薄毛が治る情報とはおかしなもので、そのおかしな情報に煽られているご相談をよく承ります。
中でも一番問題だな?と感じるのが、多くの人が薄毛と脱毛症を同じように見ていることです。その為、当然薄毛が治るのと脱毛症が治るのを同じ視点で見てケア法を採ってしまいます。脱毛症が治る視点で薄毛を見ていると、薄毛は中々治りません。
薄毛と脱毛症は違う
薄毛と脱毛症は違うのをご存じですか?
よく男性型脱毛症とか女性型脱毛症なんて言われますから、毛が薄くなるのを脱毛症だと思っている人が多いでしょう。
が、実は薄毛と脱毛症は、その発症の仕方も違えば進行の仕方も違い、おまけに治り方も違うのです。
ところが、世間一般では同列に扱っているものが多く、これが薄毛を治せなくなっている原因の一つではないか?と思っています。
多くの方が求める薄毛が治る効果やプロセスも、脱毛症が治るものであったりしますから、相当根が深いものだと言う事ができます。
詳しく書き始めるとA4サイズに10枚以上書く必要があるので、今回は特徴的なことに焦点を絞って書きたいと思います。詳しく知りたい方は、以下の電子書籍をご覧下さればうれしいです。
●薄毛と脱毛症は違う、 違いが分かれば髪は増える
あり得ない育毛剤の広告
世間一般の中で、「ひどい広告だな!」と感じるのが育毛剤の広告です。毛が無くなったところに、太く成長する毛が発毛してきて治るような写真や動画を見たことはありませんか?私がクリックするからだろうけど、FACEBOOKやInstagram・Xでたびたび見ます。
どうみても薄毛を治す為の広告なのに、脱毛症が治る広告になっているのですね。これに近い広告も多いですから、一般の方なら薄毛は発毛して短期間で治ると思ってしまうでしょう。それは大きな間違いです。
脱毛症が治るのは早い
脱毛症と薄毛の違いが分かれば、上記に書いたような広告は嘘八百なのが理解できると思いますので、その説明を以下に記述します。
まずは脱毛症についてです。脱毛症の原因には血管の収縮による血流制限と自己の免疫が毛根を異物として攻撃する自己免疫疾患の二つがあり、現代の医学では自己免疫疾患と考えるのが標準的な捉え方になっているようです。
が、長年育毛相談の現場で仕事してきて感じるのは、脱毛症には軽い症状から重い症状まであり、軽い症状の方が血流制限の影響が大きく、重くなればなるほど自己免疫の影響の方が大きくなっているように思います。
いずれの場合でも、血流制限による毛根への栄養補給のストップか自己免疫による毛根への攻撃かで、毛母細胞が働かなくなり、成長途中でいきなり毛が抜けてしまい生え変わってこなくなるのが脱毛症の症状です。
十分成長している途中で太いままいきなり抜けてしまい、生え変わってこなくなるのです。円形脱毛症やびまん性脱毛症が特徴的な症状ですね。抗がん剤の副作用での脱毛症も同じです。
抜けてはいますが、毛根部分には成長する為の毛の組織がそのまま残っています。その為、血流制限や自己免疫の原因が回復すると、正常な太さで成長する毛として発毛してきて半年とか1年くらいの短期間で元のように戻ります。
元に戻った後は、正常な生え変わりのサイクルに戻り、発毛して→成長して→抜けてを繰り返すようになり本来の毛を維持するようになります。
薄毛が治るのは年月がかかる
では、薄毛とはどんな症状なのでしょうか?いきなり血流が制限されて薄毛になるのではなく、その前段階があります。血流が段々と弱くなっていくので、毛母細胞の働きが止まるのではなく弱くなります。1:すると中身の薄い髪の毛になり、毛に腰が無くなります。
2:その次に生え変わってくる毛が細くなり、細い毛が増えてくると地肌が見える部位が出てくるようになり、今度は成長期が短くなった毛が増えてきます。
3:その次に、抜け毛が急に増えるようになり、細くて成長期がさらに短い毛に生え変わり明らかに薄毛になったと分かるようになります。
4:成長期が短くなった毛が増えてくるので、頭皮の表面に生えている毛の本数が減り、抜け毛が減り確実に薄毛が進行していくようになります。
5:最後には太さも成長期もゼロになってしまい、次に生え変わる組織が生まれなくなります。
薄毛は「1」~「5」まで少しずつ進行していくので、「1」になるまでに1年とか2年の年月がかかり、「2」とか「3」になるまでに5年とか6年・・・10年くらいの年月がかかることもあります。「4」とか「5」になるまでには「1」から10年とか20年かかる場合もあります。
女性の場合は「5」になることはほぼありませんが、ケア方法を間違えると女性でも部分的に「5」になることがあります。ミノキシジルを使っていた女性に見られます。
薄毛が治るとは、生え変わって来る毛が本来の太さと成長期に戻っていくことでもあるので、上記の「4」から「3」へ、「3」から「2」へ、「2」から「1」へと生え変わりながら戻ることになるので、2年とか3年の年月がかかるのが普通です。進行度が深ければもっとかかり、進行度が浅ければもっと早く戻ります。
薄毛は毛が無くなるが、脱毛症は元に戻る
薄毛が進行していき、太さと成長期がゼロ=「0」になってしまうと、次に生え変わる為の組織が無くなってしまうので毛の回復は絶望的になります。たぶん、バジル組織も消えてしまうのではないか?と推測しています。
脱毛症の場合は、抜けて生え変わってこなくなっても、毛穴内部には毛が育つ為の組織が残っていますから、その原因である血流制限と自己免疫が改善されると本来の太さで成長する毛が発毛してきて、短期間で元のように戻るのです。
薄毛の場合は、毛が残っている段階(せめて5センチ以上伸びている段階)で、本来の太さで成長する毛に生え変わるようなケア方法を採らないと、毛を無くしてしまうこともあるのです。
また、薄毛の場合は毛穴内部の毛を育てる組織が全て元に戻ることはないので、回復できても元のように戻ることはないと思った方が良いです。傷が浅い段階で本来の太さで成長する毛に回復するケア法に取り組めば元に近い状態で回復することは可能です。
少々長々と記述しました。薄毛と脱毛症は全く違うので、薄毛なのに脱毛症が治るような効果を求めたケア法を採らずに、ちゃんと薄毛が治るケア法を採って欲しく思います。