イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

GWの展覧会巡り その1ーマティス展とルオー展

2023年05月05日 12時19分42秒 | 展覧会 日本

GWも残すところあと2日、みなさまいかがお過ごしですか?
私は、3日に久しぶりに展覧会をはしご、その後はほぼ家から出ず、溜まった本をひたすら読んで過ごしております。
天気はいいけど、どこに行ってもすごい人!!
コロナ前ってこんなでした?
それともここ数年で人が少ないことに慣れてしまったかれでしょうか???

さて、5月3日まず向かったのは東京都美術館

先日始まったばかりの「マティス展」へ
相変わらず時間指定の予約が必要なので、この日はここからスタート。
入ってすぐの部屋は結構混んでいましたが、その後はわりと見やすい感じでした。
途中写真が撮れる階も有るのですが…これいらん、と思うんですけどね。
最後はヴァンス(Vence)のロザリオ礼拝堂(La Chapelle du Rosaire)で締めくくられていました。
あ~懐かしい、私も2017年に行ってます。

本当に静かな場所でした。
私が行ったとき、礼拝堂の中で日本人と思われる女性が黙々とデッサンをしていました。

あれからもう6年も経ってしまったなんて…
ー約20年ぶりの開催!20世紀芸術の巨匠アンリ・マティスの大回顧展
ー世界最大規模のマティスコレクションを誇るパリ、ポンピドゥー・センターから名品約150点を紹介
ー“フォーヴィスム”の夜明け、マティス初期の傑作《豪奢、静寂、逸楽》日本初公開
と美術館が見どころにあげているこのポイントどおりのなかなか見応えのある展覧会でした。
マティスの作品制作の変遷が時系列で系統立てて見られたのも良かったです。

参考:https://matisse2023.exhibit.jp/

このあと「東福寺展」に行ったのですが、それは後にして、パナソニック汐留美術館の「ジョルジュ・ルオー展」の話へ

なぜこちらに飛んだかというと、マティスとルオーは同門だったから。
実は知らなかったのですが、二人ともギュスターヴ・モローに学んでいたんですね。
同門、と言っても二人の作品は全然タイプが違うじゃん!と思ったのですが、モローは国立美術学校(エコール・デ・ボザール)でスタイル押し付けるのではなく、個性を生かす指導をしていた。
だからこうして全く違った素晴らしい画家が育った、というわけ。
ルオーとの関係や影響を受けたというセザンヌとのことなどに焦点を当てた作品も面白かったです。

こちらも最後に撮影可能な作品がありまして・・・



この《かわいい魔術使いの女》は今回目玉作品の1枚。
日本初公開で、晩年の傑作と言われています。
この作品はもとは福島繁太郎のコレクションの1枚でした。

「福島繁太郎って誰ぞや?」
”美術評論家。<中略>大正10年(1921)東大政治学科卒業後すぐに英国に留学(1922年まで)、つぎにはフランスに定住(1923~34)し、やがてドラン、ルオー、ピカソ、マチス等現代絵画の大作家たちの優れた作品の蒐集に向い、一時それは100点以上に達した。これがいわゆる福島コレクションで、その特色は何よりも精選された作品よりなるところにあった。この大部分は日本にもたらされたため、日本現代美術史上無視しえない大きな影響を与えたと思われる(1955年4月「みづゑ」臨時増刊「旧福島コレクション」には76点掲載されている)。”
引用:東文研アーカイブ

特にルオーとは仲が良かったみたい。
この作品を福島が所有していた際、最初に描かれていた人物は娼婦でした。
しかし、第2次大戦中「松方コレクション」同様敵国人財産としてフランス政府の管理下におかれてしまいます。この作品は現在フランスのポンピドゥー・センターが所蔵しています。
その後1948年、チューリッヒでの回顧展の前、ルオーは当局の許可を得て、大幅に手が加えられ、今の姿になったそうです。

1955年に出版された「旧福島コレクション」(美術出版社)という本にはマティス7点、ドラン21点、ルオー19点、ピカソ9点など計76点が紹介されているそうですが、現在これらの作品は各地に散逸しています。
そのなかにはアーティゾン美術館にあるルオーの「郊外のキリスト」やピカソの「女の顔」など日本に有るものもあるようですが、メトロポリタン美術館やMOMAのピカソ作品にも福島の旧コレクションが含まれています。

マティスとルオー、是非合わせてご覧いただきたい。
こちらも入場には予約が必要です。(時間指定だけで、チケットは窓口で購入)

参考:https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/23/230408/

 


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1 コメント

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福島繁太郎 (山科)
2023-05-20 03:34:00
福島繁太郎氏については、同時代だった矢代幸雄氏が思い出を書いていたと思います。
確か「忘れえぬ人々」に入っていたと思います。「私の美術遍歴」だったかもしれません。
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