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読書メモ ローナ・ウイング著、久保ら訳 自閉症スペクトラム 東京書籍 1998 その2

2020-03-17 14:18:12 | 発達臨床
第二章 自閉症スペクトラム障害とは

1. 「自閉的行動は発達の障害の結果である」と認識

 どんなスキルが適切に発達しないのか?
当初は、「言語発達に基づいて自閉的行動が生じる」と考えられた。
→ 得意な言語障害の克服により、根本的な改善がもたらされるのではないか?
しかし、言語発達に問題がみられないにも関わらず自閉的行動をもつ人がいた。
この仮説は否定される。

2.自閉症スペクトラム障害のある子どもの親の記憶から

 健常児の発達
0歳児 
①特に母親や他の養育者などをはじめとして、他人の姿や声に対して生まれつきに備わった関心がある。
②言葉が出る以前から、身体を動かしたり赤ちゃん声をあげたりしながらどうにかしてコミュニケーシ
  ョンをとろう、他人からのコミュニケーションに反応しようとする意欲が見られる。
生後2年目 想像力
 ①遊びは単純な感覚を求めてだったのが、はっきりとした目的をもつようになる    
②次にごっこ遊びとなる ~ あるものを他の何かに見立てて遊ぶ
 ③やがて仲間遊び ~ 複雑な想像遊びをするようになる
想像の中ではどんなスキルでも可能となる
     想像によって社会的遊びの中で別の人になったふりをし、その人の社会的役        
割を演じるようになる。
これが可能となるのは、「心の理論」(人には思考や感情があるとの認識)の発達
これらの能力は、脳の機能に基づいている。
→ 自閉性障害をもつ子どもたちは、この能力が欠けていたりひどく損なわれたりしている。

3.キャンベル調査の結果より
 どんなタイプであれ自閉的特徴ををもつどの子どもの次の3点、
①人との相互交渉、②コミュニケーション、③想像力の発達
 が共通してかけていたり、障害されていたりしていた。
 プラス、どの子どもにも狭く固い反復的活動や興味のパターンがあった。

4.三つ組の根底にあるより基本的な精神機能の障害

(A)「①過去の記憶のなかや今起きていることからあらゆる情報をまとめあげ、
    ②経験したことの意味を理解し、
    ③将来何が起こりうるのかを予測して計画を立てる能力」
の欠如
→ ①世の中の意味を理解できず経験から学ぶことが困難
②自分自身を時間と空間の中に有機的に構造化することが困難
ウタ・フリス 「全体的統合への動因と呼ぶものが欠けている」

入ってくる情報が複雑になればなるほど、自閉性障害のある人が理解するのは困難となる
   人間は、会話・動作・反応などが非常に複雑かつ変化に富んでいるので、社会的相互交渉  
   の障害が自閉性障害の主要な特徴であるとしても自然なこと

(B)さらに深いレベルでは・・・
   さまざまな経験に対して、それぞれ異なった感情的意義をもたせるという、普通は生まれ   
備わっているシステムが障害されている可能性がある。

→ 重要な事項と些細な事項とを区別する能力が損なわれているようである
とりわけ、他人への関心の欠如こそが決定的な特徴
      これに伴って、無意味に思えるような特定の物や体験に対する特有な魅了のされ方

現在のところは、この基本的な精神機能の障害については研究が必要な仮説段階
 なので、当面は「三つ組」を探し出すことにより、自閉症スペクトラム障害の識別をせざるを 
得ない


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