日本のスーパーマーケットの商品棚からポテトチップス(ポテチ)類がなくなりました。時々入荷しても、「お一人様の2袋まで」とかの表示があります。
これは、北海道産ジャガイモ不足でカルビーとコイケヤのポテチが販売休止になっているからですが、実は「ジャガイモ不足」を声高に喧伝しているのはカルビーのみだけなのです。
このため、フリマアプリやネットオークションには、ポテチを出品する「転売ヤー」まで出現する事態になっています。しかし、世の中には「なくてもまったく困らない」という人も多いかもしれないが、ポテチファンからすればかなり深刻な問題です。
今回の騒動(?)の背景には、昨年相次いで北海道に上陸した台風でジャガイモ農家が深刻な被害を受けたからです。カルビーは「昨年8月に発生しました北海道地区での台風の影響による原料馬鈴薯不足」によって、15の休売対象商品と、18の終売対象商品を一覧で紹介し、「ジャガイモ不足」をかなり積極的に出しています。
一方のコイケヤですが、休売や終売についてはまったく触れておらず、「KOIKEYA PRIDE POTATO」の一時販売休止のリリースを出したくらいでした。というのも、実はコイケヤは台風によるジャガイモ不足ではなく、単に想定していた以上の売れ行きで供給が間に合わなくなったというものなのです。
つまり、テレビや新聞のニュースを見ていると、コイケヤもカルビーと足並みを揃えるように、「ジャガイモ不足」を訴えているようなのですが、まったく違う理由なのです。
「わさビーフ」でおなじみの、プロレスで例えるとポテチ界のインディー・山芳製菓でも、カルビーやコイケヤ同様に原料は北海道産ジャガイモが約70%で昨年の台風の影響で入荷が少なくなっているそうですが、以下のように答えています。
「特売商品の生産をなくすことで、『わさビーフ』シリーズや『リッチバター』といった定番商品において欠品を出すことは避けられました。来秋の収穫時期までじゃがいもの量は大丈夫だと思います」
もちろん、カルビーは生ジャガイモを用いたポテチ市場のシェア70%を占める最大手ですので、他社に比べても製造量は多く、ラインナップの種類も多いので、原料不足の影響は大きいでしょう。でも、昨年夏の日照不足と台風被害によって北海道産ジャガイモが打撃を受けたことで、一時的な生産調整や他ルートでの調達などの対策をとってダメージを最小限にすることも出来たはずでしょう。けど、出来ていなかったのです。
おそらく、カルビーは北海道のジャガイモ契約農家との信頼関係により、いくら原料不足とはいえ「じゃあ輸入ジャガイモ増やします」なんてことができる訳ではないと思います。
さて、ここ中国では「カルビーのポテトチップス」は健在です。ホテルの前にある台湾雑貨店(と言っても、台湾のものだけを売っているのではなく、日本の物も売っています)では普通に売っています。値段も6元(約100円)で、日本とはあまり変わりはありません。
カルビーの香港工場で作られたものですが、ジャガイモの産地は書かれていません・・・