処感

日々、想うままに綴る言の葉の置き場
My dear Life!

* ラスト サムライ

2006-12-11 08:33:13 | 映画
タイミングがなくて観られなかった「ラストサムライ」をやっと昨夜
「日曜洋画劇場」にて観る事が叶った。
渡辺 謙 真田 広之 小雪 トム・クルーズ のキャストが役柄にマッチし
そして明治天皇に扮したおっとりとして育ちの良い中村七之助の
健闘振りが好ましかった。日本の映画ではあまり見られない「天皇陛下」を
演じるプレッシャーはさぞきつかっただろうな…とも思った。

アメリカ側から捉えて描いた明治初期の「日本」が興味深く新鮮であり
画面から目が離せず最後まで惹き付けられたのは、
渡辺謙が扮する「勝元」という「サムライ」の死生観が、最近読了した
「国家の品格」にも出てくる「武士道」を否が応でも連想させられた
からかもしれない。

「武士(もののふ)の本懐」という言葉まで出て来て驚かされた。
日本女性の美を象徴した小雪が扮する「たか」の静かでひたむきで
そして哀しい様子も「あはれ」を伝え風情があった。

しかし「武士」を描く目はやはり残念ながら奇異にも感じた。
幻想的なカメラワーク、しかもスローモーション、雄叫びを挙げ
鎧兜で武装した武士達が迫ってくる場面は、私には西洋の「騎士」を
意識しているように見えたのだった。
「文化そのものが違う」どうしようもない点は超えることができないのだろう。

アメリカ人の「戦士」が日本の「サムライ」になりきる姿は刺激的で
また「武士の里」で生活する「一般の民」の堅実で規律ある人々の描き方
なども木目細かく温かい視点と理解があったので感心した。

市井では「髷」を切り「刀」を捨て「西洋化」が良いのだという風潮が蔓延
その当時の描写も丹念にされていて興味深かった。

戦場で累々たる屍を越えながら生き抜いて来た「戦士」であり「武士」は
「死に場所」を探しながら生きていると言っても過言ではないようだ。
「納得できる死に方」を追求する真摯な「サムライ」は確かに人として
高い「自律」を保ち精神性を備え、鍛えられたいたようにも思う。

「生きることは死ぬこと」どのような死に方をするのがいいか。
死ぬまで生きるわけなので、これは誰にでも当て嵌る普遍的な命題となる。

そして…
この映画は邦画ではなくて、アメリカで製作した映画なのだという点
ラスト近くでの天皇陛下の台詞に
「朕は近代的な技術や文化の導入は積極的にこれからも取り入れ行いたいが
 日本人としての誇りや考え方、これは捨てずに守りたいと思う」
という部分があり、いろんな意味で考えさせられてしまった。

今の日本にないものがこの時代には豊潤に確かにあったのかもしれない。



*穏やかなテンポで歩きたい*


FromEruze Mint.mamu



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