イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

オペラ「ワルキューレ」 でViva Maggio!!

2013年01月21日 12時05分19秒 | イタリア・音楽

先週末、急激に気温が下がり、今年も恒例(?)のしもやけが始まりました。
しかし、気温下がったのは一瞬で、昨日今日はまだ耐えられる感じです。
とにかく雨が多いのが・・・ねぇ。

さて、昨日久々・・・って私のせいじゃないんですけど、前回ストの為中止になったので、1ヶ月ちょっとぶりに(全然久々じゃないのでは?)オペラを観に言ってきました。
前日、こちらで歌の勉強をしている友人と話していたのですが、彼女は今回の公演初日が中止になっていたことを知らなかったとか。
そうなんです、劇団の問題は年をまたいで、いやこの問題は昨日今日に始まったものではなく10年以上続いているとイタリア人は言っています、もめていて、2013年最初の公演もなぜか初日が中止になりました。
でも先日地方ニュースを見ていたら、とりあえず首切りは止めて、別の解決策を探すことにしたとも言っていました。
これが観客に跳ね返ってこないことを祈りながら・・・

いやなんか年明け早々こんな話もなんですが、Maggioだけではなく、イタリアの老舗ジノリもとうとうやばい感じです。
昨年末には一度アメリカの企業が支援に乗り出すことで落ち着いたと思ったのですが・・・
ここも昨日今日の不景気のせいではないらしいですからねぇ。
それにしてもホントいいものがドンドンこの国から消えて行きそうな現状です。

オペラのお話に軌道修正・・・
無知な私はチケットに書かれたタイトルを見ても・・・「なんだこれ?」と思っていたんですよ、最近まで。
Dei Walkure
う~ん、ドイツオペラなのは分かるけど・・・
ということでさすがに先週ネットで調べたら「ワルキューレ」だったわけです。
ワルキューレと言えばあの「地獄の黙示録」で使われていた曲・・・とこれくらいのことはさすがに知っていましたが。

基本的に私はイタリアオペラ、なかでもドラマチックなVerdiが好き。
イタリアオペラの時は、それほど熱心に予習しなくてもいいのですが、ドイツオペラはそうは行かない。
イタリア語の字幕は出るけど、流れるのが早いので読みきれないし、字幕にかまけていると舞台が見えない。
ということで、いろいろ調べてみたら、結構面白いのね。
ワーグナーの作品は以前見たこと有ったけなぁ???
最近とみに記憶力が低下しているので、今年は見たオペラをちゃんと一箇所に記録しておこう!!
(このブログには残っているけど、調べるのが面倒なのよねぇ・・・)

まず気になったのは演奏の方。
この作品には普段あまり見られない管楽器が登場するとか。
高校の時一応吹奏楽部でトランペットを吹いていた私。楽器はやはり管楽器が気になります。
この「ワルキューレ」ではワーグナーチューバ、バストランペット、コントラバストロンボーンが登場するとか。
特にこの「ワーグナーチューバ」名前の通り、ワーグナーが考案した楽器なんだそうです。

この写真はwikipediaからなんですが、なんでこんなさび付いた楽器なんでしょうか?
ユーホニュームとホルンを足して2で割った感じかな?

これはバストランペット
管が長くなっているので、普通のトランペットより低音が出ます。
これもかなり使い古されてる感じ・・・これじゃ音でないでしょう?

wikipediaにはコントラバストロンボーンの写真がなかったので、他から取らせていただきました。
これ一番左が普通のトロンボーンで右に行くほど低音が出るんじゃないかな?
バストロンボーンくらいは普通に高校の時でも見かけていたけど・・・
多分一番右がコントラバス・・・間違っていたらごめんなさい。

これらを見るために双眼鏡を珍しく持参(いつも忘れるし、これ左のピントが合わないのよねぇ。いつも日本に帰ったら新しいの買おうと思っているんですけどねぇ)
う~ん、何せ3階席なので良くは見えない。
コントラバストロンボーンに関してはいまいち違いが分からなかった・・・写真を見たら普通のトロンボーンに比べてかなり大きいはず。
いや~それにしてもあの有名な「ワルキューレの騎行」の重厚な低音部はこれから来ているのねぇ・・・

ストーリーの詳しい話はここでは控えますが、ドラマ性もしっかりしているし、こういうオペラ嫌いじゃない。
しいて言えば・・・長い。
ドイツオペラって長いの多いよね。
これも国民性の違いかしらん???

