなり以前ですが訪ねたことがあります。

絵のタッチも綴られた言葉も、さりげない優しさに満ちていますね。

おしつけがましくない、という優しさをお持ちのかただと思いました。

しかし、天性のものに加えて、そういう優しさを見につけられるまでに氏に訪れた試練や痛みはどうであったかと想像すると、そこにある種の救いを見るようでもあります。



私の手元には、今もそのときに買った絵葉書が残っており、大切な人が痛んだときにだけ、言葉に尽くせぬものを込めて出しています。
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言葉にならないもの・・・ (風待人)
2006-10-08 01:01:06
miki3998 さま



ご長男は、絵を描くのがお好きなんですか~!



男の子や男の方は、コトバにはならなかったり

敢えて言わなかったり・・・



けれど、イロイロなことを思っているのかもしれませんね。



ほんとうは、言ったほうがいいのに・・・と、女の私としては

思うことも、たびたびありますけれど



どうも、そのあたりは、男と女のどこかに違うところがあるような・・・



かく言う私も、言葉で表現することに、なかなか自信をもてずにおりますので・・・

まだまだ、自分も修行中デス。



風待ち さま



ほんとうに、不思議なご縁を感じています・・・

どうぞ、よろしくお願いいたします。



「大切な人」にやさしくなれること・・・



それこそが、生きている実感や意味をもたらしてくれるように思います。



とはいえ、そのやさしさは、簡単に見つけられるとは限らない・・・

のかもしれませんね~



以前は、“はは”のつくHNにしておりましたけれど

思うところあって、ただの人として・・・

できれば、風の吹く中に、立ってみたいような思いを持ちました。



けれど、まだときに足元がふらつき、こころがゆらぎ

確固とした何かをつかめずにいるような気がしています。



まぁ、風にのって流れる雲のように、自然体で、飄々と・・・

できれば、笑顔が弾んでいて

けれど、芯は、しっかりとはずさない・・・というのが、目標でしょうか?
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