一昔までは運動会と言えば10月ころがシーズンでしたが、最近は5月が運動会シーズンになってきています。
その運動会といえば、親が子どもの成長、活躍を見守る絶好の機会であり、とりわけ、短距離走やリレーという種目は我が子の力走に力が入ります。
また、お父さんにとっては「父兄参加リレー」などの参加型の一大競技もあり、お父さんの立場回復には絶好の機会でもあります。しかし、本人的にはカッコいいという思いとは裏腹に起こってしまうのが、転倒です。日本の運動会の風物詩といっていいほど見かける、とても切ない姿です。
それには2つの原因があると陸上短距離界の第一線でトップ選手として活躍した専門家は言っています。
一つ目は足が地面に着いた時、身体を支えられるかどうかだそうです。ジョギングなどで日常的に運動していても、短距離のダッシュは一歩に通常の5倍、6倍の負荷がかかり、これはジョギングにはないものだそうです。年齢とともに、身体を支えるために必要な中臀筋という臀部(お尻のこと)の奥にある必要な筋肉が衰えてくるそうです。そうした状態で全力疾走すると、負荷に耐えられずに腰が下がり、一歩一歩進むうちに目線もどんどん下がってしまい、結果的につま先が地面に当たって転んでしまうというパターンです。
もう一つは意識先行型、前のめりになって転んでしまうパターンだそうです。速く走ろうと意識だけ前に進んでしまうことです。上半身が前に出て、下半身が後ろで回るため、身体の軸が自然と前傾に傾き、進んでいくうちに傾きがどんどん大きくなっていき、最後はバランスが崩れて足がもつれ、倒れてしまうのです。よく見る原風景ですね。これは陸上の110メートルハードルで転倒するのと一緒の理論だそうで、スピードが落ちてくると傾きが自然と出来てしまい、最後の10台目を越えた時に前傾になって倒れてしまうのと同じようなものだそうです。
では、どうすれば身体のバランスを崩さずに走ることが出来るのかと言うと、ズバリ、「姿勢が大事」とのことです。
重要なのは走っている状態で接地して片足になった姿勢がまっすぐであることだそうです。スタート直後は前に傾いていますが、前に行きたい思いが強いと、その後も上体を倒して進もうとしてしまうため、常にまっすぐな姿勢で真下に力を加え続けていくということが大事なるそうです。そうすれば慣性の法則が働き、自然と進みます。姿勢を前に倒し過ぎると、圧力が接地の瞬間に逃げてしまって進まなくなってしまいます。クラウチングスタートで走り出すのはカッコいいですが、それもあまり良くないと言うことなのですね。
特に仕事中にパソコンを長く触れて猫背になりがちなお父さん世代は、基本姿勢が前傾になりがちなんだそうです。特に大人は、肩甲骨が前にスライドして凝り固まっていることが多く、十分な可動域が確保出来ていないので、まっすぐな姿勢が取れないのだそうです。
また、前に進もうとすると、とにかく足を前に出して進もうとする意識してしまいます。すると、振り出した瞬間、横から見たら「く」の字の姿勢になり、その姿勢で足を引っ張り込んで前に進もうとした時、負荷がかかって肉離れになりやすくなるそうです。非効率な走りはケガの原因にもなあるとのことです。
カッコいいお父さんであるためには、「何事にも真っ直ぐな姿勢」が大事だと言うことなのです。