一般病棟へ

人工呼吸器を外して自発呼吸もできた

ただ…幻覚、幻聴がある

「笑福亭つる瓶がいるよ。天井にクモが見える。どこかで大漁節を歌ってる（頭の中に聴こえてる歌にあわせて手だけ動かし踊ってる）お前には聴こえないの？


看護師「麻酔からとっくに覚めているんですけどたまにこういう方います。家族の方から沢山話しかけて頭の中をクリアにさせてあげてくださいね」

ホントにクリアになるのだろうか…不安だ


水、1日500mlだけ飲んでよし。

ゼリーから始める経口摂取は2、3日後の予定

私は駐車場のマイカーの中で昼飯中…

…病室に戻りたくない

ICU→リカバリー室に

ICU にずーっといるかと思ってたら
昼過ぎ病院から電話があり外科病棟のリカバリールームに移ったと連絡が！

そして気管を拡げる薬を持って来て欲しいとも…

大急ぎで実家に寄って薬を持って病院へ

ナースステーションの前にあるリカバリールームに行くと
人工呼吸器が外れた父が！！！！

えっ？自発呼吸できたの？？
凄い！すごい！

痛み止めは打っているけど、普通に会話が出来た～

このままなら一般病棟の4人部屋に移るのも間近らしい

ただ…内科では個室だったので大部屋は気をつかうから嫌だと言う

確かに耳が遠いから私との会話はつい大声になっちゃうし
トイレ（小の方）は頻繁に行くからな…

見舞いはディルームでが基本だけど車椅子に座ると背中の痛みがあって辛いので長時間の座りの姿勢がとれない

呼吸も浅いからゼーゼーしてて うるさい？
いや！ここは病院だもん仕方無いよね？

それこそ「唸っていても良いのよ」と言ったけど

個室が空いてるなら希望したいと…

今までは入院費用の心配をしていたけど
「これからは自分の為に金を使おうと思う」

うん！そうだよ！！

自分の為に残さず使いきって良いんだよ

足りなくなったら子供の私達がなんとかするよ！

手術当日

朝病室へ行き予定時間に父と看護師さんと共に中央手術室へ

エレベーターを下りて…8時45分
これから手術をする患者でプチラッシュアワー状態

（こんなに手術する人いるんだなぁと感心してたら…）

「じゃあ家族の方はあちらの家族控室でお待ちください」


父とろくな会話も出来ず肩をポンポンして見送った


控室に行くと既に何家族か座っていた

壁を見るとTVが無音で流れていてその隣にはTVと同じくらいのモニターがある

手術室の番号①～⑫？
受診科
性別 年齢
手術開始時間
終了予定時間

現在の状況
（入室→麻酔中→手術中→手術終了）と表示が随時変わる

モニターを見ると
91歳○ヶ月男性 整形外科 終了予定時間 9時～16時

…父よりも高齢でおまけに長時間…


モニターを見つめていたら一人の男性が
モニターを写メってる
「おっ！麻酔中になった！」カシャッ
「あっ！手術中になった！」カシャッ

「キレイに写らないな～横にすれば全部入るかな～」

…壁には携帯は所定の場所でご使用くださいの貼り紙！
見えないのかよ！！


うちの父は病気を治す為の手術ではないんです

残りの人生を少しでも食べて人間らしく最期を迎える為にリスクの高い手術をしてるんです

なんだか、凄く嫌な気持ちになったけど…注意なんかできなかった

この男性の手術をしてる患者は順調な経過をたどり
退院してから
「ほら、こうやってモニターに映ってたんだよ」とか言って写メを見るんだろうね…

うちはこの先会話も出来るか解らない…

色々考えてたら涙がこみ上げてきた

結局、父と会えたのは12時40分

ICU に入り父に声をかけたら寝てる…
人工呼吸器を使用してる為に（強制的に）眠むらせてるそうだ

人工呼吸器を外すのはいつになるかまだまだ解らない

でも手術自体は難なく終了した

緊急入院してから毎日病院へ行っていて
「毎日来なくてもいいよ」と言ってたけど

「手術後ICU に居ると簡単に会えないからその時はお休みさせてもらうね」

…目が開いて外科病棟に移ったらまた毎日会いに行くよ！

手術前日

いよいよ明日！

話ができるのは今日が最後だったのに兄夫婦は来なかった


さっき電話が来て
「今日は末っ子中2の運動会だった。
明日の手術何時？
（朝一だから8時迄に病院へ）
…早いな～ちょっと無理だなぁ

じゃあ先に行ってて、明日は今日の代休だから後から家族中で行くから」

…えっ？…唖然…

「手術が終わったらICU集中治療室に入るよ。ICU は子供はご遠慮くださいって言われたよ。面会は少人数でとも…」

代休だからって子供は来なくて良いよ

一般病棟に移ってから来て欲しいの

てか、入院してから18日だよ！今までだって来ようと思えばいつだって来れたはず…

良い歳した大人のくせに常識も知らないのか…と呆れる



父はやはり今日もうつらうつらしてて、
「痛い…苦しい…疲れた…眠い…」

最終面会時間まで居たかったけど眠ったのを見届けて帰宅しました

明日は家を6時30分には出なきゃ！！

不安

自宅に戻りお風呂に入っていたら
不安で涙が出てきた

手術室に入るとき
なんて声をかけよう

色々考えたら悲しくなってきた

この前、病室から放射線治療に行く時
エレベーターに乗ったら見知らぬ方に
「お大事にしてあげてくださいね」と父の肩を擦りながら涙ぐんでいた

端から見ると息も絶え絶えな父は重症に見えるのだろうと思ってた
だがやはり点滴だけでは弱っていく一方だ



「行ってらっしゃい。待ってるからね」

これでよいだろうか…