カーリングの決勝戦をチラチラ見ながら書いている。
戦況は芳しくないなぁ…
さて、先週「ルーベンスの作品がポーランドでオークションに! 6900万円の価値あり」という日本語のニュースを見た。(参考:https://news.yahoo.co.jp/)
作品はこちら
写真:https://news.yahoo.co.jp/
「欧州中部と東部のオークションでのアート作品における落札額としては史上最高額になる可能性が出てきている。」(抜粋)とのこと。
オークションの告知、というだけならわざわざ記事にする必要はないのだが、なんとなく気になって調べてみた。
色々記事を探したが、イタリア語でこのオークションに触れた記事は見当たらず、なんか怪しい…
これほどのオークションなら記事があってもおかしくないのに。
この絵の所有者はイギリス市民。
なのになんでわざわざポーランドのオークション会社に頼むのかってところも突っ込みどころではあるのだが、自力で検索していたら、この絵にそっくりな絵がもう一枚あった。
写真:https://www.mauritshuis.nl/
どっちがどっちかわからないでしょう…
こちらはフェルメールの”真珠の耳飾りの少女”で有名なオランダのデン・ハーグ、マウリッツハイス美術館(Mauritshuis)が所蔵している。
なぜか非展示とな、残念。
ルーベンスが1620~30年頃に描いた「若い女性の肖像画」で、モデルはルーベンスの最初の妻イザベラ・ブラント(Isabella Bran)だと長年考えられている。
マウリッツハイス美術館はもう1枚ルーベンスの「若い女性の肖像画」を所蔵している。
写真:https://www.mauritshuis.nl/
こちらはルーベンスの2番目の妻エレーヌ・フールマン(Hélène Fourment)と考えられている。
マウリッツハイス美術館のイザベラ(?)は、1752年から67年頃にはデン・ハーグのホーファールト・ファン・スリンゲラント(Govert van Slingelandt)の元にあり、彼の死後はその妻(Agatha Huydecoper)が所有。
1768年5月18日(Van Slingelandt sale) ウィリアム5世(Prince William V)に売却、1795年までコレクションに有ったが、1795年フランスに接収されパリへ。1815年までナポレオン美術館(Muséum Central des Arts/Musée Napoléon、現Musée du Louvre)が所蔵していたが、1816年デン・ハーグのウィリアム5世ギャラリーのロイヤル絵画ギャラリーに戻され、1822より, マウリッツハイス美術館に移管されている。
かたや今回ポーランドでオークションにかけられる方は、17世紀にはイギリス人画家のSir Peter Lelyが所有。
バッキンガム公爵とシャンドス公爵(Dukes of Buckingham and Chandos)、鉱業の大物ジュールス・ポルゲス(Jules Porgès)、1950年から2011年までは亡命したエジプトの王子モハメドアリイブラヒム(Muhammed Ali Ibrahim)のコレクションに含まれていました。
最後に一般公開されたのは1965年で、現在の所有者は2018年にロンドンのプライベートコレクションから作品を購入したという。
同じ絵が2枚?
一枚は偽物か?コピーか?
と以前なら考えるところだが、相手はルーベンス。
昨年ロンドンナショナルギャラリー所蔵のルーベンスの「サムソンとデリア」は偽物か?という記事を書いた時(参考)、上野の西洋美術館で1993年にルーベンスの同じ絵を3枚並べて比較するという面白い特別展があったことを、いつも有益なコメントを頂く山科様から教えてもらった。(記事はこちら)
ルーベンスは多作。
その実、工房で効率的に作品を仕上げていたので、それぞれの作品にどれくらいルーベンスの筆が入っているのかは分からないが、それでも「ルーベンス作」なのである。
注文主あっての絵画だったこの時期、望まれるなら同じ作品を制作することの違和感なんて覚えなかっただろう。
この2枚、写真を見ただけでは、同じ作品としか思えないくらいクオリティーに差はない。
これがルーベンス。
カーリングの結果は惜しくも銀メダルとなってしまったが、はてさてこちらのオークションの結果はいかに?
開催は3月18日、ポーランドのワルシャワのDESA Unicum auction houseにて
詳細:https://desa.pl/en/rubens-portrait-lady/
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