イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

Massa-Carrara Cava di marmo(大理石の採掘現場)編

2010年10月21日 12時15分26秒 | イタリアの小さな街・大きな街(Fi以外)
Mamma mia!(ひえ~)
早くも2週間も前のことになりつつある・・・
ということで思い腰を上げていっちょこのネタに取り掛かることにします。
というのも昨日、買い物帰りで、おんぼろbici(自転車で)ふらふらしていたらいきなり電話がかかってきて、
「明日(今日ですが)コンピューター室が使えないので授業は有りません」と
もちろん普段は電話なんかかかってきませんよ。そんなことしていたら大変大変。
これは図書館が主催する特別なコースなんで。でもなんともご丁寧。
ということでいきなり一日フリーになった(午後ちょっと用事が有りますがその話は後日)ので、こちらの話題に取り掛かることにした。

なんでこの話題が腰が重いかというと、話題はいいんです。重いのは写真
せっかくだからと大きいカメラを持って行ったわけですが、写真はきれいで良いのだが、ここに載せると写真を圧縮しないといけない。
300枚近くあった写真の中から選りすぐっても結構あるんだよなぁ・・・それが面倒なんですわ。
ということで昨日の夜、電気代が安いうちに写真の圧縮だけは済ませておいた、というわけ。

さて、Massa-Carraraに行ったのは10月8日
前日0時近くに友人のよん太郎さん到着。
お疲れのところ追い討ちをかけるような報告。
実は彼女には話していなかったけど、翌朝6時半の電車に乗らなきゃいけないので、5時過ぎには起きないと・・・
何でこんなことがおきたか・・・というのを詳しく話すとそれだけで終わってしまうので省略すると。
実は現地を案内してくれる友人のご両親に「出来るだけ早く来ないと何も見られないよ」と言われたから。

何とか早起きをして電車に。
目的のMassa -AvenzaまではFirenzeから131km、電車で2時間。
しかしこの電車、問題はPisaで乗り換え。更に時間が短い・・・
切符を買うときもご親切にPisaでの乗り換え時間が10分を切っていること、機械に表示されていた。
遅れるのが普通との悪評高いTrenitalia,いつものように遅れていたら・・・
まぁ仕方がない、なるようにしかならんのだ。←こう考えないとイタリアでは生きて行けない!

Pisa駅でちょっとおろおろしたものの、なんとか予定通りのLa Spezia行きの電車に乗れた。
Toscanaの海側は初めてかも。実はCarraraがこんなに海に近いなんて知らなかった・・・
電車の中ではよん太郎さんの職場の話などで大盛り上がり。
新人を育てるって大変ですね。Forza~!

さて、奇跡的に時間通りにCarrara-AAvenza駅に到着
あれ?二人は私たちのこと分かるのかな???
なんて心配をよそに(それほど大きな駅ではないので、日本人二人連れなんて私たちしかいなかったし・・・)
ご両親はすぐ私たちに気づいてくれた。
この時の時刻は9時!!
早起きすると一日って長いねぇ~

お腹すいたなぁ~という私たちの気持ちを先回り察してくれていたようで
まずおうちでコーヒーと甘いものを頂く。
ふ~落ち着いた。
そして早速出発進行!!

いや~私、今までイタリアで生きてきてこれだけ計画的な人、見たことがない。
訪問の数日前、お父さんからメールが来て(この時期迷惑メールに悩まされていたこともあって、ここでもまたひと騒動あったのだが)
この日の行程と、私が何よりも楽しみにしていたCava di Marmoの見学の前知識のような資料が送られて来た。
まるでGita(遠足)だよ~と思わず興奮してしまい、
ふざけて「お菓子は持っていってもいいですか?」(バナナはイタリア人には通じないだろうから聞かなかったけど)と聞くと
「al sacco(たくさん)は駄目だよ。なぜならお昼が食べられなくなるから」と的を得た返事が返ってきた。

