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《東京国際キルトフェスティバル》(東京ドーム)
<☆>
最悪とまではいわないが体調はけっして芳しくなかった。はじめの予定では午後からゆっくりと行くつもりだった。そういうときにかぎって用事が入り午前中に変更。別の日にしようにも明後日までの開催で時間もない。地下鉄南北線後楽園駅から東京ドームはすぐ目の前だが、小雨の降る中、身体がうすら寒く足も重い。開場時間の10時とほぼ同時に着いたが、入場口にはすでにかなりの行列ができていた。スタッフを除いて目にするのは女性ばかりで男性を探すのに苦労するくらいだ。
初めての東京ドーム。予想はしていたがさすがに広い! そこにキルトの展示やショップが所狭しと並んでいる。しかし、広さを超える人波にやがて覆われた。会場に入って10分もしないうちにフレームに人を入れずに写真を撮るのが難しくなってしまった。会場にいられるのは2時間の予定なので、すぐに特別企画「私の『赤毛のアン』物語」へと向かう。東京ドームの中にあのグリーン・ゲイブルズが再現されていた。(ちょっと不思議な光景!) そこにはパフスリーブを飾ったアンの部屋などもある。恋人たちの小径さえあった。柵の上には布で作られたリスがとまっていた。本物のグリーン・ゲイブルズで見た光景が再現されているようで嬉しくなった。作者モンゴメリの作ったキルトや、日本のキルト作家の方々(「鷲沢玲子さんと仲間たち」とのこと)が「赤毛のアン」をモチーフにして作られた様々なキルトが展示されていた。キルトそのものもさることながらキルトの横に書かれている「創作ノート」を読むと、作者が「赤毛のアン」に何を感じたかがわかり興味深かった。「赤毛のアン」のコーナーにいると「子どもの頃に夢中になって読んだ」とか「何度も読み返した」といった声が一度ならず聞こえてきた。ファンだからこそ見にきたともいえるだろうが、老若を問わず日本人女性のアンへの思い入れの強さを感じた。「実際にカナダへ行ってみたい」という声も聞いたが、そばで「本物のグリーン・ゲイブルズを見てきたんだよ」とこころの中でつぶやき、別に誇るべきことでもないのにちょっと胸を張りたくなってしまった。
たまたま「キルトがたどる不思議な縁」だっただろうか、そんなアナウンスが何度も流れていた。まったくそのとおりだと思った。「赤毛のアン」に出会わなければキルトなどというものも知らず、この会場に来ることもなかったにちがいない。実をいうとアン関係以外の展示にはさほど期待をしていなかったのだが、「新作キルトの競演『森~悠久のいのち~』」を見て、キルトの美しさや芸術性に正直感銘を受けた。森をテーマにした絵画の競演を見た思いだ。(そのことについてはまた後日書きたいと思っている。) 最後にNHK出版のブースを見た。松本侑子さんの著書も平積みされていた。午後からはサイン会が開かれることになっていて、本来ならばちょっとご挨拶していくつもりだった。キルトとの縁はアンとの出会いに始まり、アンとの縁は松本侑子さんとの出会いに始まる。それでは、キルトとの出会いは未来に向かってどんな縁を結んでくれるのだろうか。キルトが紡ぎだす柔和で豊かな色彩とデザインに囲まれているうちに体調も少し良くなったような気がした。外は曇天の下、まだ霧雨が降っていた。時間があればもう少しゆっくりと見たかった。そんな思いに後ろ髪を引かれながら東京ドームを後にした。
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最悪とまではいわないが体調はけっして芳しくなかった。はじめの予定では午後からゆっくりと行くつもりだった。そういうときにかぎって用事が入り午前中に変更。別の日にしようにも明後日までの開催で時間もない。地下鉄南北線後楽園駅から東京ドームはすぐ目の前だが、小雨の降る中、身体がうすら寒く足も重い。開場時間の10時とほぼ同時に着いたが、入場口にはすでにかなりの行列ができていた。スタッフを除いて目にするのは女性ばかりで男性を探すのに苦労するくらいだ。
初めての東京ドーム。予想はしていたがさすがに広い! そこにキルトの展示やショップが所狭しと並んでいる。しかし、広さを超える人波にやがて覆われた。会場に入って10分もしないうちにフレームに人を入れずに写真を撮るのが難しくなってしまった。会場にいられるのは2時間の予定なので、すぐに特別企画「私の『赤毛のアン』物語」へと向かう。東京ドームの中にあのグリーン・ゲイブルズが再現されていた。(ちょっと不思議な光景!) そこにはパフスリーブを飾ったアンの部屋などもある。恋人たちの小径さえあった。柵の上には布で作られたリスがとまっていた。本物のグリーン・ゲイブルズで見た光景が再現されているようで嬉しくなった。作者モンゴメリの作ったキルトや、日本のキルト作家の方々(「鷲沢玲子さんと仲間たち」とのこと)が「赤毛のアン」をモチーフにして作られた様々なキルトが展示されていた。キルトそのものもさることながらキルトの横に書かれている「創作ノート」を読むと、作者が「赤毛のアン」に何を感じたかがわかり興味深かった。「赤毛のアン」のコーナーにいると「子どもの頃に夢中になって読んだ」とか「何度も読み返した」といった声が一度ならず聞こえてきた。ファンだからこそ見にきたともいえるだろうが、老若を問わず日本人女性のアンへの思い入れの強さを感じた。「実際にカナダへ行ってみたい」という声も聞いたが、そばで「本物のグリーン・ゲイブルズを見てきたんだよ」とこころの中でつぶやき、別に誇るべきことでもないのにちょっと胸を張りたくなってしまった。
たまたま「キルトがたどる不思議な縁」だっただろうか、そんなアナウンスが何度も流れていた。まったくそのとおりだと思った。「赤毛のアン」に出会わなければキルトなどというものも知らず、この会場に来ることもなかったにちがいない。実をいうとアン関係以外の展示にはさほど期待をしていなかったのだが、「新作キルトの競演『森~悠久のいのち~』」を見て、キルトの美しさや芸術性に正直感銘を受けた。森をテーマにした絵画の競演を見た思いだ。(そのことについてはまた後日書きたいと思っている。) 最後にNHK出版のブースを見た。松本侑子さんの著書も平積みされていた。午後からはサイン会が開かれることになっていて、本来ならばちょっとご挨拶していくつもりだった。キルトとの縁はアンとの出会いに始まり、アンとの縁は松本侑子さんとの出会いに始まる。それでは、キルトとの出会いは未来に向かってどんな縁を結んでくれるのだろうか。キルトが紡ぎだす柔和で豊かな色彩とデザインに囲まれているうちに体調も少し良くなったような気がした。外は曇天の下、まだ霧雨が降っていた。時間があればもう少しゆっくりと見たかった。そんな思いに後ろ髪を引かれながら東京ドームを後にした。
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