2018年にインドネシアで行われたアジア競技大会では、6つの競技(6本のゲーム)がデモンストレーション競技に選ばれるなど、単なる「ゲーム」ではなく、「スポーツ」としての認知度も高まり始めています。
また、2019年の茨城国体でも、eスポーツがプログラムの1つに選ばれ、都道府県対抗で開催されるなど、国内でも拡大しています。
(茨城新聞の公式Twitterより)
アジア競技大会では、サッカーゲーム「ウイニングイレブン」の競技部門において日本人チームが優勝。今後はアジア大会での公式種目化、オリンピックの公式種目化も一部でささやかれており、人材の強化も必要となってくると思われます。
そんな中、毎日新聞社とPCの製造などを手掛けるサードウェーブが11月1日に全国高等学校eスポーツ連盟(Japan High School Esports Federation = JHSEF)を設立しました。11月7日には記者会見も行われ、高校生を取り巻くeスポーツ環境や乗り越えるべき課題などについて発表されました。
もともと毎日新聞社とサードウェーブ社は、「全国高校eスポーツ選手権大会」を主催していました。2018年の第1回大会では2つの競技を実施。2競技を合わせて約150チームが参加。2019年には第2回大会を実施しており、200チーム以上が参加し、競技人口は拡大しています。
JHSEFでは、従来のスポーツは能力が身体面に依存する傾向が強く、また性別の違いや障害の有無によっても差が付きやすいが、eスポーツであればこうしたハードルに関係なく競技できること。また、グローバルなコミュニケーションを取ることも可能であり、校内でeスポーツ大会を行ったある学校では、留学生が優勝することで、一般学生との交流を深められたケースもあるとのことです。
ただ、日本においては、「eスポーツ = ゲーム」という認識は、まだまだあると思います。特に中高生や大学生であれば、この認識からも難しい一面はあると思いまえます。学業などにも時間を割く必要があり、保護者にも納得してもらえるような仕組みがなければ、難しいところです。
プロを目指し野球の素振りをして勉強時間を削るよりも、eスポーツの練習をしていることに一定の理解を得るまでは大変なことでしょう。YouTuberとともに、10年ほど前には想像もつかなかった状況です。
JHSEFでは、保護者や学校の教師に対して、eスポーツの「教育的価値」を浸透させていく方針だそうです。例えば、eスポーツにおいては、ユニバーサルスポーツなだけではなく、コミュニケーション、そして身体面からも高校生の能力を高められ、反射神経や瞬発力、そして集中力の高め方など、それぞれを見てみると従来のスポーツと何ら変わりはないと考えています。ただ、「ゲームだから」という理由だけでなく、実際に部活を立ち上げる際などに前例がないため、どのように進めていくか悩む学校もあるそうです。
JHSEFは、「分からなかったり悩んだりしても問題ない。重要なのは学生の自主性に任せること」と話します。前例がないことを逆に生かし、学校側は部活内でのルール作りや礼儀作法など、自らのノウハウを生かせる部分でサポートすることを提言しています。
米国では、北米教育eスポーツ連盟(NASEF)が設立されており、当初はカリフォルニア州の学校のみの加盟だったが、今では42州にまたがり、2018年から2019年にかけて加盟校が15倍以上に増加しているそうです。また、eスポーツに関連付けられる15の職種をリストアップし、ゲームにとどまらず、ビジネスにも役立てられるという点を啓発しているそうです。
さらに、各大学や脳研究者と連携し、eスポーツが脳に与える効果を検証し、問題解決や推論など「数学」的知識だけでなく、コミュニケーションに関する「社会的感情学習」において特に高い効果があることを明らかにしています。こうした活動により、認知度を高め、理解を促しているそうです。
今後、JHSEFはNASEFと提携し、こうした科学的分析を行い、学校や保護者への働きかけを通して日本の高校でのeスポーツ普及を狙っていくそうです。
何年後かには、「全国高等学校e野球選手権大会」で日本は盛り上がっているかも知れません。