2022年1月8日の私たち7人の即興表現の音に、後日の私が反応した。日を違えて何度も何度も反応した。何度も録音を重ねた。一度きりの即興の時も、録音をやり直した時もあった。もし当日、カフェドジェームに私が5、6人居たらこんな感じになったのかも知れない。いや、全く違う感じになったかも知れない。
あとからこんなに多重録音をするのなら、初めから全部一人でやったら良いのでは?と一瞬思うが、それは見当違いの問いだ。
即興表現の現場では、誰が何をするか予測できない。私自身さえその時に何をするか、始める前の私には分からない。この日は幼児が二人おり、予測不可能の係数は更に高まる。最初から最後まで、私にとって思いがけない外部との出会いの連続。私一人ではこの外部には出会えない。
私が他者と一緒にその場で即興音楽を行う唯一の動機は、思いがけない外部に出会うこと。2022年1月8日の、この30数分間の、素朴で穏やかな私たちの音があるからこそ、お互いにとって思いがけない外部との出会いの応酬があるからこそ、それを後追いする私の一人多重録音が成り立つ。
どう考えてもこの逆はあり得ない。
これが私にとっての音楽の喜び。人間同士の表現の喜び。
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33分23秒の音源。
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