世の中には多種多様なゲームがあって、
その中には色々なアイデアが詰め込まれている。
それは僕らを楽しませてくれるけれど、
時々どうしようもなく惜しいものになることも多い。
それを紐解いて、面白いゲームにするにはどういったものがあるか、工夫があるか、
それを考えていきたいと常日頃から思う。
という短い冒頭から、今回はフィクションゲームノートの「考察編」。
主に実在するゲームを対象に、あるいは自分の「フィクションゲームノート」自体を対象に、
色々考えていきたいというのがこの「考察編」の在り方になる。
さて、第一回となる今回は、モンスターハンターシリーズを対象に、
「部位破壊」というシステムと、それが戦闘に与える影響について考えていきたい。
モンハンで部位破壊、更に戦闘関連でと言うと、
尻尾を切れば攻撃範囲が狭くなるとか、
古龍の角を折れば固有の能力が抑制できたとか、
Triの頃に作成されたモンスターであれば、それぞれのモンスターに部位破壊の恩恵があったりした。
個人的にこの頃の部位破壊は結構好きで、確かに面倒な部分もあったけれど、
モンスターの特徴や生態に紐付いたものであったり、
これを意識することで戦闘を優位に進めやすくなるものして結構高く評価していたりした。
改めて、部位破壊とはなんだろうか。
目的としては2つ。
- 報酬を増やす
- 部位に依存する行動の弱体化
この2つが挙げられる。
けれども後者の要素のあるモンスターはそう多くないので、(あっても尻尾切断程度)
ほとんどは前者によることになる。
それゆえに、単にモンスターを倒すということだけが目的となるのなら、部位破壊は無視されることも少なくない。
しかし、それではメリハリも何もないので、個人的には部位破壊の恩恵は(実装が面倒だとは重々承知の上で)できるだけあった方が良いと思っている。
改めて、部位破壊が戦闘に与える影響を考えてみたい。
部位破壊を狙うということは、弱点や狙いやすい部位への攻撃を捨てて、あるいは狙いやすいタイミングを見計らって、その部位への攻撃を行うことになる。
戦闘面で結果として得られるものはまちまちだが、
少なくとも「早く終わらせれば狙う必要がなくなる」ことは大きなメリットだ。
そのために存在するのが、
「爆破属性」と「破壊王」
の2つ。
しかし後者はダメージに直結しないということで、部位破壊そのものが戦闘の短縮になる特異なシチュエーション以外では優先して利用されないのが実情だ。
(一応、そのシチュエーションとしては部位破壊ターゲットのサブタゲマラソンと、マムタロトの前半戦がある。)
部位破壊が手早く済めば、より早く弱点部位を攻撃でき、戦闘がそのぶん早くなる。
部位破壊による攻撃の緩和があるのなら、そちらもそのぶん楽に戦える。
それが戦闘としてみたときの部位破壊の恩恵と言えるのではなかろうか。
ちなみにモンハンには「ひるみ」というシステムがあり、これは部位破壊とシステムが直結している。
部位破壊を終わらせると、モンスターがひるむ。
ひるみの規模は様々で、部位破壊に限った話ではないのだが、これも恩恵として数えていいだろう。
さて、ここからがようやく本題だ。
現在のモンスターハンター、つまりMHWでは、部位破壊を意識した戦闘はほとんど行われていない。
これは無視されているというわけではなく、「結果として部位破壊をしているだけで、部位破壊そのものを狙う機会は多くない」という意味だ。
(全くないわけではなく、ベヒーモスの尻尾は割と優先して狙われるとか。)
実際筆者自身、歴戦王では部位破壊は全く意識していない。たまに気まぐれで尻尾を切断する程度だ。
その状況で、部位破壊を狙うことに価値を作るにはどうすれば良いのか。
先の通り、部位破壊とひるみはシステムとして強く結びついている。
ひるみを取るために部位を狙うというのは、まぁ1つの理屈であろう。実際にひるみループという技術もある。
しかし、破壊王を付けたところで、破壊が完了してしまえばそれまでだ。そこから先はスキルの効果が無になると言っていい。(これは破壊王がそういうスキルだからだ。)
