台風シーズン到来ですが、中古マンションを購入しつつ雨漏りが見つかった場合、その修繕費用は誰が負担すべきでしょうか。
中古マンションの購入をご予定の方へ向けて、雨漏りが発見された場合における修繕費用の負担者をご説明しましょう。
売り主や売買契約の内容によって修繕費用の負担者が決まる
まずは、売りに出されている中古マンションは、個人が不動産業者を仲介させつつ売りに出す物件と、不動産業者が直接販売する物件に大きく分類されることを留意してください。
個人が不動産業者を仲介させつつ売りに出す中古マンションの売り主は個人であり、不動産業者自らが売りに出す物件の売り主は不動産業者です。
アットホームなどの不動産検索サイトで中古マンションを検索すると数万もの物件がヒットしますが、その多くは個人が不動産業者を仲介させつつ売りに出す、個人が売り主である物件となっています。
一方、最近流行りの大規模なリフォームが実施されたリノベーション済みの中古マンションは、大抵は不動産業者が売り主である物件です。
さて、本題です。
中古マンションを購入しつつ雨漏りが見つかった場合における修繕費用を負担すべき者は、その物件の売り主が個人であるか不動産業者であるか、売買契約書や重要事項説明書に雨漏りに関する記述があるか、売買契約書に記されている契約不適合責任に関する記述の内容によって異なります。
そして、売りに出されている中古マンションの多くは個人が売り主の物件ですが、個人が売り主である物件を購入しつつ雨漏りが見つかった場合における修繕費用の負担者は、売買契約書と重要事項説明書の内容によって決まります。
売買契約書や重要事項説明書に「この物件には雨漏りがある」との記述がある場合は、買い主は雨漏りがあることを了承しつつ中古マンションを購入したこととなります。
よって、売買契約書や重要事項説明書に雨漏りがあるとの記述がある場合は、修繕費用を負担すべき者は買い主です。
これに対して、売買契約書や重要事項説明書に雨漏りがあるなどの記述がない場合は、売買契約書に記されている契約不適合責任に関する記述の内容によって雨漏りの修繕費用の負担者が決まります。
契約不適合責任とは、売買された中古住宅や土地などの不動産の品質が売買契約の内容を満たさない場合に、物件の売り主が負う責任です。
そもそも中古マンションの買い主は、民法の第五百六十二条により追完請求権を有しています。
追完請求権とは、売買契約を結びつつ引き渡された目的物に売買契約の内容を満たさない欠陥がある場合に、買い主が売り主に修繕などを請求できる権利です。
追完請求権によって請求された修繕などを果たす責任が契約不適合責任であり、中古マンションの売り主は契約不適合責任を負うため、売買契約書に雨漏りがあるなどの記述がないのであれば、中古マンションの売り主が修繕費用を負担することとなります。
ただし、売買契約書に売り主が契約不適合責任を負う期間が記されていたり、売り主は契約不適合責任を免れるなどの記述がある場合はそれらが優先されます。
たとえば、売買契約書に以下のように売り主が契約不適合責任を負う期間に関する記述がある場合は、その期間内に雨漏りが発見され、なおかつ買い主が雨漏りがあることを売り主に通知した場合に限り、売り主が雨漏りの修繕費用を負担することとなります。
また、以下のように売り主が契約不適合責任を免れることの記述がある場合は、期間を問わず買い主が雨漏りの修繕費用を負担しなければなりません。
このように、個人が不動産業者を仲介させつつ売りに出す中古マンションを購入した場合における雨漏りの修繕費用を負担すべき者は、売買契約書や重要事項説明書に記されている契約不適合責任に関する記述によって決まります。
一方、不動産業者が売り主である中古マンションを購入しつつ雨漏りが発見された場合は、売買契約の内容によって異なりますが、中古マンションが引き渡された日から2年を経過した日までに雨漏りがあることを不動産業者に通知すれば、不動産業者が雨漏りの修繕費用を負担することとなります。
このように購入した中古マンションに雨漏りが見つかった場合における修繕費用を負担すべき者は、その売り主や売買契約、重要事項説明書の内容によって異なります。
私が運営するサイト「誰でもわかる不動産売買」の「中古マンションの雨漏りの対処法」では、中古マンションに雨漏りが見つかった場合に誰が修繕費用を負担すべきか詳しくご説明中です。
同コンテンツでは、不動産業者が売り主である中古マンションを購入しつつ雨漏りが見つかった場合における詳細な対処法もご紹介しています。
中古マンションの購入をご予定の方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。それではまた次回の更新でお会いしましょう。「わかりやすく解説 | 不動産のあいうえお」でした。