野球小僧

東京オリンピック

2020年は東京オリンピック。

ひと悶着あった札幌マラソンコースは決まり、いつの間にか新国立競技場が完成し、いよいよカウントダウンです。

ところで、いろいろなところでオリンピック関連のポスターなど見かけますが、オリンピックといえばの「五輪マーク」は見たことがないと思います。これは、オリンピックには、国際オリンピック委員会(IOC)、日本オリンピック委員会(JOC)が持つ法律上保護される知的財産というものがあるためです。具体的には「オリンピック」という名称、ロゴマークなどの商標権、オリンピックの写真、映像の著作権などです。 つまり、これらの知的財産権を侵害していると判断されてしまう可能性があるため、気軽に使用することが出来ないのです。

2018年平昌オリンピックの際、とある自治体が地元選手の壮行会を非公開にするようにという通達がJOCあったそうです。これは、会場の垂れ幕にオリンピックなどの文字が書かれていたことで問題になりました。

地元選手を自由に応援できないというのは、あまりに厳しすぎのではないかという、声もあり、東京オリンピックでは自治体や商店街が壮行会を公開したり、パブリックビューイング(PV)の開催も出来るようになりました。しかし、PVを行うには事前の届け出が必要であり、「有料にしてはいけない」などの多くの制限はあるそうです。

とはいうものの、オリンピックといえば、あの5つの輪が重なった五輪マークは、使用することは出来ません。

五輪マークは五大陸(居酒屋チェーン店のことではなく、地球上に存在するユーラシア大陸、アフリカ大陸、北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、オーストラリア大陸)を意味しており、オリンピックが世界的なスポーツ大会であることを表しています。そして、IOCがスポンサーの権利を守るために、商標の中でも、最も使用が制限されているのです。スポンサーの中でも最上位の「ワールドワイドオリンピックパートナー(TOP)スポンサー」しか使用することができず、それ以下のスポンサーは東京オリンピックの「組市松模様」のエンブレムが使用できるだけなのです。

このスポンサー企業の最高位に位置TOPですが、IOCが1業種(カテゴリー)で1社とだけ契約することが出来ません。各大会の組織委員会が契約するローカルスポンサーと違い、世界中で五輪マークを使ったプロモーション活動を展開できるのです。

ちなみに、TOPとは最高位のTOPではなく、「THE OLYMPIC PARTNER」の略なのですだ。現在は13社あり、コカ・コーラやビザ(クレジットカード)など世界的企業が並び、日本からはパナソニック、ブリヂストン、トヨタ自動車が名を連ねています。

■ワールドワイドオリンピックパートナー
Coca Cola(ノンアルコール飲料)
ALIBABA(オンラインモール、決済サービス、クラウド・コンピューティング:中国)
Atos(情報技術)
Bridgestone(タイヤ、免震ゴム、自転車)
Dow(化学製品)
GE(エネルギー、インフラ、照明、輸送他)
Intel(半導体、VR、5G)
OMEGA(時計、計時、採点システム)
Panasonic(AV機器、白物家電、電動自転車)
P&G(家庭用品)
SAMSUNG(無線通信機器)
TOYOTA(モビリティー)
VISA(クレジットカード他決済システム)

■東京2020オリンピックゴールドパートナー
Asahi(ビール&ワイン)
Asics(スポーツ用品)
Canon(スチルカメラおよびデスクトップ・プリンター)
ENEOS(石油、ガス、電気供給)
東京海上日動(損害保険)
日本生命(生命保険)
NEC(パブリックセーフティ先進製品とネットワーク製品)
NTT(通信サービス)
野村証券(証券)
富士通(データセンターパートナー)
みずほ銀行(銀行)
三井住友銀行(SMBC)(銀行)
三井不動産(不動産開発)
Meiji(乳製品・菓子)
LIXIL(住宅設備部材&水回り備品)

■東京2020オリンピックオフィシャルパートナー
味の素(調味料、乾燥スープ、アミノ酸ベース顆粒、冷凍食品)
アース製薬(家庭用殺虫剤、虫よけ、肥料、培養土及び除草剤)
Education First Japan(語学トレーニング)
airweave(寝具)
キッコーマン(ソース(しょうゆ含む)、酢、みりん、料理酒)
KNT-CTホールディングス(旅行業務およびナショナルトリップホスピタリティーサービス)
JTB(旅行業務およびナショナルトリップホスピタリティーサービス)
CISCOシステムズ合同会社(ネットワーク製品)
SECOM(セキュリティーサービス&プランニング)
ANA(旅客航空輸送サービス)
ALSOK(セキュリティーサービス&プランニング)
大日本印刷(印刷サービス)
大和ハウス(施設建設&住宅開発)
東京ガス(ガス・ガス公共サービス)
東京メトロ(旅客鉄道輸送サービス)
TOTO(水回り備品)
東武トップツアーズ(旅行業務およびナショナルトリップホスピタリティーサービス)
TOPPAN(印刷サービス)
成田国際空港(空港運営)
日清食品(カップ麺、袋麺、チルド麺、冷凍麺)
日本郵便 (郵便)
日本空港ビルデング (羽田空港運営)
JAL(旅客航空輸送サービス)
JR東日本(旅客鉄道輸送サービス)
久光製薬(外用鎮痛消炎剤)
三菱電機(エレベーター・エスカレーター・ムービングウォーク)
ヤマトホールディングス (荷物輸送サービス)
リクルート(人材サービス&オンライン学習及び教育サービス)
読売新聞 (新聞)
朝日新聞 (新聞)
日経新聞 (新聞)
毎日新聞 (新聞)

