本日、6月9日に大阪城ホールで行われる新日本プロレスのIWGPヘビー級選手権試合は、IWGP戦史上初の時間無制限3本勝負で行われることになりました。時間無制限はオカダ・カズチカ選手から、3本勝負はケニー・オメガ選手からの提案です。
この二人の対戦は、2017年1月4日に東京ドームで行われたIWGPタイトルマッチは、オカダ選手が46分45秒、レインメイカーで勝利。同年6月11日、大阪城ホールでは60分フルタイムを戦って、引き分け。そして、IWGPタイトルマッチではないものの、同年8月のG1クライマックス公式戦(30分1本勝負)で、オメガ選手が片翼の天使を決めて24分40秒でオカダ選手に勝っています。
つまり、主要な試合で1勝1敗1分となっていて、今回が決着戦ということになります。
それにしても、3本勝負というのは、昭和プロレスを知っている世代からしてみますと懐かしいルールです。
昔はプロレスのタイトルマッチというのものは、一部例外はあるものの60分3本勝負が普通でした。中には61分3本勝負という試合もありました。時間制限のある3本勝負は、反則負け同様に、チャンピオンに時間切れによる逃げ切りのチャンスがありました。チャンピオン有利というルールです。しかも、2フォールを奪えなければ、挑戦者はタイトルを奪取できないというものです。ジャイアント馬場さん、アントニオ猪木さんも、多くのタイトルマッチを3本勝負で戦ってきていたのです。
例外は、1963年5月の力道山さんとザ・デストロイヤーさんのWWA世界戦、アントニオ猪木さんが初期のNWF戦で戦った、ストロング小林さん、大木金太郎さん、ルー・テーズさんとの時間無制限1本勝負くらいでした。
それが、いつの間にか、60分3本勝負から時間無制限1本勝負へと変わっていきました。一説によれば、1976年6月のアントニオ猪木さんとモハメド・アリさんとの異種格闘技世界一戦だともいわれています。
「世界中が注目していることを意識している。彼らを満足させないといけない思いがある。どう戦って、どういう勝ち方をするか」(オメガ選手)
「オレの中では1勝1敗1分というよりも、あの大阪城ホールの続きで、あの時しっかり見てくれていたお客さんに、エンディングというものを見せたかった。だから、時間無制限1本勝負でいいんじゃないかと思いました。まさか、ケニーが3本勝負を言ってくるとは思わなかった。でも、ケニーが時間無制限を呑んでくれるなら、オレも3本勝負を呑んであげようと」(オカダ選手)
最近、3本勝負はほとんど行われていません。主要タイトル戦でも5年前の全日本プロレス三冠ヘビー級戦くらいであって、今の若いプロレスファンの中には、3本勝負を知らない人もいると思います。そもそも、3本勝負はすっきり決着を望む時代に、合っていないのかも知れません。
それでも、
「V12の新しいチャンピオンをこれから見せていかなくてはいけない。オレじゃなくちゃダメでしょう。大阪城ホールで最強のチャンピオンを見せてやりますよ。オレがチャンピオンだから新日本プロレスはここまで来ている」
とオカダ選手が言っているとおり、新しい(訳でもないですが)ことに、挑戦してみることも大事だと思います。見せて勝つということにこだわる二人だからこそ、あえて時間無制限3本勝負を選択したのかも知れません。
3本勝負が、ファンにどう受け入れられるか。オカダ選手とオメガ選手がリング上でどのような試合を魅せてくれるか次第です。