6月13日ホルムズ海峡付近でのタンカー攻撃について、ロシアの中東・外交専門家たちがロシアプレスで次々と見解を発表している。以下主なものを紹介する。
ロシア科学アカデミー東洋研究所研究部長ビタリー・ナウムキン氏
TV局「ロシア24」への同氏コメントを、6月17日付ノーボスチ通信が以下のように伝えている。
「こんな攻撃がだれの利益になるのか、という観点から見れば、イランは最も大きな損をする側であるといえます。なぜ今のタイミングでイランにこんな行為を起こす必要があるのでしょう。イランにとっては何の利益にもならない愚かな行為です。破壊力を見せつけるためでしょうか?ありえるとして、見せつけて何になるのでしょうか?なんの得もない」
モスクワ国際研究所文明協力センター長ビタリー・ポポフ氏
同氏はアメリカのイランに対する攻撃的なスタンスが世界で支持を得られていない現状を指摘する。6月17日付REGNUMが伝えた。
「アメリカは全世界と喧嘩をしまくり、すべてを敵に回しました。だから、最近のアメリカの発言にはおおむね慎重さが目立つようになったのかと思います」
「例えばイラクは、アメリカが90年間の間イランからの電力供給を受けられるよう約束し、何の制裁も課さない条件であったと指摘しています。アメリカ側の立場は困難なものです、現在全てのプレイヤーを屈服させないと先に進めませんが、もうそれは不可能です。この理解がまず必要です」
戦略コミュニケーションセンター(*)長ドミトリー・アブザロフ氏
6月16日付News.ruがオンラインTV<RT>へのコメントを伝えた。
アブザロフ氏によれば、米国イランの石油輸出を妨害するために、イランがオマーン湾で二隻のタンカーを攻撃したと主張している。
さらに同氏は、米国が同盟国、特にサウジアラビアと協力してイランに圧力を強めようとしており、制裁回避の道を遮断するためにEU-イランの対話を防止しようとしている、と指摘している。
*2004年に設立された独立系シンクタンク。ロシアの対外PRや対外イメージ改善戦略を
専門としているため、前二者のような国立機関ではないが、中立的シンクタンクではない。
<EWの分析>
上にあげた専門家たちは主には国立研究所の専門家。政府見解から完全に自由な立場ではないが、中東情勢に詳しい一流の研究者たちであり、その見解には一抹の真理も含まれるかと思われる。
特にナウムキン氏の「タンカー攻撃をして今イランに何の得があるのか?」という問いかけと、ポポフ氏の「アメリカの対イラン強硬スタンスは世界から支持をえられていない」という現状の指摘は適格。アザロフ氏の主張は根拠を上げていないため、一方的なアメリカーサウジ陰謀論にも聞こえる。米国内部にもイランの関与について意見の対立があることをより詳細に分析しなければ、イラン陰謀論にアメリカ陰謀論で反論しているに過ぎない。
EWとして現時点でイラン系組織の関与を完全否定はしないが、もしイランの組織が関与しているとすれば、イラン指導者のスタンスにお構いなしに勝手に動くイラン系武装集団が単独行動しているという形しか考えにくい。
ロシア科学アカデミー東洋研究所研究部長ビタリー・ナウムキン氏
TV局「ロシア24」への同氏コメントを、6月17日付ノーボスチ通信が以下のように伝えている。
「こんな攻撃がだれの利益になるのか、という観点から見れば、イランは最も大きな損をする側であるといえます。なぜ今のタイミングでイランにこんな行為を起こす必要があるのでしょう。イランにとっては何の利益にもならない愚かな行為です。破壊力を見せつけるためでしょうか?ありえるとして、見せつけて何になるのでしょうか?なんの得もない」
モスクワ国際研究所文明協力センター長ビタリー・ポポフ氏
同氏はアメリカのイランに対する攻撃的なスタンスが世界で支持を得られていない現状を指摘する。6月17日付REGNUMが伝えた。
「アメリカは全世界と喧嘩をしまくり、すべてを敵に回しました。だから、最近のアメリカの発言にはおおむね慎重さが目立つようになったのかと思います」
「例えばイラクは、アメリカが90年間の間イランからの電力供給を受けられるよう約束し、何の制裁も課さない条件であったと指摘しています。アメリカ側の立場は困難なものです、現在全てのプレイヤーを屈服させないと先に進めませんが、もうそれは不可能です。この理解がまず必要です」
戦略コミュニケーションセンター(*)長ドミトリー・アブザロフ氏
6月16日付News.ruがオンラインTV<RT>へのコメントを伝えた。
アブザロフ氏によれば、米国イランの石油輸出を妨害するために、イランがオマーン湾で二隻のタンカーを攻撃したと主張している。
さらに同氏は、米国が同盟国、特にサウジアラビアと協力してイランに圧力を強めようとしており、制裁回避の道を遮断するためにEU-イランの対話を防止しようとしている、と指摘している。
*2004年に設立された独立系シンクタンク。ロシアの対外PRや対外イメージ改善戦略を
専門としているため、前二者のような国立機関ではないが、中立的シンクタンクではない。
<EWの分析>
上にあげた専門家たちは主には国立研究所の専門家。政府見解から完全に自由な立場ではないが、中東情勢に詳しい一流の研究者たちであり、その見解には一抹の真理も含まれるかと思われる。
特にナウムキン氏の「タンカー攻撃をして今イランに何の得があるのか?」という問いかけと、ポポフ氏の「アメリカの対イラン強硬スタンスは世界から支持をえられていない」という現状の指摘は適格。アザロフ氏の主張は根拠を上げていないため、一方的なアメリカーサウジ陰謀論にも聞こえる。米国内部にもイランの関与について意見の対立があることをより詳細に分析しなければ、イラン陰謀論にアメリカ陰謀論で反論しているに過ぎない。
EWとして現時点でイラン系組織の関与を完全否定はしないが、もしイランの組織が関与しているとすれば、イラン指導者のスタンスにお構いなしに勝手に動くイラン系武装集団が単独行動しているという形しか考えにくい。