今朝も雨が降っていた。
雨が降るということは少しずつ春へと向かっている証拠なのだろうか?
Muranoに行くときは必ず島の一番入り口で降りていた。
その船着き場には、大抵ガラス工場見学の呼び込みのおじさんが立っている。
ついて行ったことはないけど。
そこから面々と続くガラスショップをチラ見しながら、ひたすら目的地を目指す。
それにしても、中国人多いなぁ…春節だからどこもかしこも中国人だらけ。
ライオン?
風雪に耐え、今は狛犬みたいになってしまったが、君は立派なヴェネツィアの双翼のライオン君だよね。
長い間そこに立ち、この島を見つめて来たんだね。
この橋を右手に見ながらひたすら真っすぐ進む。
右前方にこの建物。
ここら辺まではかつて何度もやって来たのだが、今日は更に奥へと向かう。
対岸にこの景色が見えるまで。(前回話したモザイクの道具を売ってる店は右の緑の屋根)
今回Muranoにやって来た1つ目の目標はこの
San Pietro Martire教会にあるGiovanni Belliniの作品を見るため。
総レンガ作りのこの教会は1363年の建築されたが、1474年の火事で焼失、1511年に再建された。
本来はS. Giovanni Evangelistaに捧げられた教会だったが、再建を機にSan Pietro Martireを祀ることになった。
大きなファサードと入り口の門は15世紀のルネサンス様式だが、Fondamenta dei Vetrai(運河)に面する壁には
修道院を建設した時の記念碑が見られる。(丁度この周辺が工事中だったため確認できず)
教会と一緒にドメニコ会の修道院が回廊と共に建設された。
階段はもっと新しいもの。
隣接する鐘楼は1502年に建てられた。
このportico(ポーチ)は1400年代のもの。
私には見つけられなかったが、アーケードの大理石の柱に
"Adì VII 7bre ì673" (1673年9月7日)と刻まれているらしい。
回廊の中央に置かれた井戸は
1384年に制作、1748年の修復された、周りの石に教会を建立した doge(元首) Marco Michielの紋章が彫られた井戸が1924年この場所に置かれた。
教会は1808年ナポレオンの政策によって閉められ、それまで教会内に保管されていた、価値の有る美術品は全て持ち出されてしまったが、5年後の 1813年再開され、ムラノ島の他の教会、特にSanta Maria degli Angeliから持ってこられたキャンバス画がこの教会内に飾られた。
内部は撮影禁止の為、色々なサイトから写真を拝借。
予想外に新しい感じ。
入り口右側に古い感じの大理石の壁が有ったのだが、あれは何だったのか?
説明がどこにもなかった。
3身廊式で3つのabside(アプシス)をもつヴェネツィアゴシックスタイルの大きな教会。
柱には大きなアーチ、そのアーチには装飾も施されている。
このアーチの淵の柄は、これより上にある明り取りの丸い窓の周りとも同じ柄。
窓にはめられたガラスは、ヴェネツィアではよく見られる瓶の底のような丸い色ガラス。
天気が良ければ、太陽が差し込んできれいだろう。
そして気になるのがこのアーチとアーチの間の部分に描かれた聖人。
下から見た限り、すごくきれいなので、もしかしたら最近のもの?とも思ったが、実はこれ、本来は15世紀のもの。
1922年から28年の修復時に再発見されたものだとか。
珍しい。
天井はヴェネツィアの教会に多い船底ののような梁を渡した木の骨組み。
私が一番見たかったGiovanni Belliniの作品はすぐ見つかった。
"Madonna col Bambino in trono tra angeli e santi"(天使と聖人の間の玉座に座る聖母子)
暗くてここまではっきり見えなかったのが残念。
特に右の天使の顔辺りは暗くて…
右隅にいる何種類かの鳥と後ろにかかるカーテンが何とも言えない。
そして帰って来て、この記事を書くためにガイドブックを読んでいてびっくり!
なんとGiovanni Belliniの作品がもう1点有ると書いて有る。
いやいや、どう見てもなかった…
作品は"Assunta e Santi"
ないないない、絶対ない!
と思ってよくよく調べたら、この作品は現在アカデミア絵画館に保管されているらしい。(あれっ?見たっけ?)
あ~驚いた。
もしかしたら今月末からConeglianoで開催される”Bellini e i belliniani”という特別展に出展されるかもしれない。
昨年はGiovanni Bellini没後500年ということで色々イベントが有ったし、Giovanni Bellini好きにはたまらないこんな役に立つサイトも出来ていた。
天気が良ければG.Bellini巡りをする予定だったのに。
このサイトにも、先日読んだ本にもG.Belliniの作品は1点としか書いてなかったし、他に重要な作品が有ること知らなかったので、後は流し見。
Belliniの隣に有ったこれ
これは多分重要な作品だと分かった。
でも実はVeroneseの作品かと思ったら、本当はTintorettoだった…
"Battesimo di Cristo"(洗礼を受けるキリスト)
そして確認できなかったのがこの2枚。
"S. Girolamo nel Deserto"(砂漠の聖ジローラモ)と
"Sant'Agata in carcere visitata da S. Pietro e un angelo"(牢獄の聖アガタを訪問する聖ぺトロと天使)
どちらもPaolo Veroneseの作品。
入らなかった美術館に有ったのか?
他にも有名どころとしてはPalma il Giovaneの”聖Nicola, Carlo Borromeo、聖Lucia”を描いた祭壇画
Bartolomeo Vivaliniの多翼祭壇画”Abgeli che recano una corona”(戴冠に向かう天使たち)が有ったようだが気が付かず。
更に写真も見つからず…
教会だからこれが普通なのかもしれないけど、作品名や作者の表示がこの教会内にはなかった…有ったのかもしれないが気が付かなかった。
中央のアプシスには
ベネチアングラスの素晴らしいシャンデリア
そして壁にはBartlomeo Latteriniの描いた
向かって右には”Nozze di Cana”(カナの結婚 1721)
左には”Moltiplicazione dei pani e dei pesci”(パンと魚の奇跡)の2枚。
ヴェネツィア派の作品らしい色彩にあふれる作品。
他にもMuseoが併設されている。
寄付という名の入場料が必要で、私の目的はGiovanni Belliniだけだったので、そこへは入らなかった。
少しだが、絵ハガキやガイドブックなどもおいて有った。
しつこいようだけど、教会は天気のいい時に訪れるべし。
次回は今回のメインとなった教会へ。
フィレンチェでも教会のほうが大作があったようにおもいましたしね。
日本では法隆寺や智積院、三十三間堂をまた訪ねたくなりました。
住んでいても展覧会や美術館が優先になってしまいますね。保存のことを考えると美術館に置く方が良いのかもしれませんが、やはり本来あるべき場所で作品が見られる方が良いですよね。日本に戻る前に、まだまだ見るものがいっぱい有ります。(笑)