『ニーベルングの指環』四部作は、ひとつのプロローグと3日を要する舞台上演と見なすことができ、その「第1日」に当たる本作『ヴァルキューレ』は、「序夜」(『ラインの黄金』)を除く「三部作」の実質的な幕開けに位置づけられる作品である。四部作はそれぞれ独立した性格を持ち、単独上演が可能である。そのなかで『ヴァルキューレ』は、もっとも人気が高く、上演機会も多い。感動的な愛情表現の場面や、ライトモティーフの使い方が自然かつ巧緻であるなど作曲技法の円熟を理由に、『指環』四部作にとどまらず、ワーグナーの全作品中でももっとも優れたもののひとつとも見なされている。(wikipediaより)

4夜に分けて上演される上に、「ライオンの黄金」以外はどれも4時間前後。
私は午後の部で見たのでまだ良いけど(3時半きっかりに始まって、休憩2回挟んで終わったのは8時半。夜の部は珍しく19時開演ですからその長さ、分かりますわ。)いや、ホント1幕、1幕が長いので、1幕終わる度とにトイレに普段以上の行列が出来ていました。

さてさて、経営難のMaggio
演出の方はどうなるのかと思いきやこれが2007年今回と同じZbin Mehtaの式でバレンシアで上演された時と同じ演出家だったので、ほぼ同じ演出。
ということでこちらから全て(4時間)見られることが出来ます。
ちなみに多分ブリュンヒルデ役(Jennifer Wilsonアメリカ人。ワグナーの作品を得意としているみたいです。)も同じ・・・
それだけではなく、かなり同じ人出ていました。



神々の登場するシーン。
大きなクレーンに乗った歌手を見たとき、歌舞伎役者の宙乗りを連想しました。
歌を歌わなきゃいけないから吊られるわけには行かないでしょうがどうするのかなぁ・・・と思っていたんです。
神々は空を飛ぶことが出来るのです。
特に9人のワルキューレは馬で天空を駆け巡り、戦で命を落とした戦士たちを集めてはヴァルハラへと連れてゆく。
ということで、空を飛ぶということも大事な演出。
200年前、ワーグナーはどんな演出を考えていたのかなぁ???
クレーンなのでぎこちないのは確かですが、上下、左右に振り回される歌手を見ながら高所恐怖症の私は「大変だなぁ・・・」と思ってみたりして。
最初にクレーンが登場したとき、上に立っていた歌手の背後(もたれないけど”背もたれ”)がまるで後光のように見え、観音様か毘沙門天(炎)かという感じでした。
でも、そういう点では本当に見ごたえがあります。

最後、ブリュンヒルデが火に包まれるシーンだって、本物の火を使っていましたからねぇ。
その時は室温がものすごく上がったので、スプリンクラーとか大丈夫なのか?とか冷静に考えちゃいました。
真ん中で寝ていた彼女だって、暑かっただろうなぁ・・・役者魂ってすごいね。

いや~久々に感動して1幕と3幕で涙が出ましたよ・・・
前回今年もシーズンシートを買ってしまったこと、ちょっと後悔・・・と書きましたが、やっぱりいいよ。
Maggio最高!!
って思ったのは私だけではなかったはず。
前回、いきなり公演が中止になったときあれだけ罵声が飛んでいたけど、昨日は3幕が始まる時、指揮者、オーケストラに惜しみない拍手。しばらく鳴り止まなかったもんねぇ。
多少チケットが上がっても、これだけの作品を常に観客に提供してくれるなら個人的に応援して行きたいと強く思った次第です。
劇場を出たときは、空腹と幸福感でいっぱいでした。

もちろん頭の中は「ワルキューレの騎行」でいっぱいで、帰り道知らず知らず口ずさんでいましたが・・・

で、ここからが私の悪い癖。
4部作のうち、1つだけ観たんじゃ、ねぇ。
ということで早速探してみたら、なんと6月にミラノのスカラ座で4作上演されるじゃないですか!!
いひひ・・・

今年はヴェルディーの生誕200周年という話は聞いていたけど、なんとワーグナーも生誕200年というじゃないですか。
二人は同級生かぁ・・・すごいなぁ。
ということで、各地でいろいろイベントが組まれているようです。
昨日の作品を見ても、これは大きな劇場で見たほうが映えるかなぁという気もするし、スカラでちゃんと見たことないしなぁ・・・などなど、他にやらなきゃいけないこと有るのにそっちのけで昨晩から考えています。

さぁ、気持ちを入れ替えて、早めにお昼を済ませて図書館に行こうかな。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございます。 (fontana)
2013-02-03 19:39:20
nobuさん
コメントありがとうございます。
本当に運が良かったですね。ストがあり、上演が減ったこともあって、周りで見逃した友人もいたくらいです。
是非また遊びに来てくださいね。
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奇跡のワルキューレ (nobu)
2013-02-03 16:47:59
初めまして、nobuと申します。
1月24日、イタリア旅行中に偶然にもワルキューレを鑑賞しました。当日、開宴されることを知って、劇場でチケットを購入し、私にとっては奇跡のような出来事でした。
ブログを拝見し、なんてすばらしい環境にいらっしゃるのかと、うらやましく思いました。
時々、訪問させてください。
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