イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

Tre mostre a Milano(3つの展覧会 ミラノ) 前編

2010年02月05日 01時59分47秒 | Mostra(展覧会)in Italia
冬真っ只中のこの時期、遠距離の移動は、観光客ではないので、極力控えているのだが、
何事?このユーロの安さ!
ということで、急遽Milano(ミラノ)まで行くことにした。
と言っても決して買い物に行ったわけでは有りませんのであしからず。

先週末、悪天候で、北の交通機関は乱れに乱れていたので心配だった。
貧乏学生はES(ユーロスター)には乗れません。
だって悪のFreccia rossa開通のせいで、Milano-Firenze間が2時間を切ったのはよしとしましょう(しょっちゅう遅れてますけど)、ESの料金がなんと57ユーロに跳ね上がったんです
ということで行きも帰りも唯一のIC(インターシティー)に。
これだと片道27.5ユーロ。
往復でESの片道!?

あっ、余談ですが30日前に予約すれば30%、15日以上前なら15%の割引がある。
旅行などで既に予定がお決まりの方は、早めに予約するとお得。
但し、サイトをよ~く見てくださいね。
安いチケットには、変更不可などデメリットも有るはず…
まぁ詳しくはTrenitaliaのサイトをご覧くださいませ。

8時35分、もちろん若干過ぎて出発
Bolognaへ続くトンネルを出た途端、そこは雪国だった
先日の雪がそこかしこに残っていた。
途中トイレに立つと、なんと珍しく後ろに車両が付いてなかったので、こんな写真が撮れた。


さてさて、電車は定刻より15分遅れ。まぁ15分なら大目に見るか、でも滞在時間が5時間しかないので、結構きつい。
降りるために並んでいると「日本には時速300キロで走る電車があるecc.」と聞こえてきた
たまたま目が合ってしまったので、
日本に行くの、行ったのと回りも巻き込んで井戸端会議…みなさんよくご存知で
ドアが開くと、自然と井戸端会議は終了、私も戦闘開始だ。

今日最初の目的はBrera
というよりMilanoに来た最大の目的がこれ

Carlo Crivelli(カルロ・クリヴェッリ)のMostra(展覧会)
Carlo Crivelli(カルロ・クリヴェッリ)と言っても日本人で知っている人はほとんどいないでしょうねぇ…
もちろん私は過去数回、彼の作品を見て気になっていたので知っていたが、彼のことを研究している日本人がいることに大きな驚きを感じ、彼女の本を読んで非常に共感を覚えた。

カルロ・クリヴエッリーマルケに埋もれた祭壇画の詩人ー
石井 暁子 講談社出版サービスセンター

彼女は50代で大学生として美術を勉強しているというだけでも共感を覚えるが、この本の全てがまるでここ数年の自分を見てきたようだ。
彼女との一番の違いは、実際イタリアで美術史を勉強できているという幸運(いや、本当は不幸かも???)

本の終わり、彼女の恩師の寄稿にこんな文章があった
「欧米の美術館や教会の著名な名画を求めて人は旅をするが、ときとして見知らぬ作品から突然、刺激を受けて立ち止まることがある。考えてみればそれは偶然ではなく、見知らぬ作品は、その芸術的トポスが生み出した成果の一部であり、感受性の鋭い旅人が反応するのは当然のことだといえる。」
著名な作品だけが、"名画"ではないのだ。
私はここイタリアで、それを常に感じている。
それこそが、私がイタリアで勉強できる、最高の幸せなのだ。

更にこの本には彼女の論文が掲載されている。
なぜか偶然同じ学部に通う、唯一の日本人友人の元にもこの本がやってきて、お互い「この本のように論文を書いて一緒に出版しよう!」と励ましあっている。
但し、論文はイタリア語で書くので、翻訳しないと駄目ですが…
でも、もしそんな幸運に恵まれたら、是非皆さんよろしく~!

行きの電車の中で、しっかりこの本を読んで予習をしたおかげで(日本語ですしね)非常にMostraを楽しみ事ができた。
作品数は非常に少ない。
というのも本に書いてあったが、作品は少ないほうではないのだが、世界中に散在していて、なかなか完璧な作品というものがない。
更に、なぜかカタログには載っている、メインの作品がなかった。
展示されていたのは写真…貸し出しの折り合いが付かなかったのかな?
されど作品はすばらしい!
部屋を行きつ、戻りつなんども繰り返し見たけど、いいねぇ~!
私結構このVenezia派の流れ、色使いが好き。

Carlo Crivelliについては、本当に詳細がわかっていない。
1430年頃Venezia生まれで、若いころ、船員の妻をさらって、監禁、刑務所入り。
その後、Veneziaを離れる。一生生地に戻ることはなかった。(1495年頃に死亡)
主な生活拠点はMarche(マルケ)
現在でもそうだが、なんとなくMarcheってぱっとしないのよね。
更に、彼の名前がVasariのle Vite de' più eccellenti pittori, scultori e architettori italiani(画家・彫刻家・建築家列伝)載らなかったことから、彼についての足跡を探るのは困難を極めている。

Vasariじいさん、あんたは罪なお人です。
あんたのためにどれだけの有名、無名人が泣いてることか…

Mostraの詳しい情報はこちらから

いつも言っているように、写真では色がいまいちですが、こちらの作品を生で見れただけでも良かった

ANNUNCIAZIONE (1486)(受胎告知)
ロンドン National Gallery

突然ですが、お腹がすいたので、続きは後編で


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