イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

パトロンはTod's-Colosseo修復

2011年01月22日 21時48分42秒 | イタリア・文化

結局すごく寒くはなったものの、雪は降らなかった。

さて、本日の気になるニュース!
"un mecenate moderno"
現代のパトロン(芸術擁護家)
"現代のロレンツォ・メディチ"と言った方が分かりやすいかな?
何かと言いますとRomaのColosseo(コロッセオ)修復の費用25milioni di euro(日本円で約3億円!?間違ってない?)
を支援することになった。
ちなみにこのひとFirenzeのサッカーチームFiorentinaの名誉会長だっていうじゃない。
まさに"現代のロレンツォ・メディチ"じゃないですか・・・

さて、老朽化が目立っていたコロッセオですが、昨年末辺りから修復の話が持ち上がっているのは聞いていた。
いつでも問題はお金・・・
その折り合いが昨日着いたということ。
日本でも名の知れた、イタリアの有名シューズメーカーTod's(トッズ)の経営者
Diego della Valle(ディエゴ・デッラ・バッレ)がお金を出すそうだ。

作業は既に一部始まっているらしいが、観光客を締め出す(言い方悪いなぁ・・・)ことなく修復作業をするらしい。
下世話な話、収入を切れるほど余裕がない、というのが理由。
期間は2年間(2年半と言っているところも有る。実際はもっとかかるんだろうなぁ・・・)
修復は8つの作業に分かれている。
1、北側の外壁:5,1 milioni
2、南側の外壁:1,9 milioni
3、柵の取替え:1,7 milioni
4、回廊の修正:7 milioni
5、地下の部分:4,5 milioni
6、監視カメラの設置:900mila
7、照明器具:未定。なぜならForo romanoとあわせた工事を検討中。
8、サービスセンターの設置:1平方メートル2.550€
合計ほぼ25milioni
これをTod'sが負担するということ。

「パトロン?いやいや、コロッセオを修復できるということだけで光栄です。」
金持ちの言うことは違うよねぇ・・・
L’Italia non e’ piu’ un Paese di preti, santi e navigatori ma di ciabattini.
イタリアは既に司祭、聖人や航海士の国ではない靴(直訳だとスリッパ)の国である。
lo stivale diventa il Paese dei calzolai, dove tutti si fanno le scarpe
長靴(イタリア)はみんなが靴を作る、靴屋の国になった。
と一部では揶揄されているが、
「女を金で買ったことはない。」
と言っている某お金持ちにつめの垢でも煎じて飲ませたらどうですかね?

色々なコメントを読んでいると、もちろんこの援助が慈善でないことは分かる。
国内の政治がらみの影響もかなり強い。
そして、一番納得したのは、今や中国製品に押されている、メイド・イン・イタリーのイメージ回復の為にも必要なパフォーマンスなんですと。
確かに今はお金がないから、私には買えないけど、
Tod'sの靴を買おう!
なんとなくこういう気持ちになるのは私だけ?単純かな?
でも、一イタリア国民として、喜んで援助するという心意気がこの国の本当の遺産を救うのではないだろうか?
次はポンペイを救いたい、ともらしていたのを私は聞き逃さなかったぞ!

ただちょっと気になるのは、宣伝の垂れ幕をコロッセオに貼り付けたりしないよなぁ・・・ということ。
昨年もVeneziaのPalazzo ducaleの修復の巨大広告が問題となっていた。
イタリアは景観法が非常に厳しく、景観を壊す広告など、基本的には立てられないことになってはいるのだが、
スポンサーは慈善事業をしているわけではないですからね。
ふとこの写真を見ながらそんな話を思い出していた。

ロレンツォ・メディチだって、芸術を愛していなかったわけではないけど、
一流の芸術家をそばに置くことで、自分の権力を見せ付けていたわけですから・・・

Colosseo修復に関しては、こちらに色々な記事が出ていますので、興味がある方はどうぞ。

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