「クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡」は、1997年4月19日に公開されたクレヨンしんちゃんの劇場映画シリーズ5作目（映画化5周年記念作品）です。
新東京国際空港（現；成田国際空港）にて、ホステス一団（珠黄泉（たまゆら）族）と外国人の男が取引を行っているところに奇妙な3人組の珠由良（たまゆら）族のローズ、ラベンダー、レモン）が乱入し、男が持っていた物を奪うという騒動があり、千葉県警の刑事・東松山よねが担当することになる。
同じ頃、北埼玉大学で最近発掘された埴輪が盗まれるという事件が発生。その翌日、シロと散歩していたしんのすけは、土手で寝ている珠由良ブラザーズ長男？・ローズの傍で光る玉を拾い、家に持ち帰るが、いつの間にか失くしてしまう。その夜、珠由良ブラザーズが野原家に上がり、一家を珠由良ブラザーズが経営する銀座のニューハーフパブに連れ出す。
珠由良ブラザーズは呪術（何らかの目的のため、超自然的な存在 (神や精霊その他) の助けをかり、種々の現象を起させようとする行為およびそれに関連する信仰）を行う、「珠由良族」の者で、敵対関係にある「珠黄泉（たまよみ）族」が魔人「ジャーク」を復活させようとしていることを知り、これを阻止するために行動しているのだという。
しんのすけが拾った玉は、北埼玉大学から盗まれた埴輪の中に封印されているジャークの復活の鍵となる2つの「タマ」の片割れであり、その「タマ」は、ひまわりが飲み込んでしまっていたため、この「タマ」とひまわりをめぐって、野原一家も争いに巻き込まれてしまう。
という話です。
この珠由良・珠黄泉の両族はどちらも古い一族で呪術を生業としており、昔は良好な関係を築いていました。しかし、ある時、珠黄泉族から強力な霊能者が現れ、凄まじい力を秘めた魔人ジャークと結託し世界を征服しようとしていました。これに対し、珠由良族と珠黄泉族は霊能者を倒し、ジャークを埴輪に封じ込めることに成功します。そして、埴輪は地中深く埋められ、ジャークを封印する際に力を結晶化させた2つの「タマ」を珠由良族が、霊能者がジャークを操るために使った道具「魔ン棒（まんぼう）」を珠黄泉族が管理することになっていました。
さて、先日来、ニュースで、「まん防（まんぼう）」という言葉がいわれていますが、この「まん防」は2021年2月3日に設けられ、2月13日から施行された新型インフルエンザ等対策特別措置法の「まん延防止等重点措置」の略称のことです。それまで、あまり（私は）気にしていませんでしたが、3月18日に行われた菅内閣総理大臣記者会見で使われ、インターネット上で話題になり、翌日にはニュースにもなっていたようです。
そして、大阪府の吉村洋文知事が3月29日に、大阪府内の新型コロナウイルスの感染者数急増を受け、「第4波に入った」との認識を示し、「まん防適用を国に申請していく」と述べて、4月1日に宮城県、大阪府と兵庫県に初適用されました。
この「まん防」ですが、緊急事態宣言が出されていなくても集中的な対策を可能にするもので、緊急事態宣言は感染状況が最も深刻な「ステージ4」に相当するかどうかが目安になり、都道府県単位で出されますが、「まん防」は「ステージ3」を想定し、政府が対象とした都道府県の知事が、市区町村など特定の地域を限定して適用できます。
「まん防」のもとで、都道府県が飲食店などの店舗や施設に対して行うことができる措置として、「従業員への検査受診の勧奨」「入場者の整理」「発熱などの症状がある人の入場の禁止」「入場者へ感染防止のための措置の周知と、それを行わない人の入場禁止」などを定めています。特に飲食店が時短命令に応じなかった場合、20万円以下の過料が科されます。
ただ、やはり、私にとっての「まんぼう」は、「クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡」に出てくる「魔ン棒」の方が最初に頭に浮かんできたしまうのですが。
「まん延防止等重点措置」の略称でしたら、「まんじゅう（重）」でもいいと思うのですが、いつのまにか「まんぼう」が市民権を得てしまいました。
さてさて、「まんぼう」といえば、やはり魚類の「まんぼう」ともいますが、「万引き防止」、略して「まんぼう（万防）」のイメージキャラクターとして「まんぼう」を青森県警、宮城県警、和歌山県警などでオリジナルキャラクターとして使われています。
その「まんぼう」ですが、2021年に和歌山市立博物館で展示された江戸時代後期のものと推定されている「疫病除ヶ」と書かれた「まんぼう」の木版画があり、同じく江戸時代後期のものと推定されている書物「ま免なくさ」にも長崎県で「まんぼう」を疫病除けに使っていたという一文があるそうです。
それを知っていて、「まん延防止等重点措置」を「まんぼう」としていたのであれば、これを考えた方はすごいなと思います。
ちなみに、かつて霊能者がジャークを操るのに使った道具「魔ン棒」ですが、これが無ければジャークは好き勝手に暴れてしまうとのことです。
映画の中でも、江戸時代の言い伝えでも、そして現実社会の中でも「まんぼう」が大事な役割をはたしています。
なお、「クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡」のキャッチコピーは「オラたちに明日はない！」です。
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