首位打者は、プロ野球における打撃表彰(タイトル)の一つです。規定打席に達したバッターの中で、打率が最も高い選手に与えられます。ですから、1打席1打数1安打の打率1.000では規定打席に達していませんので、首位打者にはなれません。
この規定打席とは、プロ野球においてリーグが発表する打撃ランキングの対象となるために必要な打席の数のことで、NPBおよびMLBにおいて、現在は野球規則10・22(a)により規定打席を次のように定めています。
所属球団の試合数 × 3.1 (小数点以下四捨五入。ただし、2008年までは小数点以下切捨て)
つまり、NPBの場合、年間143試合ですので、規定打席は443となります。
さて、中日ドラゴンズの大島洋平選手ですが、8月31日の試合でデッドボールを受けて骨折し、現在、戦線を離脱中となっています。しかし、9月12日時点で476打数149安打で打率.3130の成績でセ・リーグの3位に位置しています。すでに521打席を記録しており、シーズン終了時点での規定打席をクリアしているので、首位打者を獲得する可能性があります。何しろ、これ以上、打率が下がるという心配がないからです。
9月12日時点でのセ・リーグの首位打者争い
打率 打数 安打
1位 マギー (読売) .321 464 149
2位 宮﨑敏郎 (De) .314 430 135
3位 大島洋平 (中) .313 476 149
4位 安部友裕 (広) .312 397 124
5位 丸 佳浩 (広) .310 513 159
ここからは算数の時間です。
単純計算で1試合につき4打数と仮定して、大島選手が首位打者を獲得するには、ほかの選手の打率が.312以下でなければなりません。となると、残り試合から次のような成績が必要となります。
マギー (読) 64打数 16安打 .246
宮﨑敏郎(De) 60打数 18安打 .298
安部友裕(広) 44打数 14安打 .309
丸 佳浩(広) 44打数 15安打 .336
逆に言いますと、ジャイアンツのマギー選手は計算上.246以上のペースで打てば首位打者になれるのです。現在のペースでいけば問題はないのですが、CS争いをしているところで、厳しい攻めに合うでしょうから、そう簡単ではありません。ベイスターズの宮﨑選手にも同じようなことが言えるでしょう。
また、カープの安倍選手、丸選手は優勝が決まった後の出場がどうなるか。首位打者の可能性がある限り打席には立つでしょうけど、CSと日本シリーズへ向けての調整も必要です。
こうしてみるとマギー選手以外はシビアな数字でもあります。
なお、首位打者は規定打席に達しないと獲得できないかと言われればそんなことはありません。規定打席に足りない分をすべてアウトになったと計算しても、打率が上回れば、首位打者に認定されます。
野球規則10・22(a)「規定打席の例外規定として、規定打席に満たない場合に不足分の打席を凡打として加算し算出された打率が規定打席到達者の打率1位の値を上回れば、規定打席未到達でも首位打者と認定される」
MLBとNPBの二軍戦では過去にこの事例はありますが、一軍ではまだ事例はありません。