ドカベン (35) (少年チャンピオン・コミックス) 価格:¥ 420(税込) 発売日:1979-01 |
全国高校野球選手権・神奈川県予選大会三回戦が収録されている「ドカベン」の第35巻。
明訓高校と好投手・不知火守率いる白新高校との一戦。
試合は明訓・里中と白新・不知火の投げ合いで0-0のまま延長戦へ。
延長十回表の明訓の攻撃。1アウト満塁でバッターは微笑三太郎。
ここで明訓はスクイズを仕掛けたが、ピッチャー手前の小フライ。
白新の不知火がダイビングキャッチをして、バッターの微笑がアウト。
スクイズですので、三塁ランナーの岩鬼はスタートを切っていて、そのままホームをタッチ。
不知火は一塁ランナーの山田を気にしていたのか、ホームへ滑り込んだ岩鬼を横目に、一塁へ送球してダブルプレーを成立させます。
当然、ダブルプレーが成立するための、第3アウトを取りましたので白新ナインはフィールドを後にして、ベンチに引き上げ。
ただ、スコアボードには1点が刻まれています。
山田ら明訓ナインはルールを知っていたかのように、当然の顔をして守備に就きます。
この試合は結局、この1点が決勝点になって、明訓がこの夏も制します。
先日の甲子園二回戦の済々黌高対鳴門高の7回裏1アウト一・三塁での済々黌高の攻撃。
ショートへのライナーがジャンピングキャッチされ、このボールを一塁に送球して一塁ランナーがアウトになり、ダブルプレーとなりました。
ただ、この一塁アウトまでの間に三塁ランナーが3アウト目よりも早くホームを踏んでいたため、ホームインが認められて1点が入りました。
おそらく、三塁ランナーが先にホームインしたことで、アウトにできないと思ったのかもしれません。
このドカベンの白新と実際の鳴門はアピールがあれば入らなかった1点です。
それは、第3アウトが宣言された後でも、守備側が競技場(フィールド=ラインをまたぐ前)に
”三塁へボールを送り、第3アウトを置き換える(交換する)”
というアピールをすればいいことなのです。
これは野球規則(7・10)に
「次の場合、アピールがあれば走者はアウトとなる」
とし、その(a)で
「飛球が捕らえられた後、走者が再度の触塁(リタッチ)を果たす前に、身体あるいはその塁に触球された場合」
と明記しています。また、同項の問答集として次のように書かれています。
【問】1死、走者一、二塁、打者が右翼へ大飛球を打ったとき、安打になると思った2走者は、フライが飛んでいる間進塁し続け、右翼手がこれを捕らえたにもかかわらず、二塁走者はそのまま本塁を踏んだ。しかし、一塁走者は捕球されたのを見て一塁に引き返そうとした。右翼手は一塁へ送球、一塁手は一塁走者が帰塁するより先に、塁に触球してアウトにした。二塁走者は、一塁走者が一塁でアウトになるより先に本塁を踏んでいるが、その得点は認められるか。
【答】守備側がアピールしない限り、二塁走者の得点は認められる。しかし、守備側は、アピールによる第三アウトの成立後であっても、このアウトよりも有利となるアピールアウトを先の第三アウトと置きかえることができるから、二塁でアピールすればリタッチを果たしていない二塁走者はアウトになり、得点とはならない。
以前、「お父さんのためのルール教室(2012.05.17)」に逆のパターンを書きましたが、大舞台でも同じようなことがあるとは思いもしませんでした。
http://baseball-love.blog.ocn.ne.jp/baseball/2012/05/post_0818.html
済々黌高のナインは、このドカベンを読んで、このルールを知っていたとのこと。
世のお母さん。マンガも少しは役に立つことがあるのですよ。
でも、夏休みの宿題もしっかりやりましょう。