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旅持ち-その3

旅持ちの茶籠の仕組み、「その3」は茶巾筒です。

内径13cmほどの竹籠に、茶碗や棗、茶筅筒などを仕組み、
もう直径が3cmになる筒を入れるスペースは何処にもありません。
何か薄いもので代用できないものかと考えたとき、思い出したのが紙入です。
これは私の夫GURE
今は無きお祖父様のそのまたお祖母様が使っていたという紙入で、
幅10,5cm高さ6cm、厚さ1cmの小さな竹細工の袋物。

もちろん私も、夫すら面識はありませんが、
夫が生前お祖父ちゃんから聞いた話では、
自分の余命が幾許も無いと知った時に、
冥土の土産にと盛大に芸者遊びをなさった女傑だとか。



蓋の裏は細い木綿の糸で織られた、薄い縞の木綿です。
古い唐桟と思っていましたら、池田重子さんの本によると、
「カピタン縞」と呼ばれる渡来物のようです。



竹を極限まで細く裂いた網目の底の部分は、
1cmに8×9個の細かい編込みでした。
これを作った職人さんの意地と技術の高さが感じられる仕事です。

提げ尾の組紐も、以前に組紐の職人さんに見ていただいたら、
「今はこんな仕事は出来ない」という程の手間の物だそうです。

こんなに貴重な品物、嫁の私が使っても良いのか
と夫に訊ねましたら、道具は使わないと死んでしまう、
女物なのだからお前が使え、との有難いお言葉。
大切に使わせて頂きたいと思います。

この紙入を茶巾入れに頂いて、私の初めての「旅持ち」は、
身の丈の楽しみを越えた、立派な物になってしまいました。
「格を合わせる」という事でいうと、いけませんね。
あまりにお粗末な部分が目立ってしまいます。
適当な物が見つかり次第、入れ替えていきましょう。



また籠の内張りや巾着は手付かずの状態ですが、
とりあえず全ての道具が納まりました。
上に掛けた布は、私の父が30年ほど前にジャワ島で手に入れたバティックです。

「旅持ち」は一度仕組んだらそれで完成、という訳ではなく、
新しい道具と巡り合い、その時々の感性で入れ替えて行きます。
これからこの旅持ちを携えて、どんなお茶を楽しむ事が出来るのか。
どんな新しい道具との出会いがあるのか、
           楽しみは限りなく続きます。
密かな野望は、思い描いた形・サイズの振出や茶筅立、
茶巾筒などをガラスで自作する事。
 コアガラスの作り手としての私も、遥かな道のりを歩み始めました。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
ためいき・・・ (あっちゃん)
2009-07-05 07:42:23
すてきですねぇ。。。ため息です。眼福~。
ピクニックやおさんぽが
とっても豊かな時間になりますね。
 
 
 
あっちゃん、 (ふちこま)
2009-07-06 09:01:02
あっちゃんも好きそうだよね、こういう世界。
是非、お茶を始めて下さいな。
そしてたまにはお着物で遊びましょ。
 
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