最初の目的地である採掘場へ向かう車の中、ふと見ると隣でよん太郎さんがなにやら辞書を引いている。
「何を調べているの?」と聞くとなんとMarmoだった・・・ごめん、説明しなかったよね。
私の生活では普通の単語だと思っていたのだが、そんなはずはありません。
日常単語ではないので、やはり説明が必要だったのだ・・・ごめんね。

Marmoとは、大理石のことです。

さて、Marmoが何か分かったところで改めてCarraraのMarmoと言えば、もちろん巨匠Michelangeloでございます。
「大理石の中に眠っているものを掘り出すのが彫刻家の仕事」と言ったとか言わないとか、これが芸術家の芸術家たる所以(?)でございます。
当時、いやローマ時代からCarraraのMarmoは非常に有名で、昔は船でMarmoをローマに運んだという。
他には牛を使ったりしていたらしい。
こんな感じ↓

こちらは後で紹介するMarmoの博物館に展示されている、Marmoで出来た牛たち。

それにしてもこの大理石、石灰の結晶でしょう?
こんな大きくなるまでどれだけ時間がかかるんだろうか???
あ~嫌なこと思い出した。
来週はVasariのLe ViteのMichelangeloの部分を授業でやるんですよねぇ・・・重いんだなぁこの授業。
勉強も一応していることをアピール!!
まぁここでは簡単に、Marmoと言えばCarrara、
Marmo=Carrara=Michelangeloなんて方程式が勝手に浮かんでしまうというくらいに留めておく、なんちゃって学生の私。
ちなみにCarraraのMarmoはMarmo bianco、白大理石が主流です。
掘り出すときは灰色がかっている↓(空気の汚染などが問題らしい)けど、これが磨くと本当に白くなるんですと。

↑これは採掘場のなかの屋根部分

先ほど、電車の中からもMassaの手前ぐらいから大理石の山が見えていた。
ちなみにMassaとCarraraが別の街だってことも今回初めて知った。
両方とも主な産業はMarmo関係という感じです・・・
港には世界各国へ散らばって行くMarmoが所狭しとおかれていた。
日本に行くのももちろんあるよね。
 
目的地のFantiscrittiに到着
既にMarmoに囲まれた。

駐車場に車を停めると

この車↑でツアー?なんか派手だなぁ・・・
実際はもっとおんぼろな車が私たちを採掘場まで連れて行った。

駐車場の隣にある工房では大きな大理石を彫っていた。
もちろん現在は機械彫りだが、結構力仕事です。
いや~実際炭鉱などもそうですが、このMarmoの採掘も太古から方法は違えど重労働で危険な仕事。
更に環境汚染の問題などいろいろな課題を未だに抱えているのが事実だそうです。
あっ、ごみ問題の写真ではないですよ。
たまたまた看板↓がごみ置き場に・・・

ここFantiscrittiでは、採掘場見学ツアーを実施しています。
実際今採掘している現場は3箇所あるらしいのですが、ここが一番大きいとツアーで説明された。
(但し、私の記憶が確かなら・・・)

Marmo Tour
集合場所場所の目印はこの人↓

11:00-18:00
ツアー自体は40分くらいと言っていたけど、なんだかんだで1時間くらいはかかったと思う。
1人7ユーロ
採掘場の中は18度・・・って今のこの部屋より暖かいよ。

この小屋の脇のトンネルから随時大理石を乗せたトラックがやって来るので注意。

この大理石、荷台に乗せるとトラックの運転席が上がってしまうほど重いんですと。

ツアーが始まるまで時間があるので、近くにある博物館・・・と呼べるほど大層なものではないのですが(失礼!)
そこを見学。お父さんが丁寧に説明してくれた。
さすが学校の先生をしていただけあり。話し方がうまい!
あっ、ちなみにこの博物館ちゃんとサイトを持っていたんだっけ。
Cava museo di Walter Danesi

ます博物館の入り口にあるミニチュア

過去の大理石の採掘の仕方や道具など、まさにこの博物館の縮小版がおいてある。
これが非常に良く出来ている。
実物は・・・割愛(するつもりだったけどやっぱり頑張って載せます。)

