好美が目を覚ますと、辺り一面、真っ白だった…。
<ここ、どこ…?>
好美は静かに起き上がった。そこは、病院の診察台の上で、周りを白いカーテンで覆われていた。
診察台の方へ耳を傾けると、好美の母・美麗の声と医師らしい男性の声が聞こえてきた。
「…どういう事なんですかっ!」
美麗は、ひどく動揺していて、声を荒げていた。
「お母さん、落ち着いて聞いて下さい…」
好美は、医師の声が聞こえづらいので、少しだけカーテンを開け、耳を澄ませた。
「…これは、滅多にない事なのですが…、恐らく、性染色体の先天性異常ではないかと思われます。娘さんがまだお腹の中にいる時、性染色体が分化し、何らかの異常を起こしたままだったと思われます…。今まで、何の自覚症状も現れなかったので、学校で行なわれているような健康診断では発見されなかったのでしょうけれど、今、娘さんの体に変化が現れています。すぐに手術をすれば治まるのですが…」
医師は、言いづらそうにレントゲン写真を見つめながら、美麗に説明を続けた。
「…今回のケースの場合、性腺が精巣に分化し始めています。その為、体も男性化が始まっていますので…、残念ですが、手術の結果次第では、娘さんは女性ではなくなるかもしれないのです…」
<えっ…?>
好美は、それを聞いて一瞬自分の耳を疑い、驚きのあまり思わずカーテンを開けてしまった。
「…どういう事なんですかっ…!」
好美は、今にも泣き出しそうな表情をして、医師の方を見た。医師は、好美にもどういう状態なのかを告知した…。
話によると、好美は稀に見る「先天性仮性半陰陽」で、その影響で体が次第に「男性化」しているというのである。好美の声が低くなってきたり、背が伸びてきたり、14歳になっても胸が大きくならなかったり、「初潮」がないのはその為であった…。
手術をすれば「性腺の分化」は治まるのだが、好美の場合、手術の結果によってはそのまま「女」ではなく「男」になってしまう可能性があるのだという…。
「…とにかく、一刻でも早く娘さんの手術が必要です。このまま放っておくと、命にも関わります」
美麗と好美はしばらく愕然としていたが、医師に促され、一刻を争うので、美麗はすぐに入院の手続きをした。
「あと、パジャマとか必要なものは、あとで持ってくるから…」
美麗は半ばパニックに陥りそうになるのを必死で抑え、好美を病室のベッドに寝かせると、そそくさとマンションに帰っていった…。
好美はその日の夜、病院から出された食事も通らず、病室のベッドで一人、声を上げて泣いた…。
<ここ、どこ…?>
好美は静かに起き上がった。そこは、病院の診察台の上で、周りを白いカーテンで覆われていた。
診察台の方へ耳を傾けると、好美の母・美麗の声と医師らしい男性の声が聞こえてきた。
「…どういう事なんですかっ!」
美麗は、ひどく動揺していて、声を荒げていた。
「お母さん、落ち着いて聞いて下さい…」
好美は、医師の声が聞こえづらいので、少しだけカーテンを開け、耳を澄ませた。
「…これは、滅多にない事なのですが…、恐らく、性染色体の先天性異常ではないかと思われます。娘さんがまだお腹の中にいる時、性染色体が分化し、何らかの異常を起こしたままだったと思われます…。今まで、何の自覚症状も現れなかったので、学校で行なわれているような健康診断では発見されなかったのでしょうけれど、今、娘さんの体に変化が現れています。すぐに手術をすれば治まるのですが…」
医師は、言いづらそうにレントゲン写真を見つめながら、美麗に説明を続けた。
「…今回のケースの場合、性腺が精巣に分化し始めています。その為、体も男性化が始まっていますので…、残念ですが、手術の結果次第では、娘さんは女性ではなくなるかもしれないのです…」
<えっ…?>
好美は、それを聞いて一瞬自分の耳を疑い、驚きのあまり思わずカーテンを開けてしまった。
「…どういう事なんですかっ…!」
好美は、今にも泣き出しそうな表情をして、医師の方を見た。医師は、好美にもどういう状態なのかを告知した…。
話によると、好美は稀に見る「先天性仮性半陰陽」で、その影響で体が次第に「男性化」しているというのである。好美の声が低くなってきたり、背が伸びてきたり、14歳になっても胸が大きくならなかったり、「初潮」がないのはその為であった…。
手術をすれば「性腺の分化」は治まるのだが、好美の場合、手術の結果によってはそのまま「女」ではなく「男」になってしまう可能性があるのだという…。
「…とにかく、一刻でも早く娘さんの手術が必要です。このまま放っておくと、命にも関わります」
美麗と好美はしばらく愕然としていたが、医師に促され、一刻を争うので、美麗はすぐに入院の手続きをした。
「あと、パジャマとか必要なものは、あとで持ってくるから…」
美麗は半ばパニックに陥りそうになるのを必死で抑え、好美を病室のベッドに寝かせると、そそくさとマンションに帰っていった…。
好美はその日の夜、病院から出された食事も通らず、病室のベッドで一人、声を上げて泣いた…。
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