創部67年。1996年9月に開催された第95回秋季北信越高校野球県大会でベスト4に進出し、北信越大会に出場。翌年春の大会でも東信大会を勝ち上がり、県大会に出場。また、2000年春の県大会でもベスト8になっています。過去には夏の県大会でベスト 16 の成績を残したこともある軽井沢高校野球部。
2012年から部員が9人以下の状態が続き、2015年夏に三年生が引退すると、部員は1人になってしまいました。
昨夏から唯一の野球部員の磯山洋介さん(三年生)は、マネージャーの小宮山佑茉さん(二年生)、部長、監督、顧問を務める3人の先生と5人で毎日の練習を重ね、昨秋は北部高校と中条高校に声をかけていただいて、支部の枠を越えて連合チームを組んで試合に出場して来ました。
一人の練習はゴロ捕球やファーストにネットを置いての送球、マネージャーがボールを入れてマシンでのバッティングなどが中心とのことです。
「チームスポーツなのに、一人でやれることは限られている。なんで野球をやっているのかと思う時もありました」
今年の4月に学校では新入生歓迎会が行われ、その中で部活紹介が行われました。今年も部員だけでなく、先生たちも中に入り、本気で発表をしたそうです。
髪を切った部長先生を見て多くの生徒が先輩部員だと思ったそうですし、今年から顧問に加わった先生も発表に参加しました。
部活紹介では、新入生たちの前で磯山さんを中心に先生と本番の練習さながらにノックを披露すると、大きな歓声が沸いたそうです。新入生の中からも、「一番良かった!」と言う声も聞こえたそうです。
さらに磯山さんとマネージャーは昼休みに教室を回ってアピール。
その結果、真新しいユニフォーム姿の一年生1人が入部してきました。
「部活紹介の時の躍動感を見て、格好いいなと思って入ろうと思いました」
一年生山口侑也さんの入部により部員が2人になり、練習メニューはキャッチボールやフライの処理も増えました。さらに女子マネージャーも1人加わったそうです。
そして、今年の春の大会も連合チームながら、公式戦に出ることが出来ました。しかし、夏の大会は今まで連合チームを組んでいたチームも選手が揃ったことによります。
連合チームでは軽井沢から高速道路を使って片道約1時間半を、夏休み、土日、冬休み、春休みと通い続け、連合チームの一員として取り組んできたそうです。連合チームを運営することも難しいです。先生たちの応援もないと、続けることは難しいですよね。
そして、それぞれの高校が新たな一歩を踏み出すとともに、軽井沢高野球部は夏に向けて他校との連合チームで出場できないかと模索しました。しかし・・・残念ながら人数不足、そして人数不足の他校と合わせても9人に届かず、連合チームでの参加も不可能という状況で、今年の夏の大会を辞退することとなってしまいました。
「最後の最後で公式戦に出れないのは悔しい」
監督が辞退のことを本人に伝えた時、眼に涙が溜まっていたそうです。
磯山さんは昨年の夏終了後、先輩たちが果たせなかった公式戦勝利を胸に、一つ下のマネージャー一人と野球部の活動を続けてきました。しかし、まだ高校生。秋が終わった後、先が見えない状況で心が折れかけ、冬休み前に辞めたいと言って、1ヶ月近く先生と話し合いをしていたそうです。そして、再び、やろうと決心していたのでした。
2012年以降軽井沢高野球部は夏の大会には最初は臼田高校、次は屋代南高校と連合チームを組み、2回夏の大会に出場しています。しかし、人数不足での出場辞退も2回目になります。一回目は一年生しかいなかったので、最後の夏になる選手はいませんでしたが、今回はそうではありませんでした。
しかし、磯山さんに最初で最後ではあるが最高の舞台が用意されていました。長野県高野連のご配慮で夏の大会の開幕式入場行進の先導と、開幕試合の始球式を担うことになりました。
軽井沢高野球部監督は「本人にとっても、夏の大会を迎えるまでの目標ができたことは非常にありがたいことであるし、野球部としても同様にありがたいことで、心から感謝をしたい。ただ、磯山以上の努力をしている高校球児は間違いなく沢山いる。だからこそ、恥じない始球式、先導を全うしてほしい」とブログに綴っています。
そして、高校三年の夏の大会。最初で最後の一球を投げました。
夏の大会にベンチに入れずに引退、試合に負けて引退することも悲しいことです。
しかし、それ以前に試合が出来ずに引退しなければならない高校球児もいるのです。
以前、野球を始める理由は人それぞれと書きました。
それだけではなく、高校球児一人ひとりには、それぞれの夏がやって来て、過ぎ去っていくことも知りました。
磯山さんの今後の活躍と、軽井沢高野球部の歴史が続くことを願う夏でもあります。
≪ 11日の結果 ≫
諏訪湖スタジアム
阿南 0-10 松本工業 (6回コールド)
赤穂 1-6 須商・園芸・創成
阿智 3-9 須坂
上田県営球場
屋代 5-2 蓼科
塩尻志学館 12-3 諏訪実業 (7回コールド)
長野県営球
下高井農林 1-8 岡谷東 (8回コールド)
丸子修学館 8-0 長野俊英 (8回コールド)
松本市野球場
田川 10-3 高遠 (8回コールド)
北部 1-8 豊科 (7回コールド)