これは入り口には当時の作業人をかたちどったもちろんこれも大理石で出来た像。
他には

Marmoを切るのこぎり

Marmoを運ぶ
そういえば、何の話だったかな?
Marmoを建造物を移動させるのに、イタリアから技術者がエジプトのギザに行って、実際ギザの遺跡を動かした技術を学びに行ったと
お父さんは説明していた。

こちらもMarmoを切る方法
割れ目に水を含ませた木を差込み、乾くと木が膨らむ、その力を利用してMarmoを裁断していた。
爆薬を使ったりしていた時期もあるらしいのだが(最近イタリアではない国でこのやり方を使っているのをテレビで見た)
これを使うと無駄な損失が多いので、やめたらしい。リスクも高いし・・・

そんなこんなでまともな説明&barzelletta(笑い話)を聞いていたら、あっという間に11時近くになったのでツアーに
先ほどの場所に戻り、
おんぼろバンに乗り込んでいざ出発進行!

トンネルの先は雪国・・・ではなく、でも不思議な空間だった。

ここが大理石の採掘場。山の調度中心に当たるらしい。
緻密な計算をもとに柱が立てられ↓、

調度右手奥に見えるドラム缶みたいなもの。
崩れてこないようになっている。

空気もこの空間には送られてきているのだが、やはり空気が薄いのか、ちょっと頭がくらくらする。
ここで、反対の入り口から来る人も待っていると・・・これ何だ?

何~日本人彫刻家の作品だ???
環境彫刻家の杭谷一東さんの作品・・・って作品は広島市尾道市にある未来心の丘、だそうです。
これは縮小版。
って本当にこんなの日本にあるの?と未だに半信半疑だわ。
今これ以外にも彼の作品が展示されている。あれ?ポスターの写真撮ったと思っていたのに・・・忘れたみたい。

さてツアーは英語とイタリア語。
「英語じゃないの?」と知らないおじさんに親切に言われた。
ふふふ、英語はイタリア語よりも分からんよ・・・というとみんな驚きます。
英語ツアーは少数だったので先に出発。

こちらはまつことしばし、しかしいきなりツアーは始まった。
あっ、一応ヘルメット着用は義務。
まぁ大理石が落ちてきたらこんなの役に立たない気もしますが・・・

部屋は何にもない。
奥の作品が杭谷氏のものらしい。
ここでは以前Ferrariの展示をやったりしたこともあるんですと。
って今その話を探していたら、さっきの博物館の話で面白い記事を発見した。
イタリア語のブログですが良かったらご参照ください。Le cave di Fantiscritti
あっ、これを読んだら逆?
こちらの技術がエジプトに応用されたと書いてあるよ・・・私の解釈が間違えていたのかな?
あれ~Ferrariの写真を探していたらどうやらマツダの車も展示されていたようです。

結構みんなまじめに聞いているでしょう?
 

これ↑、さっき外でも見たMarmoを切るのこぎり。現役です。
色々説明してくれるんだけど、私は右から左・・・ふ~ん、で終わってしまったので記憶が断片的ですみません。
途中水が流れているところにこんな遊び心
 
ちょっと分かりにくいかな?
魚はもちろん大理石。赤いのはえび?ザリガニ?左の緑はワニ・・・ゴムです。

あっという間にツアー終了。
ヘルメットはもとの場所へ。
みんなお迎えの車を待っております。

そんな時面白いことを発見

写真を撮る私。
大理石に映っています。

わたしとよん太郎さん

友人ご両親も加わり(撮影者の私は切れている)

もちろんこういう展開に。遊び心旺盛!
イタリアにも影絵はあります。

みんなで狐

「ワン、ワン!」
犬を教えるよん太郎さんと、感心しているお父さん。

面白いか面白くないかはひとそれぞれ。
私はかなり楽しんだけど・・・どう?
とにかく普通じゃ体験できないことは確かです!

こうして午前中のCava di Marmo(大理石採掘場)でのMarmoTourは終わった。
長くなったので、Cava以外は次回に続く・・・


最新の画像もっと見る

コメントを投稿