イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

2つの「風神雷神」

2020年01月08日 16時16分29秒 | 


作者の名前は知らずとも、この絵を見たことがない人はいないだろう、たしかCMでも使われていたし、というくらい有名な「風神雷神図」
オリジナルは国宝で建仁寺蔵(京都国立博物館に寄託)
海外でも北斎の「神奈川沖浪裏」の次くらいに人気のある作品。
しかし、作者の俵屋宗達については、生没年も分かっておらず謎が多い人物。
そんなところが作家の好奇心をそそるのだろうか、同じタイトルの本がある。

こちらは昨年11月に出たばかり。

原田マハの描く俵屋宗達はいくら謎が多くても、「これはないだろう」、というフィクション色の強いもの。
いくら何でも俵屋宗達とカラヴァッジョが知り合っていたとはね。
もしそうなら面白いし、そういう設定が出来るのが小説の醍醐味だと思う。

そんな宗達よりぐっと現実的な宗達を描き出したのは柳広司。

こちらの宗達は、「あり得るな」という感じ。
原田マハに比べたらフィクション色の薄いものとなっていた。
いや、しかし、どちらも非常に面白く、あっという間に読み切ってしまった。

これらを読んで、今私がはまっているのが、宗達が生きたのと同じ時代にヨーロッパへ渡った「天正遣欧少年使節」のこと。
原田マハの本は、12月にイタリアに行く前に読んでいたのだが、こちらは宗達の物語と同時に遣欧少年使節の話でもあった。
だから帰国したらそこら辺を改めて調べようと漠然と思っていた。
それが更に加速したのは、ミラノで見た彼らに関する特別展。
そこで長年見たい見たいと思っていた作品に出会えた。


2013年慶長遣欧使節出帆400年・ユネスコ世界記憶遺産登録記念で仙台で開催された「伊達政宗の夢 慶長遣欧使節と南蛮文化」という特別展の時に、来日しているので、日本で見たことが有ることという人もいると思うのだが、この作品もう少し資料が有ったら卒論のテーマにしようと思っていたのに、そのころはオリジナルを見る機会もなく、論文を書けるほど資料もなく断念した支倉常長の肖像画。

2月2日までミラノのMUDECで開催されている「東洋の印象派。ヨーロッパと日本の芸術とコレクション(Impressioni d’oriente. Arte e collezionismo tra Europa e Giappone)」という展覧会と同時開催中の「日本がイタリアを発見した時(Quando il Giappone scoprì l'Italia)」という展覧会でこの支倉常長が見られる。

いやいや、この絵を見たら再びあの頃の好奇心がむくむくと。
卒論書くときに集めた資料を改めて引っ張り出し、日本語で書かれた資料を図書館で予約。
いつのことになるかは分からないけど、今年はそんな話も出来たらなぁと思ってます。

追記:支倉常長の肖像画は2010年「ボルゲーゼ美術館展」、2014年東京国立博物館での「支倉常長像と南蛮美術―400年前の日欧交流―」でも展示されていたらしい。
本国ではなく、日本で探した方が良かったのか…



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