■東京2020オリンピックオフィシャルサポーター
AOKI(ファッション、ブライダル、エンターテイメント)
Aggreko(仮設電源サービス)
ECC(教育)
KADOKAWA(出版社)
GOOGLE(IT企業)
コクヨ(文具・家具メーカー)
清水建設(総合建設業)

TANAKAホールディングス(田中貴金属の持ち株会社)
乃村工藝社(空間創造事業)
パーク24(駐車場事業)
パソナグループ(人材サービス=人材派遣、人材紹介・斡旋、人事採用・管理・配置支援サービス、企業向け研修(オンライン及びオフラインのテストサービスなどの語学研修は除く))
丸大食品(ハム、ソーセージ、ウインナー、ベーコン、魚肉ソーセージ、かまぼこ、ローストポーク、スペアリブ)
モリサワ(文字・フォント・ソフトウェア)
ヤフー(IT)
産業経済新聞(新聞)
北海道新聞社(新聞)

なお、協賛金額は夏冬2大会の4年単位なら100億円程度が目安のようですが、公表はされていません。契約内容やカテゴリーなどで大きく異なっており、2015年から2024年まで10年契約したトヨタの協賛金は総額で1000億円を大幅に上回るとされているそうです。

さて、東京オリンピックはマラソンコースで議論があったように、酷暑と言ってもいい時期に開催されるます。熱中症や日射病などの懸念もあり、水分補給を怠れば命にかかわる事になりかねません。そこで2019年11月に組織委員会は、競技会場内へのペットボトル飲料の持ち込みを認めることを決定しました。さらに会場内には水道の蛇口を設置する予定だそうです。

しかし、これには制約があり、持ち込めるペットボトルは一人1本750mlまで。また、蛇口も500~3000人に一箇所の割合でしか設置されないそうです。理由は、テロ対策のためということになっていますが、どうやら、実情は違うとのことです。

これは、TOPスポンサーのコカ・コーラが、会場での清涼飲料水の独占販売権を保持しているからのようです。コカ・コーラは1928年のアムステルダム大会でスポンサーを務めて以来、約90年以上にわたってオリンピックをサポートし続けてきています。スポンサーとしてもっとも長い歴史を持っているのです。

上記の東京五輪のスポンサー一覧を見てわかるように、TOPスポンサーとして世界的大企業がアルファベット順に並んでいます。しかし、コカ・コーラだけがアルファベット順に関係なく先頭にあるのは、そういう理由があるのです。

さらに、どのくらい配慮されているかというかと、1998年の長野オリンピックにおいて、聖火ランナーが長野市内を走ったときに、路上にある自動販売機にシートがかけられたそうです。この自動販売機ではペプシコーラが売られており、コカ・コーラに配慮して隠されたとのことです。

つまり、ペットボトルの持ち込みや、水道の蛇口数を制限するのには、自由に飲み物を持ち込めるようになれば、コカ・コーラの清涼飲料水が売れなくなってしまからと推測されているようです。

さて、実際に五輪マークを勝手に使用し、IOCやJOCが持つ知的財産を侵害した場合、まずJOCから是正を求める通知が来るようです。それでも違法状態が是正されなければ、民事上の損害賠償や差し止め請求がありえそうです。

なお、知的財産権を侵害した場合、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金という罰則規定があります。

軽い気持ちでポスターなどに載せると大変なことになってしまいます。


コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。

まあ、その方面までは見ていないでしょうから(笑)。

一方で商魂たくましく、ぎりぎりでやっているようなものもあるでしょうね。

しかし、マラソンコースでも話題になった費用。IOCへ入っていると思われるスポンサー費用はどこへ消えているのでしょうね。
eco坊主
おはようございます。

安易に使われて詐欺まがいや悪徳商法に使われるのは困りもんですが、内容だけ見ますとかなり厳しいですね。利権が横行していなければいいんだけど・・

今年初の訓練生面談ではオリンピックイヤーを使わさせていただきました。
ローカルな面談ですので大丈夫でしょう(笑)

華やかな舞台の裏には必ず影の部分があります。
選手やボランティアの方々に影響が無いようにして欲しいものです。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

最新の画像もっと見る

最近の「スポーツ」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事