イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

ひとくちに「ドーナツ」と言えどもーBomboloniとKrapfen+Ciambelle

2020年11月26日 16時27分45秒 | 世界の食

過去の写真を見ていたら、頭がDolceモードに!
ということで今日はこれ!!

こちらは去年、帰りのフィレンツェからミュンヘンへ向かう飛行機の中で出たもの。
日本語(英語?)だったらドーナツなのだが、イタリアではBombolone(ボンボローネ。単数形)もしくはドイツ語のKrapfen(クラップフェン)と呼ばれている。
はて?名前は違うが、これは同じもの?違いはあるのか?

クラップフェンはオーストリアやドイツのバイエルン地方発祥のお菓子で、それが世界中に広がった。
イタリアではbomboloni(ボンボローニ複数形)、bombe、ciambelleなどと呼ばれることがある。
イタリアには一時期オーストリアの支配下にあったTrentino Alto-Adige(トレンティーノ アルトーアディジェ州)で作られたのが始まり。
クラップフェンもボンボローニも元々はカーニバルの伝統的なお菓子だったのが、非常に有名になった現在では一年中売られている。(クラップフェンはドイツでは基本的にカーニバル時期だけらしいけど)
イースト菌を混ぜた粉をラードであげ(現在は油が主流)、(一般的には杏子やプラムの)ジャムや生クリーム、カスタードクリームが詰まっている。
ドイツ人特有の伝統的なクラップフェンはジャム!
イタリアではクリームの方が一般的という違いはある。

”クラップフェン”という名は1600年代のいくつかの記録のなかに既に登場している。
生まれはオーストリアのグラーツ(Graz)
その名前の由来は、古いドイツ語の"krafo"=イタリアのfrittella(フリッテッラ。小麦粉に佐藤、牛乳、卵などを混ぜてこね、油で揚げたもの)から来ているという説と1600年代末期ウィーンのお菓子屋でこのお菓子を発明したと言われるCecile Krapf夫人の名前から来ているという説で未だに論争が起きているらしい。

ちなみにベルリーナー・プファンクーヘン(独:Berliner Pfannkuchen)、または短くベルリーナー(Berliner)というのもある。
ジョン・F・ケネディによる演説の文句「イッヒ・ビン・アイン・ベルリーナー」によっても有名になったとか。(詳細はWikipediaで)

多分これでは?
ベルリンで朝食に食べた。(カプチーノは高くてまずかった。仕方がない、イタリアに住んでいたんだから)
”このパン菓子を指す用語は、ドイツの地域ごとに異なる。ほとんどの地域ではベルリーナーと言うが、ベルリン、ブランデンブルク、ザクセンの住人はプファンクーヘンと呼ぶ。“プファンクーヘン”とは、一般的なドイツ語で「パンケーキ」の意味である。南ドイツとオーストリアの一部ではクラップフェンと呼ぶ。それ以外のオーストリアではクルーラーと呼んでいる。”(引用:Wikipedia

片やボンボローニはトスカーナが発祥。
但しこちらは卵を使わないので、ちょっと軽い。
そして本来は中身なしで表面に粉砂糖を振っただけ。

これ、揚げたてのボンボローニ。
この店は厚みがない。
このザラメをかけるのも伝統的なボンボローニなんですと。
これは

フィレンツェ市内のこの店で食べられます。
昔は言えば揚げたてを出してくれ、ちょっとしたパフォーマンスが見られたのだが、今はどうでしょ?
Cucciolo Bar Pasticceria

そしても1つ「ドーナツ」が有る。
こちらはCiambella(チャンベッラ)、所謂穴の開いたドーナツのこと。
これには、初めて知ったけどトスカーナバージョンと北イタリアバージョンがあるらしい。
トスカーナ版は生地を細く伸ばして、両端を合わせるので、真ん中が空洞になる。
だから中身は詰められない。
しかし北のシェフたちはで生地を丸め始め、真ん中を凹ませて周囲を盛り上げた。
こういう感じだから、北のチャンベッラの方がトスカーナに比べた大きいし、穴の開いたトスカーナ版とは違って北のはくぼみが中央にある感じ…と知らなかったわ。
今では穴の開いたクラップフェンだが、チャンベッラは元々パンの生地で作ったお菓子だった。だからイースト菌を使わず、油やラードで揚げられた。

更に言うとCiambellone(チャンベローネ)というものも存在する。
こちらは(スポンジ)ケーキのこと。
朝食によく出て来る。
昔ホームステイをしていた友人は、毎朝焼き立てのチャンベローネが出ると言っていた。
なんとも羨ましい。

