高尾山の谷沿いの道に小さな白い花をたくさん開いていた「ユリワサビ」。うっかりすると見落とすような花だ。ワサビに似た花と葉をつけ、百合に似た球根をつけるためにこの名前がある。ワサビとアブラナ科ワサビ属の多年草 だが、ワサビの代用には使えないので、イヌワサビとかハナワサビとも呼ばれる。早春の可憐な花である。
(2020-03 高尾山)
沢沿いの湿り気がある小石が多い場所に生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。早春の花のなかでもいち早く咲く花のひとつである。葉が枯れたあと、柄(え)のもとの部分がふくらんで根もとに残る。それがユリの鱗茎(りんけい:ゆり根と呼ばれる部分。実際は養分を蓄えた肉厚の葉)に似ていることからその名が付いた。ワサビを小さくした感じだが、ワサビの茎はまっすぐに立つのに対し地をはうように茎をのばす。茎の先に約1センチの白い十字形の花をたくさんつける。葉はハート形で、でこぼことした鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ)がある。根もとの葉は大きく茎につく葉は小さい。葉や根茎(こんけい:根のように見える地下にある茎)には、ほのかにワサビと同じような辛みがある。
●季節 3月中旬~4月下旬頃
●高さ 約10~30センチ
●場所 1~6号路、稲荷山、蛇滝、裏高尾、南高尾、北高尾