しかしながら、部位破壊とひるみを直結させ、活かすには、部位の耐久力を上げるしかない。
とはいえ単に上げただけでは部位破壊が著しく難しくなるだけで、これでは素材目的の部位破壊の大きな邪魔となってしまう。
そのために、自分が提案したいのが、HP条件だ。
これはフロンティアの方では時々見られた条件で、本家の方でも古龍の角や尻尾の部位破壊条件に絡んでいた。
しかし、現在は見られない「消えた」アイデアとなっている。
HP条件が消えていった理由としては、
・大体が作中では非公開の情報であり、ユーザを混乱させるだけになっていた。
・HPの現在値を判断する要素がなく、いつから狙えばいいのかがわからない。
この2つがあると睨んでいる。
しかし、これは解消できることだと思う。
前者はゲーム内の情報を充実させることで解消できるし、
後者は「HPが減った」という見て分かる変化や行動があれば良い。
例えば、古龍は角破壊が有効だとされていたのは、実際にそうだっただけではなく、
作中で説明される情報として「古龍は角で自身の能力を制御している」という設定が公開されていたからだ。
他にもチャナガブルは提灯を破壊すると明らかに光が消えて、発光が行えなくなる。
こうした変化のヒントを与えたのと同じように、
「このモンスターは鎧を剥がすまで尻尾の切断は不可能だ。」
などと紹介すればいい。
この場合、仮に鎧の破壊がHP条件だとしても、破壊条件は「鎧の剥離」だと見て分かる。
「形態や意識の変化により防御が疎かになったために部位破壊が可能になった。この変化は、モンスターから見たハンターの危険度、つまり与えたダメージに直結する。」
何にでも使えるわけではないが、この例はフロンティアのエスピナスがいる。
エスピナスは普段は攻撃せず、周囲の生き物が硬く鋭い外殻を嫌って避けていくのに任せるまま平和に過ごしている。多少攻撃したところで意にも介さない。
しかし、ハンターが執拗に攻撃を続けると、エスピナスはハンターを「外的」とみなす。
こうなるとエスピナスは外殻の防御を緩め攻撃に弱くなる代わり、その鋭さを武器にハンターへと攻撃を仕掛けてくる。
この時、エスピナスは咆哮を行い、全身が赤くなり(おそらく血が巡っているのだろう)、行動自体もまるで違うものになる。
肉質も大きく変化し、元々比較的柔らかかった腹部も含め、全身が柔らかく変化する。
こうした変化があれば、間接的に「変化」を部位破壊の条件とすることでユーザは「いつから部位破壊を意識すべきか」を容易に認識できる。
その代わりに、短時間で部位を破壊する必要が出てくるために破壊王が重宝されることもあるだろう。
そうでなくとも、条件が満たされていない間は破壊王によるひるみが取りやすくなることになる。
(先に述べた通り、部位破壊とひるみは直結している。部位破壊がしやすくなる=部位破壊が可能な部位でひるませやすいと言っていい。)
ひるんだ時間はそのまま攻撃機会なので、僅かながら手数にも貢献ができるというわけだ。
ちなみに、比較的最近の例だとゴア・マガラの角がこれに近い。
角が出ていなければ破壊できない。至極当たり前の話だ。
モンハンに限った話ではないが、改めて「部位破壊」のような戦闘に関わるギミックを考えてみて欲しい。
- ユーザに与えた情報は不足していないか。
- その情報は誰でも確認がしやすいものか。
- 与えた情報は活用しやすいものか。
- そもそも、上手く活用した例がきちんと用意されているか。
部位破壊とそれに纏わるスキルについては、モンハンはまだまだ手を付けていないと言っていい。
自分がモンハンの今後に期待したい要素の1つだ。
というわけで、第一回の「部位破壊編」はここまでとしよう。
今回はあくまでモンハンの範囲だけで話したが、先の通り、これはモンハンや狩りゲーだけに限った話ではない。
ゲームにメリハリを与えるギミックの1つ、その考察例として頭の片隅に入れていただければ幸いだ。
それでは、また次回。
気が向いたときに会おう。
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