写真:Wikipedia
よくよく読んでみると、ciambellaとはこのドーナツの形を表すようだ。
というのも元はこのドーナツ型のお菓子の事だったのが、同じ形で甘くないものもciambellaと呼ぶようになった。また特にイタリア中部では大きいもの"ciambellone"(-oneは拡大を表す拡大辞)と呼ぶようになった。
例外としてForlì(フォルリ)やロマーニャの中央の限定された地域では、ciambellaはバターみたいな直方体の塊のお菓子のことである。

写真:https://blog.giallozafferano.it/silvanaincucina/ciambella-romagnola-la-ricetta-di-famiglia/

CiambellaはProdotti agroalimentari tradizionali italiani(通称PAT、イタリア伝統的農産加工製品)としてイタリア各地のレシピが登録されている由緒正しい伝統的なお菓子の1つなんだって、初めて知った。
結構種類があるので、個々には載せないけど、興味がある方はこちらをご覧ください。

で、最後に私があちこちで食べたボンボロー二とクラップフェンをご紹介します。
まず

これはVenezia(ヴェネツィア)

Tonoloというヴェネツィア人なら知らない人はいない、老舗中の老舗。
https://pasticceria-tonolo-venezia.business.site/
ヴェネツィアに行ったら最低1回は必ず寄る。
ここに来るためにヴェネツィアに行くと言っても過言ではない。

コーヒーも絶品!!
でもここに行ったら是非食べて欲しいのはfrittelle(フリッテッレ)
カーニバルの時期しか味わえないんだけど、ここのzabaione(ザバイオーネ卵黄に砂糖を加え、湯せんで温めて、マルサーラ酒を加えたクリーム)

もう悶絶します。
写真:https://www.dissapore.com/locali/frittelle-di-venezia-pasticcerie-forni-migliori/

こちらはミラノで食べたもの。


お店はお洒落なナヴィリオ運河の一角。
Il Pane della Ripa
ここはパン屋さんだけど、美味しかった。

次はスイスバーデンで食べたこちら。

お昼の為に入ったんだけど(ビールとキッシュ)、これに目がくぎ付け…
写真で見てもふっわふわ感が半端ない!!
キング・オブ・ふわふわ

しかし、大事な中身を撮るの忘れた。
たしかクリームもおいしかった気がする~
Moser's
https://www.backparadies.ch/
そして最後は冬になると午後5時に揚げたてが出来るフィレンツェのお店。

ドアと窓に”17.00 Bomboloni caldi"と貼ってある。
たまたま17時過ぎにこの前を通って、引きずり込まれた。

揚げたてにはかなわない。
La Loggia degli Albizi

実際他でも食べているはずなんだけど、写真が見つからないんですよね。
いやいや、どちらにせよ、どこのにせよ、「カロリー爆弾」なのはわかっているんですけどね。
元々はカーニバルの断食の為のカロリーの高い食べ物だったわけだから。
分かってはいるけど、目が合うとついつい…

日本だったらダンキンドーナツかな?と思って検索したら、ダンキンドーナツって存在しないのね。
吉野屋の子会社にななったあと消滅したとか。
「利用動機が牛丼店の対極にあるドーナツ店では、吉野家で培った経験を活かせなかった」と当時の社長が述懐していたとか…

じゃあ、ふわっふわドーナツは食べられないのかなぁ…
ちなみに昔、不二家の箱入りのドーナツが好きだった。(「ソフトドーナツ」というのね)
なんとあれも現在は販売していない~!?
あのオレンジの箱に5個くらい入っていたやつ。
お留守番すると、母が良く買ってきてくれた、赤羽駅前の不二家で。(当時は都民だった)
何でもこちらは8日と28日にエリア限定で購入することが出来るみたい。

く~クラップフェンでもボンボローニいい、食べたい!
しかし我が家には昨日妹が送ってくれた「ねぎみそ」煎餅しかなかった…

もう1か所有った。(笑)

フィレンツェのよく行ってたお菓子屋さんも16時くらいになると揚げたてが出て来た。
Caffè Pasticceria Serafini
http://www.pasticceriaserafini.it/
こうして見てみると、ほぼみんな同じだけど、スイスのやつは別格だったなぁ。

軽めのネタのつもりが、クリーム並みに重くなってしまいました。
今は行けないので、これ以上見てると精神衛生上良くないので、もうこれくらいにしておきませう。
今度行ったら、カロリー気にせずいっぱい食べるぞ~

参考:https://www.cibo360.it/cucina/mondo/bomboloni_krapfen.htm

https://www.cibo360.it/cucina/mondo/ciambelle_ciambellone.htm



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