イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

鏑木清方展で思う

2022年05月16日 18時25分00秒 | 展覧会 日本

3年ぶりの行動規制なしのGWは、久しぶりに展覧会三昧だった。
しかし、そのGWも既に遠くになりにけり。
先週は久々の5日勤務が辛かった…
既に「鏑木清方展」と「メトロポリタン美術館展」についてはちらちら小出しにしたのだが、他にも汐留の「ピカソ展」にも行った。
どの特別展も、色々思うところがあって、長くなりそうなので先に根津美術館の話とかを片付けたわけ。

さて「鏑木清方展」の話だが、最初行く気全然なかった。
はめられたのはHNKの「日曜美術館」を見ちゃったから。
この番組で面白い事言ってたんだよね。

写真:https://www.momat.go.jp/am/exhibition/kiyokata/
今回の特別展の目玉だった3作品
左から左から「浜町河岸」(昭和5)、「築地明石町」(昭和2)、 「新富町」(昭和5)
この女性三部作、左は若い10代の娘、真ん中は女ざかりの20代、左は熟女30代という感じで(年齢はあくまでも私の個人的なイメージ)女性の三世代を表しているのでは?のようなことを。

ん?「女性の三世代」?そんな絵が有ったような…
そう、これこれ

写真:Wikipedia
2019年、来日していたクリムトの「女の三世代」だ。
この絵の場合は、生まれたばかりの女児、その子を抱く母、そしてその後ろに立つ老婆の3人の女。
これは人間の一生を3期わけ、幼年期、青年期、老年期に分け寓意的に表している。
また、これは一人の女性の一生を3期に分けて描いたともいわれる。
この人生の三世代のモチーフは、決して珍しいものではなく、古来より好んで描かれたテーマの1つ。

そんなことを考えながら数日過ごしていたらなんと、「メトロポリタン美術館展」にも1点出展されていた。

写真:https://www.metmuseum.org/
ドッソ・ドッシ(Dosso Dossi)の「人生の三段階の寓意(Allegoria delle tra età della vita)」
≪人生の三段階の寓意≫とは、伝統的に人間の一生における幼少期、青年期、老輩期の三段階を同一画面の配し、人生の虚ろと儚さを哲学的思想によって象徴的に表現したもので、この主題はジョルジョーネを始めとしたルネサンス期の多くの画家が手がけている。

ちなみにピカソも同じテーマで描いている。

写真:https://www.sothebys.com/
Nus masculins (Les trois âges de l'homme)
「男性のヌード(人生の三世代)」
このテーマで調べていて、偶然発見したのだが、この作品先月、2022年4月21日にパリで開催されたサザビーズのオークションに出展され、4,136,800EUR(5億5千万円強)で売却されている。
どうやらロンドンのプライベートコレクションに入ったらしい。

自画像とも言われるこの絵では、窓際で笛を吹く若人、お面と槍を持って立つ成人男性、床に横たわる老人が描かれている。
この絵が描かれたのは1942年。
当時ピカソの友人の芸術家たちの多くはフランスを離れていたが、ピカソは1937年「ゲルニカ」を制作するなど抵抗を示していた。
ピカソはこの時期キュビズム作品を多く作成していて、こういう”古典的”な作品は珍しい。
またこの時期、ヌードを描くことは禁じられていた。
若いフルート奏者はギリシャ神話の牧神パン、まるで古代彫刻のような姿勢ですっくと立ち、ピカソがたびたび描いている牛のお面を持つ人生の最盛期の男、満腹でだらしなく横たわるのはギリシャ神話の豊穣の神ディオニュソスか。
この古典的テーマ「人生の三世代」で伝えたかったことは、ピカソもやはり人生の儚さだったのだろうか。

ふむ、鏑木清方の作品も同じ意図があるのかな?
あの3美人も「人生の儚さ」を表現しているのだろうか?

参考(ピカソ):https://www.sothebys.com/



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2 コメント

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展覧会 (カンサン)
2022-05-16 20:07:25
fontanaさんへ、展覧会も制限なしで入場できるようになってきましたね。
私も日曜日は大阪中之島美術館で開催中のモディリアーニ展を見に行ってきました。
NHKの朝の連続ドラマはご覧になっていますか。きょうの回で、主人公(黒島結菜)が沖縄から東京に行って、最初に行ったレストランがイタリア料理のお店で、店名がフォンターナでした。(^ ^)
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季節は移ろい・・・ (fontana)
2022-06-05 17:34:24
カンサンさん
お返事が遅くなりすっかりあじさいの季節になってしまいました。
「ポンペイ展」に行かれたんんですね。会場は京セラ美術館だったんですね。南禅寺にも行かれたようで、今はまだ外国人が少ないのゆっくり回れますが、徐々にあのカオスが戻ってくるのでしょうか…

朝ドラ見てますよ。レストランの名前「アッラ・フォンターナ」ですが、ドラマの方は何か伏線があるのかもしれません、私の方は本名です。(^^♪
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