イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

Turandotを新しいオペラ劇場で

2012年12月02日 23時49分33秒 | イタリア・音楽

今日か、明日やってくる、とここ毎日言われている。
誰が?
じゃなくて寒波がやってくる。
先週は傘が手放せなかったけど、明日にはいよいよ寒波がやってくるらしい。
さすがにまだFirenzeに雪が降る、というところまでは行ってないけど。
しかし私は、いひひ、火曜日から暖かいところへしばらく行ってきます。
と言っても国内なので常夏ではありませんのであしからず。
いや~しかし、南なら天候不良で飛行機飛ばないなんてことないだろうと思っているのですが、どうも12月の旅行とは相性が悪い。
ただじゃ済まないような、嫌な予感もしないではないですが、まぁ仕方がないか。
何か問題が起こることも、過ぎてしまえばたいていはいい思い出になる。(怪我とか事件以外はね)
人生いつでも勉強なのです!!

ということで5日Firenzeに居ないので、チケット売りますの宣伝を出しておりましたが、誰も買い手が見つからない・・・まぁ仕方がないですね。
実はチケットは2枚あったんです。
で、行ってきましたよ、今日Turandotを観にNuovo teatro dell'opare(新オペラ劇場)に

幸い雨が止んで青空が出ていたので、自転車で。
だって、新しい劇場、今までより遠いから、歩いていくとなると30分以上かかってしまう。
周囲に自転車を止められるか分からなかったけど、とりあえず行っちゃいました。
自転車置き場が周辺になくて変なところに止めたので、持っていかれたらどうしようかと思ったけど(イタリアでも違法駐車は撤去されること有ります)、日曜日だから、と置いていったらちゃんと残っていた。
いくらおんぼろでもなくなったら困ります。

着いたのが開演15分前。

正式にオープンになっていない(未だに工事中)ので、入り口もこんな感じ。

でかいなぁ・・・
で、ははは、想像していたけどやっぱり・・・
入り口に長い列。
大体、自分がどこの入り口から入るのか全然分からないじゃん!!
しばらく「ここか?」という列に並んでみたけど、どうやら違うということで移動。
とにかく劇場関係者が少なすぎる。
ようやく捕まえて聞こうと思ったら「あなた横入り!」とおばちゃんに怒られた。
すみません、気がつかなかったもので・・・

もぎりも各入り口1人しか居ないし、なんなのこれは~
大体この劇場収容人数どれくらいなんだろう???
ちょっと調べてみたけど、見つからなかった・・・ごめんなさい。
いや、でもとにかくすごい人がロビーに溢れている。
「70人スタッフをリストラしたから人が足りないのよ」という話も聞いたけど、これじゃあ開演時間が遅れるだけじゃない。
臨時で人雇うとか、考えろよ~

何とか始まる前に席に到着。
いや、開演時間が遅れているだけ。

これが今回の私の席から舞台を見たところ。
OrdineⅠ Palco3/Dx FilaA3という場所だったんだけど
なんかとっても見難い。
幸い私はPalco(ボックス席。所謂桟敷)一番前だったんだけど、このPalco席、場所によっては全然見えない人もいたみたいで、1幕終了後あちこちで民族大移動が起こっていた。
たまたま空いてた私の横にもおじいさんがやってきた。

建築家だれだったっけ???
それにしてもひどいよこれ。
オペラ座を謳っているくせになにこれ・・・
新しい劇場にする意味ってなんなんだろう?
収容人数を増やすため?
凝ったつくりにする必要ないんだから、観客のこと考えて作ってくれよ~!!
周りでは幕がないことも結構問題になっていた。

この新しい劇場も楽しみだったんだけど(「オープン」、「オープン」と言って何年工事してたんだか・・・)何よりもはじめてのTurandotということでかなり期待していたのよねぇ。
それがまず、なにこれ?
舞台狭くない?
このスクリーンの前のわずか2m(実際はもう少しあるのかな?)しか舞台がなくて、後ろにcoroと呼ばれる合唱の人たちがいる。普通の劇場ならオーケストラはオーケストラボックスに入っているのに、全面に張り出しているのもちょっと不自然。
何よりも・・・このスクリーン何!?
舞台美術なし!!
このスクリーンに数年前に紫禁城の前で上演された時に映像が流れているだけ・・・
何で?と思ったら今Wikipedia見て納得~!!
"1998年9月、本オペラはズービン・メータ指揮で公演が行われた。なお演出はチャン・イーモウ(張芸謀)、舞台を明代に設定して衣装や舞台装飾もその時代に徹底して合わせた演出となった。また国際的なキャストを擁するとともに人民解放軍部隊をエキストラ出演させ、紫禁城内の特設ステージで上演された同公演は大きな話題となった(同公演は映像作品化されている)。"
今日の指揮者もZbin Mehta(ズービン・メータ)ですから。
今更ながらこの人結構話題になったオペラの指揮をしているのねぇ。
って感心している場合じゃなくて・・・

