野球小僧

ピッチャーは集団性と秩序性が高い?

とある会社にて自社開発した企業向け行動特性診断ツールがあります。すでに大学10校で導入を検討しており、アスリートキャリア支援委員会と提携して、体育会系学生の就職活動支援事業を始めるそうです。

行動特性診断は、人間の「能力」を構成する「行動特性」を数値化し、“見える化”した診断システムです。人間の「能力」は性格の組合せではなく、「行動の組合せ」で構成されているという理論です。そして、行動特性診断は個々人の行動に具体的なアプローチをすることにより、能力を向上させることを目的とした人材育成ツールです。

この行動特性診断で可視化した個人の持つ行動特性や傾向を客観的に分析します。どんな行動を多く取り、どんな行動を遠ざけているのかなど、いろいろな特性を20の行動特性エレメントに細分化します。また、社会人の必須能力である「コミュニケーション力」「問題解決力」を12のエレメントに細分化し、現状レベルの把握と課題抽出を的確に行います。

これらの分析結果をもとに、行動変容を自発的に誘発するためには、「目標設定」が必要不可欠であり、行動変容においては、現状レベルの認知後、達成可能な目標設定のプロセスがポイントとなる、この目標設定とその達成をサポートするというものです。

これをスポーツ界に適用しようということで、第一弾として私立大学の強豪野球部で試験導入し、監督を含む60人のコミュニケーション力と問題解決力を分析しました。

分析レポート結果
・受験期間:2016年12月~1月
・受験者数:60名(監督含む)
・ポジション別内訳:ピッチャー15名、キャッチャー7名、内野手18名、外野手16名、マネージャー3名

【コミュニケーション力】
傾聴力・共感力・受容力の3能力を受信力(人の話を聴き受け入れる力)、自己開示力・主張力・プレゼンテーション力の3能力を発信力(自己の気持ちを表現し相手に伝える力)とした合計6つのコミュニケーション力を計測。

ピッチャーとキャッチャーが受信力(傾聴力、共感力、受容力)が高く、野手(内野手、外野手)が発信力(自己開示力、主張力、コミュニケーション力)が高い傾向にある。

意外なデータ結果は、一般的なイメージとして「自己主張が高そう」なピッチャーの発信力が低く、傾聴力や共感力といった受信力が高く出たこと。また、チーム全体としても受信力が高いメンバーが多かった。近年の20代の特徴として、傾聴力・共感力不足が言われるなかで、「学生スポーツ」「チームワーク重視」の環境の中で育っている学生は異なる傾向が出ることがわかった。

面白いデータとして、マネージャーは「自己開示力」と「プレゼンテーション力」が非常に高い。この能力が高く出た結果からわかることとして、監督やコーチの方針を部員に周知徹底させることを重視し行動していることが考えられる。

【問題解決力】
目標達成(PDCAサイクル)に必要な計画立案力・情報収集力・企画提案力・迅速実行力・変化応用力・完結達成力の6つの能力を計測。

全ポジション(マネージャー含む)に共通する問題解決力として一番高いスコアがでたのが「完結達成力」。「目標達成=勝利」という1つの目標に向けて、どのポジションもチーム一丸となって行動していることが能力にも現れた結果と考えられる。

その他の各ポジション別の「問題解決力」の強みは以下のとおり。※()内は野球を行う際に発揮されていると推察される能力
ピッチャー:計画立案力(対戦相手のバッターの状況に応じて判断する)
キャッチャー:迅速実行力(スコア、カウントに応じて迅速にサインを出す)
内野手:変化応用力(状況に応じて守備位置を臨機応変に対応する)
外野手:情報収集力(守備位置をバッターや天候に応じて的確な情報を使い判断する)
マネージャー:企画提案力(監督やコーチの指示に応じて、部員の練習メニューを作る)

【行動特性20指標】
人間の行動は、目の前の出来事に対して脳で「思考」や「感情」で判別され「行動」として現れる。その人物がよくとる行動・あまりとらない行動の行動特性20項目を数値として表す。

各ポジション別の行動特性が高くでた項目=「よくとる行動」の傾向は以下のとおり。※()内は野球を行う際に発揮されていると推察される行動の特徴
ピッチャー:集団性と秩序性が高い(ルールを守り、チームプレイを重んじた投球を行う)
キャッチャー:懐疑性が高い(当たり前の出来事を鵜呑みするのではなく、真偽を疑い、臨機応変に判断をしながらサインや野手への指示出し)
内野手:集団性(状況に応じて他の内野手と守備位置を臨機応変に変える)
外野手:目的性(如何に点を与えないか守備位置を変える)
マネージャー:顕示性(受身の姿勢でなく、攻めのマネージャータイプ)

今回のテスト結果は、ある野球部単独のデータであり、すべての野球選手の特性を表したデータではないため、精度を高めるにはもっとデータが必要だと思います。それでも、ポジション別に「なるほど」と思える結果であります。
面白い結果として、一般的に「自己主張が高そう」というピッチャーのイメージに対し、ピッチャーは傾聴や共感といった受信力が高く、集団性と秩序性を持ち合わせていることです。もっと、わがままな人種かと思っていました。

コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。
笑えちゃうほどに合致していますよね。
案外、こういう行動特性分析をした後に、ポジションコンバートする監督が出てきたりなんかして。

私は「情報収集力」を持って「目的」に向けて行動する派です。
eco坊主
おはようございます(*Ü*)ノ"☀

面白いデータですね。でも確かに母集団が少ないかなぁ~
一つのチームだけでなく複数のチームのデータでないとね。

お~っと懐疑性が高いキャッチャーの行動特性に合致してしまった(笑)

キャーやっていたときピーは自己主張の高いわがまま人種も、傾聴や共感といった受信力が高く、集団性と秩序性を持ち合わせている人もいましたね。それは野球だけでなかったと思います。

っでまっくろくろすけさんはどのポジションですか?
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