盗難防止というだけでなく、作品保存のため、防弾ガラスに入れられた「モナリザ」
ウフィツィ美術館では数年前の改修時、ボッティチェリの作品などが次々とガラスで覆われてしまった。
2018年、わぉ、すごい人!!
この白い壁も昨今の流行り。昔はかなり暗い部屋だったのに。
人が発する二酸化炭素は、地球だけでなく美術品にも良くないから、この選択は仕方がない。
この作品も修復がかなり大変だったし、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」のようになったら一大事だし。
ガラスに入れてしまえば、かなり近くには寄れるけど、やはり生で見たい!!
そんな望みがわずかながらかなえられた。
ローマのボルゲーゼ美術館(Galleria Borghese)ではカラヴァッジョ(Caravaggio)の傑作「果物籠を持つ少年(Fanciullo con canestro di frutta)」
写真:Wikipedia
とラファエロ(Raffaello)の「一角獣を抱く貴婦人( Dama col liocorno)」
写真:Wikipedia
を覆っているガラスを外す意向。
今まで”ベール”で覆われていた作品が、生で見られるようになるのだ。
ボルゲーゼ美術館もコロナによって長期で休館を余儀なくされていたが、この決定はその後なされたもので、ガラスの必要性は、保存の観点からもない、作品の”真の”姿を来館者に見て欲しいということで外されることになったとか。
更に、今回数点の作品の位置が少し下に下げられることになった。
これは見る人の目線に合わせての配慮だそうだ。
この時代と逆行するような決定がくだされたのはなぜなのか?その辺は記事には書かれていないのだが、調査の末、問題が無ければ”生”のカラヴァッジョとラファエロがこの9月から見られることになるそうだ。
ただし、こちらも現在はグリーン・パスがないと入場できない。
このグリーン・パス様々な問題が起きているが、美術館などの施設への入場者数を限定できるという点では肯定的な意見も出ているという。
参考:https://roma.corriere.it/notizie/cultura_e_spettacoli/
実際は、水蒸気(水分)、外部から持ち込むカビ胞子、虫、ダニ、線虫、硫化水素などが問題でしょうね。CO2より酸素のほうが黄変、暗化に寄与してますからね。むしろCO2充填したほうが良いぐらい。ただ、もしやるならCO2よりさらに安定した窒素充填が普通です。硫化水素や亜硫酸ガスは鉛丹鉛白にはてきめんに害になります。湿気と「青色病変」の関係は明白です。CO2問題になるのはフレスコの炭酸カルシウムの白い枝が生長する可能性ぐらいでしょうか。
それにしても、Pittiにかかっていたはずの夫婦肖像画がいつのまにはこっちに来てしまっていますね。おいたわしいことです。ヒワの聖母は、当方が訪ねたときは修復中でみることができませんでした。
ガラスは、硫酸かけたりナイフで切りつけたり、ベタベタ触ったりする連中から守るのが、もともとの趣旨だったように思います。また、他の美術館から借りた場合は責任上 やらないわけにはいかないでしょうねえ。
詳細な解説、ありがとうございます。
言われてみればこの夫婦は確かにウフィツィのものではないですね。いつからだろう???
カンサンさん
暗い時は見難いなぁと思っていましたが、この白い壁は無機質で好きになれません。
個人的には新しい美術館や元から美術館として建てられた建物の白い壁は仕方がないにせよ、当時の雰囲気を壊してまで内装を変えるのはどうかと思います。