とにかく私みたいな素人には、歌手の力量とか、演奏のすばらしさは余程でなければ分からない。
わかるのはすごくうまい時とすごく下手な時くらい。
いや、確かに音響は今までの劇場より良かったよ。
特に低音が響くこと響くこと。(もしかしたら座っていた場所のせいかもしれませんが)
でも舞台は見せてくれ!!
観客は華やかな舞台が何よりも好きなんです。
これも新しい演出なのかもしれないし、今のMaggioの経営難を考えたら仕方がないのかもしれないけど・・・がっかり。
だったら何でこんな劇場建てたんだよ~と私だけじゃなくてみんな言ってる。
衣装は確かにすごかった。
同じPucciniの"蝶々夫人"を観ると時々日本人としては許せない着物の着方とかしているからねぇ。
今回衣装はちゃんと中国人が監修していたので、本当に豪華だったけど。
分かりますよ、coro(合唱の人)に衣装を着せるだけでお金かかるってことくらい。
でもねぇ・・・ちょっとがっかり。

更に観ていて思ったけど、何で今までTurandotを観る機会がなかったか。
この作品はVerdiの"Aida(アイーダ)"同様、舞台が大きければ大きいほど映えるんです。
だから野外とかの方が絶対いい。
ということでなかなか機会がなかったのねぇ・・・
来年行けたら(+公演が有ったら)Veronaで観たい!!
なんかいろんな不満がふつふつと・・・

そして2度目の休憩中。
そうだ!トイレをチェックしに行こう!!と思い立って・・・
いやいや、これがまた文句の付け所満載。
まず、トイレが分かりにくいのなんの・・・というかこの劇場の作り自体が分かりにくいんだな。
やったらドアがいっぱい有って
一応

こういう風にプレートはついているんだけど、オペラ観に来る人って圧倒的に高齢者が多いから分からなくなるんだろうねぇ。
席が分からない・・・とウロウロしている人が結構いた。

で、なんとかトイレに行き着いてちょっとギョッとした。
個室の扉が半透明のガラスなんだけど、陰が透けてるんだよねぇ。
もちろんはっきりは分からないけど、なんとなく恥ずかしいと皆さん思ったみたいで・・・
更に、これは私は別にそれほど思わなかったんだけど、トイレットペーパーが各個室に充分に置かれていなくて、なぜか予備が流しの下に見えるように置かれていて、入って紙がない人は自分で取りに行かなくてはいけないのが、「まるで自分のうちのトイレみたい」などなどとご夫人方は喧々囂々。
挙句の果てにはなぜか日本人と中国人の違いにまで及んでいた。
紙があるだけいいんじゃない?と思った私は???
とにかく何から何まで文句の付け所満載。

その中でも唯一文句の言いようがなかったのはCalaf(カラフ)
Turandotを知らなくても誰もが一度は聞いたことがある、あのトリノオリンピックでパバロッティが歌っていた有名な
Nessun dorma(誰も寝てはなぬ)
vincerò vinceeeeròòòòò~

しかし、トゥーランドット姫は絶世の美女なんだよね?
今日のトゥーランドット・・・マツコ・デラックスかと思っちゃった。
ええ、もちろんbravaでしたよ。でも・・・ちょっと怖かった。
爪もすごく長くて・・・あれじゃあ悪魔だよ。

これじゃ分かりませんね。
色々文句を言ってしまいましたが、実際どんな感じか見たい人はMaggioのサイト(こちら)で部分的ですが動画が見られます。

いや~Puccini(プッチーニ)はTurandotを未完のままこの世を去り、弟子がこの作品を完成させたわけですが、もしPuccini存命だったらこういう終わり方になっていたのかなぁと、ハッピーエンドにちょっと違和感を覚えたりもしながら、Nessu dormaを口ずさみながら帰路につく私でした。
そして、外国人の手に落ちることを頑として嫌がった中国人のトゥーランドット(最終的には惚れるけど)とアメリカ人と子供を作り、愛の為に自殺してしまう日本人の蝶々夫人。
Pucciniの洞察力(?)になんとなく感心してしまう自分がいたりします。

暇なときは暇だったのに、翻訳の仕事が入ったり、遊びに行ったりでしばらく忙しくなりそうなので、こちらがおろそかになったらごめんなさいねぇ。



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