春季高校野球青森県大会の決勝で八戸西高が弘前学院聖愛高を5-4で破り、1982年以来34年ぶりに春の県大会を優勝しました。
九回まで1-4で負けていましたが、5連打などで同点に追いつき、2アウト二・三塁からタイムリーヒットが出て、この回一気に4点を奪い、サヨナラ勝ちという劇的な勝利でした。投げてはエースが九回4失点完投、13奪三振の力投でした。
また、指導する蝦名監督は今年の4月に八戸西高に赴任したばかりであり、しかも初めて高校野球の監督になったばかりだそうです。
九回に3点差を逆転できた要因を聞かれると「気持ちでしょうね。技術はないですから。ウチの子たちの気持ちがうまくつながったんだと思います」とのことです。
蝦名監督は同じ青森県の弘前南高野球部の出身です。朝日新聞地方版にこんな記事が残っていました。
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一度きりの打席、犠打で貢献 弘前南・蝦名主将 青森
2010年07月14日
主将の「夏」は、1球で終わった。9回裏1死一塁の場面で、弘前南の主将・蝦名雄仁(かつひと)が打席に立った。6回に勝ち越された1点が重い。8回表から出場した蝦名にとって、この日最初の打席。長打を狙っていた。だが、村上博樹監督のサインは、バントだった。
主将の夏は1球で終わった
劣勢の場面で蝦名をグラウンドに送った村上監督は、春まで中軸を担っていた蝦名の勝負強さに期待した。「長打が出れば試合の雰囲気も変わるのでは」と考えた。だが「ここ一番の場面は、主将にしっかりとつないでもらいたい」と思い直し、走者を確実に二塁へ送ることを選んだ。
昨年秋の新チーム結成時から、打撃と走塁に力を入れてきた弘前南。春の大会は昨秋の東北大会で4強になった弘前学院聖愛を破り、その勢いのまま公立校で唯一ベスト4入りを果たした。
だが、この日は、飛び出した走者が併殺にあうなど、得意なはずの走塁が何度もつぶされた。打線もつながらず、中盤以降、青森中央から流れを引き戻せずにいた。
打席に立つ蝦名はベンチのサインを見て、小さくうなずいた。バットをギリギリまで長く持って構えた。投手から球が離れた瞬間、バットを横にする。直球が来た。落ち着いて当てた球は投手前に転がった。
2死二塁。チャンスが広がるかに見えた。だが、蝦名が送った走者は、直後に二塁から飛び出し、投手に刺されてゲームセット。この日の走塁は最後までうまくいかなかった。蝦名がこの夏の大会で経験した1打席の1球は、「犠打」として記録された。
「正直打ちたいという気持ちはありましたけど、まあ仕方ないっす」。試合後、蝦名はさらりと答えた。「チームとしてはよくやれたと思いますが、ミスが多すぎました」
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弘前南高ではキャッチャーでプレーしていたそうです。また、この記事では蝦名監督が現役だった三年の春季大会でも弘前学院聖愛高を破っていますので、もしかすると、蝦名監督は相性がいいのかも知れません。
監督就任後は「試合に対する気持ちの部分などを指導しました」と、キャッチャーの二年生平野凌央選手には強気のリードなどを伝授し、三年生のエース竹本祐瑛選手をリードしてきました。
蝦名監督は東北大会に向けて「(対戦校の)レベルも上がるので、自分たちがやれることをコツコツやっていくだけです」と話しています。
ベテランの高校野球監督に対し、今年初めて高校野球の監督に就任どころか新任の高校教師となった蝦名監督。
101年目。新世紀高校野球。
高校球児だけではなく、監督にクローズアップして高校野球を楽しむのも面白いかも知れません。
なお、注目の東北大会は6月9日から岩手県で開催されます。