突然噛みつき、吠え続けたり、物を壊したり…。犬や猫の問題行動を治療するペットの「精神科医」が増えている。大学付属の動物病院を含め、全国で20ヶ所近く。室内飼育が増え、家族との関係がこじれてストレスや不安を高めている例が多いという。行動治療や訓練の他、抗うつ薬を使った治療もある。
☆室内で飼うケース目立つ
東京都内の主夫(46)は昨夏、捨て犬だった推定6~7歳のミニチュアダックスフントを引き取った。
犬を飼うのは初めて。おとなしかったが、1週間後、菓子を袋ごと持っていこうとしたので取り上げると手を血が出るほど噛まれた。それからは散歩後に足を拭こうとしただけでも、うなって噛むようになった。
雑誌「いぬのきもち」(ベネッセ)で、東大の動物医療センターが動物行動学に基づく治療をしていることを知った。事前の質問に答え、カウンセリングを受けると原因がわかってきた。
群れ行動をする犬は、家族を群れの仲間と認識し、飼い主をリーダーと考える。だが、この主婦の犬は、捨て犬時代に心の傷を負ったためか、主婦を自分より下位と認識していた。菓子の事件をキッカケに、ワガママが通らないと、攻撃するようになったのだった。
主婦が命じた「お座り」などを徹底させる行動治療プログラムを続け、「主婦がリーダー」と認識させた。これを基本に、攻撃的な行動をとったら視線を合わせず無視し、悪いことをしたとわからせる訓練を続けると、だんだん噛まなくなった。
欧米では、90年代にこうしたペットの行動治療に専門医制度が出来るなど整備が進んでいる。国内でも、7年前に酪農学園大学(北海道江別市)に初めて行動治療科が設置され、00年に東大でも治療が始まった。2年前に獣医師らによる獣医動物行動研究会も出来た。
東大では現在、100頭以上診ているが、1割が猫で、残り9割が犬。飼い主が飼うのが初めてで、しかも室内で飼うケースが目立つという。
必要以上に密接に暮らす一方で、しかるタイミングがずれたり、甘やかし過ぎたり。「混乱して不安になり、問題行動に繋がる」と同大の武内ゆかり助教授は指摘する。
☆指導守れば8割近く改善
問題行動では、噛みつくなどの攻撃行動が最も多い。一人暮らしの女性が男性と同居を始めたら、その男性を突然噛むようになった「三角関係」の例もあった。
飼い主が見えないと不安になり、吠え続けたり物を壊したりする「分離不安」、雷や花火でパニックになる「恐怖症」、自分のしっぽを追ってグルグル回り続ける「常同行動」などもある。
治療は、不安やストレスを和らげる犬用や猫用のフェロモン製剤や、人間の抗うつ剤でもある塩酸クロミプラミンなども使う。
酪農学園大の内田佳子助教授は「但し、治療の効果は飼い主がいかに指導を守るかで決まる。時間はかかるが、8割近くは改善出来ます」と話す。
受診出来る病院は、獣医動物行動研究会のホームページで。
http://www.vm.a.u-tokyo.ac.jp/koudou/vbhHP/VetBehTherapy.html
☆室内で飼うケース目立つ
東京都内の主夫(46)は昨夏、捨て犬だった推定6~7歳のミニチュアダックスフントを引き取った。
犬を飼うのは初めて。おとなしかったが、1週間後、菓子を袋ごと持っていこうとしたので取り上げると手を血が出るほど噛まれた。それからは散歩後に足を拭こうとしただけでも、うなって噛むようになった。
雑誌「いぬのきもち」(ベネッセ)で、東大の動物医療センターが動物行動学に基づく治療をしていることを知った。事前の質問に答え、カウンセリングを受けると原因がわかってきた。
群れ行動をする犬は、家族を群れの仲間と認識し、飼い主をリーダーと考える。だが、この主婦の犬は、捨て犬時代に心の傷を負ったためか、主婦を自分より下位と認識していた。菓子の事件をキッカケに、ワガママが通らないと、攻撃するようになったのだった。
主婦が命じた「お座り」などを徹底させる行動治療プログラムを続け、「主婦がリーダー」と認識させた。これを基本に、攻撃的な行動をとったら視線を合わせず無視し、悪いことをしたとわからせる訓練を続けると、だんだん噛まなくなった。
欧米では、90年代にこうしたペットの行動治療に専門医制度が出来るなど整備が進んでいる。国内でも、7年前に酪農学園大学(北海道江別市)に初めて行動治療科が設置され、00年に東大でも治療が始まった。2年前に獣医師らによる獣医動物行動研究会も出来た。
東大では現在、100頭以上診ているが、1割が猫で、残り9割が犬。飼い主が飼うのが初めてで、しかも室内で飼うケースが目立つという。
必要以上に密接に暮らす一方で、しかるタイミングがずれたり、甘やかし過ぎたり。「混乱して不安になり、問題行動に繋がる」と同大の武内ゆかり助教授は指摘する。
☆指導守れば8割近く改善
問題行動では、噛みつくなどの攻撃行動が最も多い。一人暮らしの女性が男性と同居を始めたら、その男性を突然噛むようになった「三角関係」の例もあった。
飼い主が見えないと不安になり、吠え続けたり物を壊したりする「分離不安」、雷や花火でパニックになる「恐怖症」、自分のしっぽを追ってグルグル回り続ける「常同行動」などもある。
治療は、不安やストレスを和らげる犬用や猫用のフェロモン製剤や、人間の抗うつ剤でもある塩酸クロミプラミンなども使う。
酪農学園大の内田佳子助教授は「但し、治療の効果は飼い主がいかに指導を守るかで決まる。時間はかかるが、8割近くは改善出来ます」と話す。
受診出来る病院は、獣医動物行動研究会のホームページで。
http://www.vm.a.u-tokyo.ac.jp/koudou/vbhHP/VetBehTherapy.html